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限られたスペースのコックピットでドライバーは多くのことが求められる。
大相撲の1月場所も終わり、大関の貴景勝関が優勝。自身3回目の優勝でしたね。千秋楽の結びは、同じ勝敗(11勝3敗)で琴勝峰関との一番。見事なすくい投げを貴景勝関が決めた。今場所は、ひとり横綱の照ノ富士関が不在、大関も貴景勝関ひとりだけ。優勝して当然というプレッシャーの中で、高校の後輩である前頭13枚目の琴勝峰関との取り組みだった。ボクは、贔屓の栃ノ心関が4日目に肩を脱臼、5日目は不戦敗、その後休場してしまったのが残念でならない。大関経験者であり、幕内優勝も1回ある。でも、今回の休場で十両陥落は免れないでしょうね。悲しい。再び番付を上げてきてほしい。しかし、今年36歳という年齢が・・・。
さて、先日大相撲の中継を見ていて、叔母が「なぜお相撲さんたちは、太っている人が多いのでしょう」とNHKの人気番組のキャラクターのような質問を発した。義理の妹が、「単純に大きくて、太っている人たちが集まっているのでは」と。それは、正解とは言えない。だって、多くの名横綱たちだって入門した時は、みな太っていたわけではない。稽古して、食べて、体重を増やした結果、太った。お相撲さんたちにとって体重を増やすのは仕事。軽かったら立ち会いで簡単に吹っ飛ばされて負けてしまう。だから、立ち会った瞬間に当たっても少なくとも飛ばされないことが基本中の基本。だから、どうしても軽く、小兵のお相撲さんは、飛び道具的な技を駆使して勝ち星を稼ぐしかない。昨年のデータだけれど、幕内力士の平均身長は183.3センチ、平均体重は157.3キロ。貴景勝関は身長175センチ、体重165キロだから小柄だけれど、その分体重を稼いで体作りをしているのでしょうね。だから、叔母の質問への答えは、「お相撲さんは、太るのが仕事だから」となる。
レーシングドライバーは、どうだろう。
はっきり申し上げて、太ったドライバーは、フォーミュラカーに不向き。そして、あまり身長が高くない方が良い。かつて、日本のトップフォーミュラのシートを獲得しようとしてテスト参加したイタリア人ドライバーがコックピットには収まることができたけれど、膝がステアリングホイールに当たってしまって、ステアすることが難しく、断念した。まあ、185センチが限度でしょうか。近年は以前より調整が効くといっても、マシンの重心の問題もある。ドライバーに望まれる体格は、物凄いGに耐えられる強靭な体、持久力のある質の良い筋肉が必要であって、筋肉はコクピット内でマシンの挙動を感じる感度が高いセンサーの役目も担っている。マシンの挙動を視覚も含めた感覚神経でセンシングして、脊椎を経て脳で判断する前に脊椎で折り返して運動神経命令するクイックな反射能力が備わっていなくてはならない。それがお相撲さんの太るということと同じでドライバーの体作りなのでしょうね。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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