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モーター スポーツ コラム 2022年9月13日

思いがけない戦い、結果が予想されるSUGO大会

SUPER GT by 秦 直之
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第6戦の舞台となるスポーツランドSUGO

SUPER GTも第6戦を迎え、いよいよ終盤戦に突入する。舞台となるのはスポーツランドSUGOだ。ここで第6戦を迎えるのは、非常に大きな意味を持つ。サクセスウエイトが積まれ続けられる今年最後のレースであるのに対し、アップダウンに富んだ高速テクニカルコースということは、重ければ重いほど厳しい戦いを強いられる。逆もまた然り。

言い換えるなら、ランキング上位がまったく歯が立たない可能性がある一方で、下位の思いがけぬ大逆襲もあるわけだ。加えて、このコースはコース幅も、ランオフエリアも広くはないから、ミスがアクシデントにつながりやすい。だからレース中にセーフティカーやFCY(フルコースイエロー)が、まったく出ないということは、ほぼあり得ない。

いずれも、そうなったらピットに入れないものの、フラッグの提示前に入ったら、どうなるか? レースペースが極端に落ちる間に、ピット作業を行うことができれば、ロスを最小限にできて、なおかつマージンも稼げる。つまり、一気に勝機到来だ。ドライバー交代可能な1/3の周回、今回は84周で競われるから、28周を過ぎて何かアクシデントが発生すれば、即ピットインというのが理想ということ。

ただ、言うは易し……なのである。タイヤや燃費との兼ね合いもさることながら、アクシデントを察知した時、どこにいるかも重要だ。最近はジャッジも早くなってきているので、コースの前半にいたら、まず間に合うまい。SUGOならSPコーナーあたりが限界か。まぁ、いずれにしても一筋縄ではいかない一戦になるのは間違いない。

一躍ランキングのトップに浮上した、カルソニックIMPUL Z!

第5戦では最後尾から逆転優勝を果たしたカルソニックIMPUL Z

鈴鹿の第5戦も、振り返れば一筋縄ではいかない一戦ではあった。優勝したのは、予選最下位だった平峰一貴/ベルトラン・バゲット組のカルソニックIMPUL Zだったからだ。終盤に入ってトップを争っていたのは、塚越広大/松下信治組のAstemo NSX-GTと松田次生/ロニー・クインタレッリ組のMOTUL AUTECH Z、そしてジワジワと順位を上げてきたカルソニックIMPUL Zの3台。しかしながら、鈴鹿をMOTUL AUTECH Zが得意とするのは、周知の事実。そのまま逃げ切りも可能だと思われた矢先に……。

なんとMOTUL AUTECH Zに、カルソニックIMPUL Zに対する危険行為があったとして、ドライビングスルーペナルティが課せられてしまったのだ。さらにAstemo NSX-GTは、それまでのプッシュが祟ったのか、ペースを思うように上げられなくなり、ラスト3周でカルソニックIMPUL Zの逆転を許したのだ。

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この勝利で、平峰とバゲットは一躍ランキングのトップに浮上。そして迎えたSUGOは、昨年もカルソニックIMPUL GT-Rが優勝を飾っている。相性も良く、今回も本命……とは、冒頭でも触れたとおり、まずならないだろう。サクセスウエイトは89kgにも達し、それはすなわち50kg積んでなお、3段階も燃料リストリクターが絞られているということを意味している。ここは我慢の時となるだろう。

昨年は2位、3位を獲得、そしてポールも。ホンダ勢が有利か?

昨年大会はARTA NSX-GTがPPを獲得した

それでは前回の2位、Astemo NSX-GTの昨年は、というと3位である。ただ、ここもランキング4位で68kg相当のサクセスウエイトだ。微妙である。ただ、昨年の3位は山本尚貴/牧野任祐組のSTANLEY NSX-GTで、ポールポジションは野尻智紀/福住仁嶺組のARTA NSX-GTということで、ホンダ勢に相性の良いコースでもありそうだ。その上で、サクセスウエイトにも苦しんでいないチームといえば……。

笹原右京/大湯都史樹組のRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTは11kg、そして伊沢拓也/大津弘樹組のModulo NSX-GTは今季未入賞で、ウエイトを積んでいない! 2台が装着するダンロップタイヤに、よほどの外しがない限り、今回は狙い目、いや、ここで大量得点ならずして、もうどこでするのかという状況だ。

