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モーター スポーツ コラム 2022年11月1日

ノーウェイトの最終戦、チャンピオンを獲得するのは誰だ?

SUPER GT by 秦 直之
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現在ランキングTOPのCRAFTSPORTS MOTUL Zは逃げ切ることは出来るのか?

SUPER GTも、いよいよ最終戦を迎える。モビリティリゾートもてぎは、常に最終戦の舞台だったという印象が強いが、コロナの関係もあって過去2年間は富士スピードウェイで行われており、実際には3年ぶりとなる。

言うまでもなく、最終戦は全車ノーウェイト(厳密に言えば、1戦欠場しているGT300の1チームのみ半減)となるため、真の実力が試され、まさにシーズンの集大成ともなる一戦だ。誰もが勝って終わりたいと思っているに違いない。

そして、もうひとつの焦点がシリーズタイトルの行方だ。GT500クラス、GT300クラスとも6チームにチャンピオン獲得の権利が残されている。

GT500クラスは三つ巴の戦いになる?

第7戦での良い流れを活かして逆転優勝を果たしたいAstemo NSX-GT

前回のオートポリスで、サクセスウェイト半減とはいえ、54kg相当だった千代勝正/高星明誠組のCRAFTSPORTS MOTUL Z、そして51kg相当だった平峰一貴/ベルトラン・バゲット組のカルソニックIMPUL Zは、ともに苦戦を強いられていたが、それでも7位、6位に踏み留まったことでランキングのトップ、2位をキープ。その一方で、37kgで臨んでいた、松田次男/ロニー・クインタレッリ組のMOTUL AUTECH Zは14位に終わり、ランキング3位から陥落したばかりか、王座獲得の権利さえ逃してしまう。

対して、前回の優勝、そして2位を得たことで、ランキングでも3位、4位に食い込んできたのが、塚越広大/松下信治組のAstemo NSX-GTと山本尚貴/牧野任祐組のSTANLEY NSX-GTだ。こと、Astemo NSX-GTに至っては公式練習でクラッシュし、マシンにダメージを負っていたのが、ぎりぎり予選に間に合って4番手を獲得。まさに地獄から這い上がってきていた。
他に権利を残すのは、サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋組のKeePer TOM’S GR Supraと、大嶋和也/山下健太組のENEOS X PRIME GR Supraの2台。つまり、3メーカーきっちり2台ずつ並んで、可能性を持つこととなる。

6チームのうち、上位3チームは勝てば、他のチームが何位であろうと決定ながら、4位から6位は勝ってなお……という条件つき。特にENEOS X PRIME GR Supraに至っては、ポールポジションを逃した段階で権利は喪失してしまう。

是が非でもPPを獲得したいENEOS X PRIME GR Supra

逆にSTANLEY NSX-GTが、ポール・トゥ・ウィンを飾ったとする。その場合、CRAFTSPORTS MOTUL Zは9位以下、カルソニックIMPUL Zは6位以下、そしてAstemo NSX-GTは5位以下でなければ大逆転は果たせず。3台が揃いも揃って苦戦するとは思えず、となれば実質、三つ巴の戦いになりそうだ。

逆の言い方をすれば、勝たずとも上位3チームは、いちばん前でゴールしたチームがチャンピオンになる。それだけは、ほぼ間違いない。

GT300クラスは強いチームが奪還、速いチームが連覇、それとも?

トップを守り続けているリアライズ日産メカニックチャレンジGT-R

GT300クラスもチャンピオン候補は6チームだが、その12人すべてに権利があるわけではない。2チームに1戦欠場せざるを得なかったドライバーがいたからだ。ひとりは大草りきと、TANAX GAINER GT-Rでコンビを組む富田竜一郎。そして、もうひとりが川合孝汰と、埼玉トヨペットGB GR Supra GTでコンビを組む吉田広樹だ。両チームとも、エースに権利がなくなった格好だが、ふたりとも「For The Team」の精神に富むドライバーである。後輩の栄冠獲得にも全力を尽くすに違いない。

さて、ランキングのトップを開幕戦以来、守り続けているのが藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ組のリアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rで、2.5ポイント差で追いかけるのが井口卓人/山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTだ。この2チームは、勝てば自動的にチャンピオンが決まる。

強さのリアライズ日産メカニックチャレンジGT-R、速さのSUBARU BRZ R&D SPORTという印象は、今シーズン誰もが抱いたはずだ。個性は異なり、まるで対照的だが、極めて来たものの集大成を、この最終戦で見せてくれるだろう。果たして王座奪還なるか、それとも連覇達成なるか。

ランキング2位のSUBARU BRZ R&D SPORT

TANAX GAINER GT-Rは、勝ってなおリアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rが3位以下でなければ、逆転の芽はないものの、その意味で非常に心強い存在なのが、安田裕信/石川京侍組のGAINER TANAX GT-Rである。チームメイトが割って入ってくれれば、可能性はグッと増す。GAINERとして、2台がチャンピオン候補として最終戦に挑むのは初。2位でゴールすればランキング3位にもなり得るだけに、ここはワンツーフィニッシュを狙いに来そうだ。
埼玉トヨペットGB GR Supra GTも、GAINER TANAX GT-R同様、勝ってなお……という条件とあって、もう一台の候補、蒲生尚弥/篠原拓朗組のLEON PYRAMID AMGも含め、かなり厳しいのは事実。

ただ、LEON PYRAMID AMGにとって、もてぎは非常に相性の良いコースで、過去5年で3勝の経験を持つ。チャンピオンは獲れなくても、勝って終わりたいとは思っているはずだ。まぁ、それはすべてのチームに当てはまるか……。

願わくば、ハッピーエンド。GT500クラスも、GT300クラスも、すべてのチームがベストを尽くして、笑顔で終われますように。そして、ファンも満足の展開になれば、なお最高である。

文:秦 直之

秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

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