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フォーミュラE 第13&14戦 ロンドン
電気自動車のフォーミュラカーレース「フォーミュラE」のシーズン8(2021年〜2022年)も残すところあと4戦。第13戦、第14戦の舞台は英国のロンドン。屋内を走るコースとしても世界的に大きなインパクトを残したエクセルエキシビションセンターで開催される第13戦、第14戦の模様を「J SPORTS」で放送。今回はそのプレビューをお届けします。
さて、前戦のニューヨークでのレースはそれまでランキング首位だったエドアルド・モルタラ(ヴェンチュリ)が苦戦。一方でストフェル・バンドーン(メルセデス)が第12戦で2位表彰台に立つなどしてランキングを逆転し、首位に立ちました。ストフェル・バンドーン(メルセデス)はニューヨークの好走でエドアルド・モルタラ(ヴェンチュリ)から11点離されていたところを、逆に11点リードに変える大活躍。優勝はまだ1回だけですが、終盤の4レースに向けて波に乗った形です。
第11戦の優勝はなんと日本でもお馴染みの元SUPER GTドライバーのニック・キャシディ(エンヴィジョン)、そして第12戦の優勝はアントニオ・フェリックス・ダコスタ(DSテチータ)となり、どちらも今季初優勝となりました、特にキャシディはフォーミュラEシーズン2年目にしてキャリア初優勝となり、ルーキーイヤーの昨シーズンに比べて苦しんだスランプ状態を払拭した形になりました。
今季のウイナーとしては新たに2人加えて7人のウイナーが誕生するシーズンとなっていますが、残り4レースとなったところでランキング上位の3人がチャンピオン未経験者。ストフェル・バンドーン(メルセデス)、エドアルド・モルタラ(ヴェンチュリ)、ミッチ・エヴァンス(ジャガー)の3人にとって緊張の終盤戦ということになりそうです。
さらにランキング4位につけるチャンピオン経験者のジャン・エリック・ベルニュ(DSテチータ)までの首位からのポイント差は27点と少なく、この4人がチャンピオン争いの主役になるでしょう。ただ、残り4戦で116点が最大獲得ポイントであり、計算上はランキング13位のサム・バード(ジャガー)まで現時点ではチャンピオンの可能性があります。ここからのロンドン、ソウルと続く4レースはその的が徐々に絞られていくシビアな戦いとなりそうで、今まで以上に激しい争いになりそうです。
コースレイアウト
ロンドンのコースは2021年からエクセルエキシビションセンターの屋内を通るコースを使っていますが、常識破りのサーキットとして非常に大きな話題になりましたね。昨年は2レース開催で、ジェイク・デニス(アンドレッティ)、アレックス・リン(今季は参戦せず)のイギリス人ドライバー2人が見事に優勝を飾りましたが、今年も地元イギリス人のドライバー達が多数参戦しているので、地元レースで新たなウイナーが誕生するかもしれません。
「マヒンドラ」はインド国籍のチームですが、アレクサンダー・シムス(マヒンドラ)とオリバー・ロウランド(マヒンドラ)というイギリス人ドライバー2人のラインナップ。かつてのトップチームもチームランキング8位と低迷気味ですが、ニューヨークではシムスが表彰台まであと一歩の4位フィニッシュを果たしたこともあり、良い流れを維持できるか注目です。
「アンドレッティ」所属で、昨年のウイナーであるジェイク・デニス(アンドレッティ)は開幕戦で3位になったのがベストリザルトですが、ここ最近は4戦連続でポイントを獲得しており、ロンドンでは注目すべきドライバーでしょう。
中国国籍の「NIO 333」はベテランのオリバー・ターベイ(NIO 333)、そしてお騒がせ的な部分が目立つダニエル・ティクタム(NIO 333)のイギリス人ドライバーコンビですが、今季はローマで2台揃ってポイントを獲得しただけで、なかなか上位を走れずにいます。
そして、地元出身で勝てるドライバーといえば、サム・バード(ジャガー)。すでに35歳のベテランで、毎年必ず1度は優勝してきたフォーミュラEの顔とも言えるバードですが、今季はまだ表彰台でのフィニッシュがゼロ。キャリア史上最も苦戦しているシーズンになっています。チャンピオン争いという意味ではチームタイトル争いは「メルセデス」「ヴェンチュリ」そして「DSテチータ」の3チームが僅か10点差という接戦になっていますが、今季ミッチ・エヴァンス(ジャガー)が3勝をマークしている「ジャガー」がチャンピオンを争うには地元出身のサム・バード(ジャガー)の上位フィニッシュがより重要なものになってきます。すでに来季の残留は決定しているサム・バード(ジャガー)が地元で奮起することができるでしょうか。
残りは4戦。最終戦は初開催となる韓国・ソウルでのレースとなりデータが出揃っていないコースとなるため、ドライバーランキング、チームランキングの上位ランカーは少しでもリードを広げてあらゆる状況に対応できるよう、ここロンドンで攻めの姿勢を見せなくてはならないでしょう。激しいチャンピオン争いの行方が見逃せません。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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