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第4戦で見事なPIT戦略で逆転優勝を果たした37号車KeePer TOM'S GR Supra。
SUPER GT第4戦は、同シリーズにとって2ヶ月ぶりのレースでした。
猛暑が予想されたのに、予選日は気温も路面温度も10度低いという驚きの状況。そこでGT500クラスでヨコハマタイヤの2台がフロントローを独占。そして、決勝では、2番手スタートの24号車リアライズコーポレーションADVAN Zと3番手スタートの37号車KeePer TOM'S GR Supraの一騎打ち。ドラマは、最終ピットインのタイミングだった。37号車はそれまで燃費走行をして2番手を走行。最後のピットインで給油量を最小限にして、装着したソフトタイヤでアウトラップにプッシュ。狙い通りにトップポジション奪取を見事に成し遂げた。37号車はクラス最年少のコンビ。7月末に23歳になったばかりのサッシャ・フェネストラズ選手と8月10日に同じく23歳の誕生日を迎える宮田莉朋選手。前回の富士ラウンド、第2戦では勝てるレースで勝てなかった37号車のリベンジレースでミッションコンプリートだったわけです。
勝敗を分けた要因の一つは燃費走行だったわけですが、決勝を前にして行われたGTAの定例記者会見では、来シーズンから導入を予定しているカーボンニュートラルフューエルに関係するコメントがあった。導入を予定している燃料はエタノールアルコールを5%含むもので、これによってエンジンの出力は数%落ちるという。数%のパワーダウンなら見た目は大きな違いはないのではないでしょうか。
また、GTAは、他の方法でもカーボンニュートラル(CN)を実現しようとしていることが分かった。それは、現行のレース形態を変えるとか、モータースポーツの醍醐味、スピード、バトルをできるだけ損なわずに結果としてCNを行うこと。
参画しているタイヤメーカーには、1イベントに使用できる本数の規制を設ける。もちろん本数を少なくする。メーカーは、タイヤライフを長く、パフォーマンスを落とさないという開発が必要になってくる。タイヤの原材料、製造過程、運搬、そしてレースにおける消費のトータルでCNを実現するという計画。そして、エンジンに関しては、燃費の向上。カーボンニュートラルフューエルの導入だけではなくて1イベントに消費する燃料総量を規制。少なくすることでタイヤと同じ燃料製造から消費までのフルサイクルでCO2の発生を抑制するというシナリオ。第5戦の会場で各メーカーとの話し合いがある。
GTAの坂東正明代表は、常々「現行のモータースポーツの面白さや醍醐味を維持して、なおかつCNに対応することを考える」とコメントしている。
CN対策は、モータースポーツのみならず、人間の生活自体に対する課題。GTAの目指すCNは、実現性のあることから手をつけるという。これって対策の王道かな。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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