カローラで始まり、カローラで終わる。伝説のラリードライバー竹平さん、お疲れ様でした。

レジェンドラリードライバーの竹平素信さん

先月のことです。
日本を代表するレジェンドラリードライバーのお一人、竹平素信さんが引退ラリーに参戦しました。
場所はタイ。日本ではなくタイまで行って、タイラリー選手権の一戦にスポット参戦したのです。
J SPORTSのWRC世界ラリー選手権の解説者でお馴染みのジャーナリスト、国沢光宏氏が中心となり、有志が協力して参戦が実現した。良い話ですよね。

竹平さんの名を聞いて＜おおっ！＞と唸っていただける方は、相当のキャリアを積んだラリーマニアです。1970年代から80年代に国内トップラリードライバーとして活躍。竹平さんは、ラリードライバーとして活躍される以前は、【トヨタ】のレース＆ラリー車両開発部門に所属し、製作だけではなくて、テストドライバーとして自らステアリングを握っていた方です。スゴイでしょ。
その後、オイルショックで自動車メーカーがモータースポーツから一時手を引いて、竹平さんは退社された。そしてラリーショップに加わり、ラリー一本で常に全日本選手権の上位にランキングされていた。印象に残る当時の竹平さんの愛機は、カローラのTE27。RAC、モンテカルロ、サンレモなど世界ラリー選手権にも積極的に参戦した。サンレモでは、日本人初のクラス優勝も果たしています。

ボクが国内外のラリーの仕事をいただいていた頃に取材させていただき、今なお、お会いすると全く変わらず満面の笑顔で言葉を交わしていただける。当時バリバリのトップドライバーでありながら、全く偉ぶるところなく、それどころかいつもヒョウキン。笑顔を絶やすことがなくて、誰からも好かれるタイプ。いつしかニックネームは竹ちゃんマンになっていた。自動車雑誌のBEST CAR誌でインプレッションやエッセイの執筆も。

御歳74歳。
今回の引退ラリーには、タイ現地で用意されたカローラTE70をドライブ。竹平さんのラリーはカローラで始まってカローラで終わりを告げるという最高の現役エンディング。

竹平素信さんがドライブしたカローラTE70。

タイ国内では、往年の日本車が元気よく走っていて、それがラリーにも参戦してブイブイ走っているらしい。でも、さすがにTE70も御歳40歳を超えている。レッキでパワステにトラブル。エアコンも不具合があって、灼熱のタイでハードな引退ラリーとなってしまったらしい。
そして結果ですが、最終日にエンジントラブルが発生。ベテランの技で騙し騙しゴールを目指していたのですが、とうとう残り2キロ地点でエンジンがご昇天。残念。

エンジントラブルにより無念のリタイアとなった。

最後に竹平さんは、「応援してくださった皆さん、ありがとうございました。ラリーの全てが詰まったような濃厚な体験で、若い頃にがむしゃらに走った海外ラリーを思い出させていただきました」というコメントで今回のチャレンジを締めくくっています。お疲れさまでした。

文：高橋 二朗