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モーター スポーツ コラム 2022年5月27日

平川亮が今季2勝目、シーズン中盤戦は混戦模様になるか?

SUPER GT by 吉田 知弘
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今季2勝目を手にした平川亮(carenex TEAM IMPUL)

九州のオートポリスを舞台にして行われた2022年の全日本スーパーフォーミュラ選手権。開幕から前年王者である野尻智紀(TEAM MUGEN)が、頭ひとつ抜け出る展開が続いていたが、この“九州決戦”では、シーズン中盤がさらに面白くなりそうなレース結果となった。

昨年は2日間とも悪天候に見舞われ、決勝レースは霧による視界不良で途中終了となってしまったが、今年は金曜日から晴天に恵まれた。

そのような中、予選でポールポジションを獲得したのはランキング首位を独走する野尻智紀(TEAM MUGEN)。微妙なコンディション変化の影響を受け、Q1からQ2にかけてのアジャストでライバルたちが苦戦する中、野尻はQ1から0.2秒タイムを上げ、3戦連続となるポールポジションを手にした。

とはいえ、決して余裕があったわけではない。予選後の記者会見に登場した野尻は、安堵の表情は見せつつも、マシンのバランスには課題を抱えているようだった。

「走り出してみたら、かなりひどいアンダーステアに悩まされていて、そこから凄く良いアジャストをチームがしてくれたので、予選までの短い時間の中でパフォーマンスアップができたと思いますし、その辺のチームの頑張りが、予選の結果として表せられたのが、非常に嬉しく思います」

さらに、予選Q1での感触をみて、ウォームアップの周回数やフロントタイヤをスクラブするかなどを決めて、最終的に1周のウォームアップを挟んで、計測2周目でアタックに臨んだ。そういった起点の利いた判断と、それに応じたチームの対応力が光った予選Q2でのアタックだったように感じる。

予選で圧倒的な速さをみせた野尻智紀(TEAM MUGEN)

しかし、予選後のパドックは「野尻の速さは手に負えない」という雰囲気になりつつあり、決勝前は「今回も野尻が優勢だろう」という予想が大半だったが……その流れを打破したのが、8番手スタートの平川亮(carenex TEAM IMPUL)だった。

レースは序盤にクラッシュが立て続けに発生し、2度のセーフティカーが導入される波乱の展開となったが、スタート直後の混戦をうまくすり抜けて3番手に浮上。5周目に牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を抜いて2番手にあがり、いきなり優勝争いに加わった。

9周目を終えたところで、2度目のセーフティカーが解除されてレースが再開されると、ランキング1位と2位の真っ向勝負に注目が集まったが、意外にも先に動いたのは野尻だった。

14周目と比較的早いタイミングでタイヤ交換を完了。この間に平川は1分30秒台前半をキープし、20周目にピットインした。実はメインでタイヤ交換を務めていたメカニックの1人が腰痛により、作業を担当できなくなり、急きょ代打のスタッフで対応することとなった。作業時間は8.5秒と少しかかってしまったが、ミスのない作業で平川を送り出し、野尻の前でコース復帰に成功した。

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そこからは安定したペースで走り続け、レース後半には1分29秒台もマーク。終盤はタイヤが厳しくなったとのことで、後続に迫られたが、最後まできっちりとマネジメントを行い、今季2勝目を手にした。

「一番はやっぱり良いスタートが切れたことです。そこは自分でも狙っていたので、決まって良かったです。今回は、ピットに入ったあとの野尻選手のペースが良くなかったので、少し引っ張って、自分のタイヤ(のパフォーマンス)が落ちるまで行ったという感じです。チームの方でタイヤ交換をいつもやっているメカニックの人が今回腰痛で駄目になってしまって……ちょっとピット作業で不安があったのですが、夜通しとか朝から練習していただいたのでピット作業も上手く決まりました。全部チームワークでできた優勝かなと思っています」(平川)

これで、合計60ポイントに伸ばし、野尻に対して7ポイント差に迫った平川。この1戦で少し流れを取り戻した感はあるのだが、「予選をもうちょっと頑張りたいと思います」と、本人の中ではまだまだ課題はある様子だった。実際、予選ポイントだけで比較すると、野尻が9ポイント獲得しているのに対して、平川は1ポイント。一発の速さが改善できれば、後半戦はさらに勢力図が変わっていきそうな予感だ。

一方、レース後半はペースが上がらず、サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)、三宅淳詞(TEAM GOH)の先行を許して4位でチェッカーを受けた野尻。今年初めて表彰台でのフィニッシュを逃す形となった。

スーパーフォーミュラで初の表彰台を獲得した三宅淳詞(TEAM GOH)

レース後の表情は険しく「苦しかったですね……」といつになく言葉少なめ様子。次回のSUGO大会に向けて、もう一度、自分自身にムチを打とうとしている様子が印象的だった。

「昨日からクルマの状況が少し難しくて、それを変えるべく色々トライはしたのですが、思った以上に良い方向に行ってくれませんでした。その辺を変えられなかったというところは力不足を感じました。こんなレースをやっていたら、(ポイントランキングは)あっという間にひっくり返されてしまいます。その辺をしっかりと、自分たちで理解をして、『この“4位という結果”が次につながったね』と言えるように、SUGOに向けて努力を積み重ねるしかないかなと思います」(野尻)

レースウィークが始まる前は「野尻のリードがこのまま続くのか?」という雰囲気が漂っていたが、日曜日の決勝が終わると、それが一変し、特に優勝した平川や今季2度目の表彰台を獲得したフェネストラズの表情は明るかった。

もしかすると、この1戦がチャンピオン争いの行方を左右するターニングポイントになったのか……ますます、目が離せないシーズン中盤戦になっていきそうだ。

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文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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