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【FIA フォーミュラE世界選手権 2022 第4戦・5戦ローマ(イタリア):プレビュー】開幕3レースで全て異なる優勝者。ロングコースのローマ
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシエドワルド・モルタラ
電気自動車レース「フォーミュラE」のシーズン8(2021年〜2022年)が2ヶ月ぶりに開催。第3のデスティネーションとなるのはイタリアのローマ市街地コースで、2022年4月9日〜10日に今シーズンの第4戦、第5戦が行われます。
J SPORTSではイタリアのローマ市街地で開催される第4戦、第5戦の模様を放送。そのプレビューをお届けしましょう。
さて、ここまで3レースが終わった今季のフォーミュラE。開幕のサウジアラビアはメルセデスのパワートレイン勢が優位にシーズンを進めていきそうな雰囲気が見えたレースでしたが、なんとメキシコの第3戦ではポルシェが躍進。パスカル・ウェーレイン(ポルシェ)、アンドレ・ロッテラー(ポルシェ)がチーム初となる1−2フィニッシュを達成したのです。
一方でメルセデス勢は決勝でも5位以下に沈み、今季の勢力図も相変わらずの混戦模様になりそうな感じになってきました。
3レースを終えて、ランキング首位につけるのはエドアルド・モルタラ(ヴェンチュリ)。モルタラは第2戦で優勝のほか、6位、5位と着実に上位フィニッシュを重ねてポイントを稼いでいます。メルセデスパワートレインを使うヴェンチュリは昨年2勝を飾るなど成績が向上中で、昨年のローマではモルタラが4位フィニッシュを果たしています。
ランキング2位は昨年のチャンピオン、ニック・デ・ブリース(メルセデス)。開幕戦で優勝し、最強パッケージで今季もリードするのかと思いきや、第3戦メキシコでは6位止まりで、5点差のランキング2位です。リザーブドライバーとしてF1のメルセデスAMGチームにも帯同する多忙なニック・デ・ブリース(メルセデス)。F1チームが低迷する中、ローマのフォーミュラEでは再び優勝を飾ることができるでしょうか?
ランキング3位は第3戦メキシコでポールポジションからの優勝を飾ったパスカル・ウェーレイン(ポルシェ)。かつてはメルセデスの秘蔵っ子としてDTM(ドイツツーリングカー選手権)のチャンピオンを経て、F1にデビューしたものの、マイナーチームで成績は振るわず、2018年にフォーミュラEに転向しました。元F1ドライバーという肩書きがありながら、決勝レースで結果を残せないことが多かったのですが、4シーズン目となる今年、初優勝を飾りました。
ランキング4位は日本でもお馴染みのアンドレ・ロッテラー(ポルシェ)。既に40歳を迎え、フォーミュラEの中では最年長の大ベテランなのですが、その速さと巧さが衰えていないことを証明しています。
ランキング5位はストフェル・バンドーン(メルセデス)。今季のベストは開幕戦の2位で、チームメイトでチャンピオンのニック・デ・ブリース(メルセデス)の影に隠れがちです。
そんなランキング上位5人をご紹介しましたが、過去のローマでのウイナーを見てみましょう。過去4レース開催されましたが、ウイナーはサム・バード(当時ヴァージン/現ジャガー)、ミッチ・エバンス(ジャガー)、ジャン・エリック・ベルニュ(DSテチータ)、そしてストフェル・バンドーン(メルセデス)と毎回異なるドライバーが勝っています。
ローマのコースは1周3.38kmと、フォーミュラEサーキットの中では最長コースであり市街地らしい低速区間と高速区間が混在するレイアウト。総合的にポテンシャルが高いマシンが優勢になり、メルセデスパワートレイン勢、そしてポルシェの2台が昨年も上位に名を連ねていました。
地元イタリアという意味では今季は久しぶりにイタリア人ドライバーが参戦します。昨年までアルファロメオF1ドライバーだったアントニオ・ジョヴィナッツィ(ドラゴン/ペンスキー)です。ローマで3回レースが開催されているにも関わらず、イタリア人ドライバーのフォーミュラE参戦は意外に少なく、実は初期の頃にヤルノ・トゥルーリが自らのチームで参戦していた時代から長くイタリア人ドライバーは居ませんでした。
F1のシートを失い、フォーミュラEに転向したものの、ペンスキーパワーユニットのアメリカンチーム「ドラゴン/ペンスキー・オートスポーツ」は時折、表彰台にも乗ることがありますが、レースによって結果にムラがあるチームで、今季の序盤3戦は完全にテールエンダー。F1では自分が去ったアルファロメオが今年好調だけに、ジョヴィナッツィはここでもテールエンダーになっており、ちょっと可哀想。
ジョヴィナッツィがフォーミュラEのレースに慣れるまではまだ少し時間がかかるかもしれませんが、地元の応援を背に浮上するキッカケを掴んで欲しいものですね。
これからイタリア、モナコ、ドイツとヨーロッパラウンド3連戦。勢い付くのはどのドライバー、どのチームでしょうか?
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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