タイヤ的には、ヨコハマタイヤを履く2台にも、「もうどこで」状況は当てはまろう。佐々木大樹/平手晃平組のリアライズコーポレーションADVAN Zは37kgで、国本雄資/阪口晴南組のWedsSport ADVAN GR Supraは35kg。予選では見せる速さを、決勝でも維持できればレース後に笑える可能性は十分ある。

その一方で、前回5位に甘んじた、MOTUL AUTECH Zの存在も見逃せない。サクセスウエイトが44kgだということ以上に、何か今年のGT500クラスはドラマチックな展開になりがち。ペナルティポイントの累積で4グリッド降格が決まったばかりではあるが、それを跳ね除けて前回のリベンジを果たす、というのは最高のストーリーであるまいか?

ミッドシップにSUGOは相性良さそう。となれば、そろそろあのチームが?

今シーズンツキがないARTA NSX GT3はリベンジなるか!?

前のレースのリベンジを果たす、というのは前回のGT300クラスにも見られた光景だ。富士でトップを走りながら、タイヤトラブルで涙を飲んだ、谷口信輝/片岡龍也組のグッドスマイルAMGが優勝を飾ったからである。

過去に2度もチャンピオンを獲得しているコンビである。常勝というイメージもあるが、実に5年ぶりというから、少々意外ではあった。これでランキングでも5位に浮上し、トップとの差は14ポイントであるから、その最後に勝った2017年以来となるタイトル奪還も、あながち夢ではなくなってきた。が、それにしてもウエイトは72kg、ここは手堅く行くしかなさそうだ。

そして昨年、SUGOで優勝を飾っているのは? 井口卓人/山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTである。コーナリング自慢のマシンであり、なにより山内が非常に得意としているコースである。しかし、ランキング3位で、サクセスウエイトは89kg。ここも今回ばかりは、厳しい戦いを強いられそうだ。

そこで、改めて振り返ってみると、SUGOとミッドシップ車の相性も悪くない。そこで、サクセスウエイトに苦しんでいないチームといえば……。いた! 武藤英紀/木村偉織組のARTA NSX GT3が。わずか3kgである。しかし、ランキング30位とは、意外な感もある。絶えず存在感はアピールしているからだ。速さはあるが、単純にツキがない。上位を争いながら、アクシデントに見舞われたり、トラブルを抱えたりの連続であるからだ。リベンジ達成、そうなれば最高のストーリーだ。

そして、筆者から予想を外させ続けている(笑)、小暮卓史/元嶋佑弥組のWeibo PrimezランボルギーニGT3も、そろそろ来てもいい頃だ。サクセスウエイト33kgなら、十分勝ちに行けよう。

一方、話題のニューマシン、トヨタGR86にそろそろ本領発揮の様子もうかがえる。前回はapr GR86 GTが3位入賞。織戸学のパートナー、永井宏明が体調不良で出場できなかったものの、若い平良響と上村優太が完璧にカバー。シリーズ序盤は苦戦を強いられていたが、絶えず進化を許されるGTA-GT300車両であることのメリットは、最大限に活かされた格好だ。ただ、2度の入賞で、サクセスウエイト42kgは微妙なところ。ここは復帰の永井とともに、確実にポイントを獲りに行きたいところ。

他のGR86はどうだろう……。加藤寛規/堤優威組のMuta Racing GR86 GTは14kgしか積んでいないが、前回は一時2位を走行した。トラブルにさえ見舞われなければ、そろそろ確固たる結果を残せるのではないだろうか?

いずれにせよ、今回は一筋縄では行かないレースになるのは必至。ひょっとしたら、上限100kgを過ぎている、ポイントリーダーでもある藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ組のリアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rが!前回もドライビングスルーペナルティを課せられてなお、最終ラップに順位を上げて10位でゴール。これには正直、驚かされたものだ。ただし、レース後に再びペナルティを課せられ、順位を降格。そればかりか、ペナルティポイントの累積で、このチームも4グリッド降格が決まっている。でも、やはりレースは蓋を開けてみないと、分からないのであるからして……。

J SPORTS オンデマンド番組情報

文:秦 直之

秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

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