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メルセデス勢が好調なスタートを切ったシーズン8 | FIA フォーミュラE世界選手権 2022 第3戦 プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシエドワルド・モルタラ
電気自動車レース「フォーミュラE」のシーズン8(2022年)が1月末にサウジアラビアのディルイーヤで開幕しました。続く第3戦は大西洋を渡り、メキシコシティでレースが行われます。
2022年2月12日(土)に開催されるメキシコシティe−Prixを「J SPORTS」では生中継。今回はそのプレビューをお届けします。
さて、開幕戦のサウジアラビアは1ラウンド2レース制で行われ、第1戦はシーズン7のチャンピオンに輝いたニック・デ・ブリース(メルセデス)が優勝、「メルセデス」がチャンピオンらしい走りでストフェル・ヴァンドーン(メルセデス)と共に1−2フィニッシュを飾りました。
そして第2戦はニック・デ・ブリース(メルセデス)が好調なスタートを切るも、途中で接触もありズルズルと後退。一方で、フォーミュラEのベテラン2人を起用する「ヴェンチュリ」の2台がレースをリードします。エドワルド・モルタラ(ヴェンチュリ)が第2戦を制し、ランキング首位を獲得しました。
「ヴェンチュリ」はメルセデスのパワートレインを使うチームであり、開幕戦・ディルイーヤはレース中の混乱もたくさんあり接戦のレースにはなりましたが、メルセデスのパッケージが一段進化した印象で、レースウィークエンドを制圧していたと言えるでしょう。
昨シーズンから「世界選手権」ランクに昇格した「フォーミュラE」ですが、初期から参戦していた「アウディ」、そして電気自動車を早くから世に送り出してきていた「BMW」が昨年限りでワークス活動から撤退。アウディは「エンヴィジョンレーシング」、BMWは「アンドレッティ」という形でパッケージとしては残っていますが、プライベーターになると予算は限られるため、そんな背景もあり、昨年の王者「メルセデス」が強さを維持した形になりました。
「メルセデス」は今季もニック・デ・ブリース(メルセデス)とストフェル・ヴァンドーン(メルセデス)の体制を維持。昨年、チームランキング2位の「ジャガー」もサム・バード(ジャガー)、ミッチ・エヴァンス(ジャガー)のラインナップを維持していますが、2レース終えてベストはバードの4位と奮いませんでした。
昨年ランキング3位の「DSテチータ」もジャン・エリック・ヴェルニュ(DSテチータ)とアントニオ・フェリックス・ダコスタ(DSテチータ)のコンビが継続。しかし、こちらもヴェルニュの6位が最高位となり、厳しい開幕戦になってしまったのです。
一方で面白いレースを見せてくれたのは「BMW」の撤退で、元々の体制に戻った「アンドレッティ」の2人。昨年、BMWでルーキーながら2勝をマークし、ランキング3位を獲得するなど大活躍したジェイク・デニス(アンドレッティ)に加え、インディカーでも印象的な走りを見せたオリバー・アスキュー(アンドレッティ)が加入。開幕戦からアグレッシブな走りで自身の存在を大いに印象付けました。
新人のオリバー・アスキュー(アンドレッティ)は2019年にアンドレッティからインディライツに出場し、年間チャンピオンを獲得。翌2020年にはアロー・マクラーレンSPからインディカーにデビューし、表彰台にも乗りました。しかし、レースの成績が安定せず、さらにパト・オワードらインパクトのある若手が台頭してきたことで、レギュラーシートを喪失。昨年はスポット参戦のみとなりました。アスキューはまさに崖っぷちの状態で、フォーミュラEに活路を見出しましたが、開幕戦を見る限り、今季良いレースを見せてくれる一人と言えるでしょう。
さて、今回は中米メキシコでのレース。2021年の開催が無かったので2年ぶりの開催になります。過去のウイナーで複数回優勝しているのは開幕戦で好調だった「ヴェンチュリ」に移籍したルーカス・ディグラッシ(ヴェンチュリ)。チャンピオンを獲得したシーズン3、ランキング3位となったシーズン5で優勝を飾っています。ディグラッシは第2戦でも3位表彰台に登りましたから、この好調がキープできれば大本命と言えるでしょう。
コース
コースは2020年と同じ1周2.6km、ターンは全16のレイアウト。Gen2シャシーでの2020年レースウイナーはミッチ・エヴァンス(ジャガー)でした。このコースでは日本の「ニッサン」も好調な走りを見せていましたし、開幕戦をノーポイントに終わったウップンを晴らして欲しいものですね。
熱狂的なファンが迎えるメキシコシティ。高速コースならではのオーバーテイクショーとスタジアムセクションでの盛り上がり。見応えのあるレースになるでしょう。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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