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モーター スポーツ コラム 2022年9月5日

伝統のアクロポリス・ラリーは“高温と悪路の祭典”

Mr.フクイのものしり長者 de WRC ! by 福井 敏雄
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荒れた路面が特徴的なラリー・ギリシャ。

アクロポリス・ラリーことラリー・ギリシャは、1953年に創設された歴史あるイベントで1973年のWRC発足以来常に重要なラリーの地位を得ていました。しかし2013年よりギリシャの経済危機を理由としWRCから脱落、しばらくはERCシリーズとして開催されていましたが2021年にWRCへ復活しました。7年ほどWRCを欠席した結果、このラリーの現役ドライバー優勝経験者はローブとオジェそしてERC時代のブリーンしかいません。昨年再開され、神童ロバンペラが見事優勝を遂げています。

“悪路ラリー”とも呼ばれるこのラリーは、瓦礫やこぶし大の石が散乱しタイヤや車を痛めます。9月初めのギリシャはまだ夏期で気温が高く、カーブが多いのでエンジン冷却に問題が発生しやすくなります。そして車両室内も高温になります。名物の“極”悪路ですが、最近は以前に比べ段々良くなってきたと言われています。車と人の耐久ラリーです。先行スターターはかなり不利になりますが、後発スターターは先行車が散りばめた石ころによるトラブルに巻き込まれる可能性があります。どのラリーでもそうですが、タイヤトラブルは特に重要です。今回のR1エントリーで目立つのはフォード6台参戦、メーカーポイント獲得有資格はローブ、ブリーン、フルモーの3台。ほか3台で6台の大所帯。サービス体制が大変です。ヒョンデの3台目はオリバーでなくダニ・ソルドが出場。

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レグ1はショートコース6本ですが、燃料とタイヤフィッティング以外の中間サービスはなし。車両トラブルあれば大幅に遅れます。レグ2は32キロのロングコース2本を含んだ4本のみ。ここでは色々のことが起きそうな予感がします。レグ3は短いSSが4本、最終SSはパワーステージとなっています。

シーズンも終盤に入ってきました。ラリー・ギリシャを含んであと4戦です。欧州に基地を持つR1各チームはギリシャの後は長旅となる南半球ニュージーランドとジャパンを残しています。
終盤に近づいた現在のポイント獲得状況は次の通りです。
1位=ロバンペラ:203pt、2位=タナク:131pt、3位:エバンス:116pt、4位:ヌーヴィル:106pt、5位=勝田:92pt、6位=ブリーン:64pt、7位=ラッピ:57pt
メーカーポイントは、1位=トヨタ:381pt、2位=ヒョンデ:293pt、3位=フォード:188ptとなっています。

ラリー概要は下記のとおりです。

  SS本数   SS km  Liaison km  Total km
Day 1 (9/8-9/9) 7 110.06 km 421.69 km 531.75 km
Day 2 (9/10) 6 147.98 km 302.56 km 450.54 km
Day 3 (9/11) 3 45.06 km 153.82 km 198.88 km
Total 16 303.10 km 878.07 km 1181.17 km

1990年のアクロポリス・ラリー。写真:筆者提供

なお私にとってはカルロス・サインツが1990年にWRC初優勝した記念すべきラリーでした。

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文:福井敏雄

福井 敏雄

福井 敏雄

1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。

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