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SUPER GT第6戦を制した3号車CRAFTSPORTS MOTUL Z。
奴は、無口。
奴は、色黒。
奴は、繊細。
奴は、言い訳をしない。
奴は、喜びをあらわさない。
奴は、タイヤ。黒くて丸い。
勝てばチームとドライバーが賞賛され。
負ければ、その責任を負わされる。
でも、奴は、無言で耐えている。
奴は、裏方。
いや、今回は、表舞台で主役としてその存在を強くアピールした。
奴の存在無くして日産Zの1-2フィニッシュは絶対に無かった。
3位以下に大差をつけ、5位以下は周回遅れにした。
奴は、ミシュランのレインタイヤ。
先週末のSUPER GT第6戦、スポーツランドSUGO。遥か彼方の南方で猛威をふるっていた台風14号が東北の地まで影響を及ぼし、波乱のレース展開となった。
その存在は、シーズンイン前の合同テスト、ウェットコンディションで注目されていた。そこで圧倒的な速さを示した。しかし、これまでそれをファンの衆目の前で示すチャンスが訪れなかった。
優勝した3号車は、Q1を突破できず、11番手スタート。2位の23号車は、6番手から。
雨の予報はあったが、予想外に降り始めが早かった。84周レースの12周目あたりから雨粒が路面を濡らし始めて、強くなり、そして小雨になり、止む、を繰り返して、レースを翻弄した。
驚異的な速さを見せたミシュランのレインタイヤ(写真は23号車)。
ウェットコンディションとなって、今回の主役は投入された。まるで滑らかな高速エスカレーターに乗ったように2台は順位アップ。レースの3分の1の時点で1-2体制となった。誰も2台に追いつくことはできなかった。2台の間では戦略の違いで順位を入れ替えたが、タイヤのパフォーマンス云々ではない。
勇者は語らず。タイヤは無口だから。
ライバルタイヤメーカーにとっては、現在のミシュランのレインタイヤは魔物に等しい速さ持っている。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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