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モーター スポーツ コラム 2022年7月27日

【スーパーバイク世界選手権 第6戦モスト:プレビュー】鈴鹿8耐を前に苦戦のレイは復調なるか?

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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前回大会 決勝レース2 表彰台

前回大会 決勝レース2 表彰台

市販スポーツバイクの最高峰「FIMスーパーバイク世界選手権」の2022年シーズンが第6戦を迎えます。7月29日(金)〜31日(日)にチェコのモストで開催される第6戦。このレースは今シーズンの流れを決定づける非常に重要な1戦になりそうです。そのプレビューをお届けしましょう。

前戦・ドニントンパークでは地元ファンの大きな期待を受けたジョナサン・レイ(カワサキ)が思わぬ苦戦を強いられました。予選アタックではライバルが手をつけられない速さを見せたにも関わらず、決勝ではトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)の速さについて行くことができませんでした。

ドニントンパークでは今季それまでスーパーポールレースの優勝しかなかったトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)がなんと復活の狼煙をあげる3連勝。1週末3レースのシステムになって以来3連勝を飾ったライダーとしてはアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)、ジョナサン・レイ(カワサキ)に次いで3人目。今シーズンに限って言えば、3連勝はトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)が初めてです。「3連勝は僕の目標であり夢だった」と語ったラズガットリオグルは優勝後に毎回、見事なストッピー(フロントブレーキを使い後輪を高く浮かせるパフォーマンス)を披露し、喜びを爆発させていました。

昨年の王者トプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)はこの3連勝で首位のアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)から43点差に迫り、ランキング3位は変わらないものの、今回のレースでも好調がキープできればチャンピオン争いの主役に躍り出る可能性が出てきました。見事なブレーキング能力、そして積極果敢な競り合いでの強さ、そして彼が例年、後半戦で勢いづいてくることを考えると、今回のドニントンでの好走はその大きなキッカケになるのではないでしょうか。

一方、ランキング首位のアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)はドニントンパークのレース1で転倒。ドゥカティ勢はこのコースと相性が良くないと言われることが多いのですが、今回も苦戦する中で無理をして転倒し、今季初のノーポイントレースを作ってしまいました。ただ、手を怪我しながらもスーパーポールレース、レース2では積極的なレースを展開し、レース2では2位表彰台を獲得。ドニントンでドゥカティのライダーが久しぶりに表彰台に立ちました。

前回大会 決勝レース2をトップでフィニッシュしたラズガットリオグル

前回大会 決勝レース2をトップでフィニッシュしたラズガットリオグル

バウティスタの転倒でポイント差を詰めるビッグチャンスとなったのはジョナサン・レイ(カワサキ)ですが、決勝では青空の晴天で気温、路面温度が大幅に上昇。これがセットアップに影響を及ぼして、予選での速さを失ってしまいました。レイは週末を通じて浮かない表情を見せていて、彼のカワサキZX−10RRが思った以上に深刻なパフォーマンス不足に陥っている可能性があることを物語っていましたね。

ジョナサン・レイ(カワサキ)とアレックス・ロウズ(カワサキ)、そして彼らと共に戦う「Kawasaki Racing Team」の面々は今回のモストのレースが終わるとすぐに日本に渡航。8月7日(日)に決勝レースを迎える「鈴鹿8耐」に参戦します。

同じカワサキZX−10RRを使うとはいえ、鈴鹿8耐ではブリヂストンのタイヤを履くので「スーパーバイク世界選手権」のパッケージとは別物。モストで復調することができれば、頭をスパッと鈴鹿8耐に切り替えて日本に向かうことができますが、モストで苦戦すると多忙なスケジュールで多くの仕事をこなさなければならず、チームとしてもナーバスな状況になることは否定できないでしょう。鈴鹿8耐を占うという意味でもモストでの「Kawasaki Racing Team」の走りは重要なファクターになってくると思います。

また、鈴鹿8耐に参戦するという意味では「Team HRC」から出場が決まっているイケル・レクオーナ(ホンダ)はドニントンパークで苦戦。ここ最近続いていたトップ5を争うレースに加われませんでした。今回のモストも彼にとっては初めて走るサーキットであり、それが終わると鈴鹿。今季から「スーパーバイク世界選手権」に参戦しているルーキーのレクオーナにとってみれば、刺激的な新しい体験の日々が続くことになります。

そんな鈴鹿8耐組が日本とヨーロッパの往復で疲労も溜まる中、「スーパーバイク世界選手権」だけにリソースを集中しているヤマハ、BMWは今が大きなチャンスと言えるでしょう。ドニントンパークでは新しいスイングアームを投入したBMW M1000RRを駆るスコット・レディング(BMW)が3レースともにトップ5フィニッシュを果たすなど復調のキッカケを掴みました。

鬼の居ぬ間に、なんて言葉がありますが、鈴鹿8耐で忙しい組とそうでない組のパフォーマンスがチャンピオンシップに影響を及ぼすか、モストはシーズンを考えると非常に重要な1戦になることは確実です。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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