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モーター スポーツ コラム 2022年1月20日

2021 インタープロト&KYOJO CUP第4大会レポート ついにシリーズチャンピオンが決定!

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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福住仁嶺(キーパー号)

2021年の「インタープロトシリーズPowered by KeePer」と「KYOJO CUP supported by MUSEE PLATINUM」は、2021年12月11日~12日にシリーズ最終戦となる第4大会が行われ、両レースともシリーズチャンピオンが決定した。

【福住仁嶺、粘り強い戦いぶりで2連覇達成】

インタープロトでは第3大会を終えて、福住仁嶺(キーパー号)が62ポイントでランキング首位につけ、それを10ポイント差で山下健太(NAVUL)が2番手につけ、そこから藤波清斗(GARDEN CLINIC RT)、阪口晴南(INGING MOTORSPORT)、野尻智紀(CARGUY IPS)が僅差で続くという展開となっていた。

シリーズの最終大会では予選のポールポジションボーナス、決勝でのファステストラップボーナスを含めて、全てポイントが1.5倍となるため、数字上では福住が有利に見えるのだが、多くのライバルにも十分に逆転のチャンスが残されていた。

その中で行われた11日(土)の予選。近年インタープロトのプロフェッショナルは他のカテゴリーに引けを取らないくらい僅差の戦いが繰り広げられており、今回もトップ4台が0.1秒差にひしめく接戦のタイムアタック合戦となった。そこでポールポジションを勝ち取ったのは山下。第3大会はジェントルマンレースでのアクシデントで決勝を走れず不完全燃焼に終わったが、その鬱憤を晴らすような走りをみせた。それでも、0.004秒差で福住が2番手につけており、決勝に向けては全く気が抜けない状況だった。

迎えた12日(日)の決勝レース。1レース目の第7戦はグリッド通り山下が先行。一方の福住は阪口に抜かれ3番手に下がった。それでも冷静にペースをつかんでいき、後半に入るところで挽回を開始。7周目のコカ・コーラコーナーでトップに浮上した。常に真後ろで待機し、巡ってきたチャンスを確実に活かしたオーバーテイクだった。

山下、阪口と激しいバトルを制した山下。

福住は、このままトップでチェッカーを受け第7戦を制し、チャンピオン獲得に大きく近づいた。

そのままグリッドに再整列してスタートが切られた第8戦。ここでも勝利して2年連続チャンピオンを決めたかった福住だが、ライバルも簡単には先行を許してくれない。まずは第7戦で2位に甘んじた山下が間合いを詰めて4周目の1コーナーで逆転し、トップに浮上。2番手の福住の後方には今季優勝を飾っている阪口も接近し、レース後半は三つ巴の接近戦となった。

そして残り2周というところで展開が大きく動く。山下と福住が競り合っている背後でスリップストリームを使って阪口が一気に2台を抜いてトップに浮上。そのバトルで山下に一瞬の隙ができ、そこを見逃さなかった福住が2番手を奪った。

その後も目が離せない接近戦となったが、最後まで逃げ切った阪口がトップチェッカーを受け、2位となった福住が2年連続でシリーズチャンピオンを勝ち取った。

「決勝レースでのロングランではペースが良いことは分かっていたので、無難にスタートしてチャンスを待つ作戦でした。ところがレース1ではスタートで阪口選手にパスされてしまい、慌てて抜き返すことに専念しました。レース中盤までは山下選手を追い詰めていって、最後に逆転してトップに立つという、思い描いていた通りのレースになりました。レース2では前半はバランスが良くなくてペースもなかなか上げることができませんでした。山下選手に先行されクルマも厳しかったのですが、最低でも2位で完走すれば(チャンピオンが確定する)と頑張りました」

連覇を果たした福住仁嶺

そう語った福住。インタープロト連覇に安堵の表情を見せるも、すでに現状の課題克服に目を向けていたのが印象的だった。

「チャンピオンを獲ることができてホッとしています。このクルマは、前を走っているときはバランスもおかしくて大変なんですが、誰かの後ろから着いて行くときはとても安定して走りやすいんです。その理由を探っていくことがこれからの課題ですね」

2021シーズンも各大会で手に汗握るバトルが繰り広げられたインタープロトシリーズ。その中で福住は最終戦での戦いぶりからも分かるように、劣勢になった場面でも大きく順位を落とすことなくチェッカーを受けているレースが多かった。この粘り強さが、2年連続チャンピオンという結果につながっているのだろう。

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【辻本始温、念願のKYOJO CUP初戴冠】

女性ドライバーのみで争われるKYOJO CUP。最近は認知度も上がり、この最終戦には16台がエントリーした。

その中で注目が集まったのは、悲願の初チャンピオンに王手をかけている辻本始温(ORC ARUGOS VITA)。予選ではただひとり2分00秒台を切る1分59秒922をマークし、今季2度目となるポールポジションを獲得した。2番手には萩原友美(KNC VITA)、3番手には下野璃央(YGF Drago VITA)がつけ、逆転チャンピオンの可能性を残している2人が辻本の背後を固めた。

辻本始温(ORC ARUGOS VITA)

注目の決勝レース。好スタートを決めて辻本は後方が激しいポジション争いをしている間にリードを広げにかかったが、そこに食らいついたのが下野だった。2周目の1コーナーでインに飛び込みトップに浮上。ペースよく後続を引き離していった。

下野が有利かという展開になりつつあったが、後半に入ると、猛烈な勢いで後方から追い上げてきたマシンがあった。8番手スタートの翁長実希(KeePer VITA)だった。6周目の1コーナーで辻本を抜くと、ファステストラップを更新する走りで下野に接近。8周目の1コーナーで仕掛けにいった。

ここが勝負どころと捉えていた下野だったが、ブレーキングでタイヤをロックさせてしまいコースオフ。これで、翁長がトップに浮上し、最後は1.7秒の差をつけて今季2勝目をマークした。

今季2勝目をあげた翁長実希(KeePer VITA)

注目のチャンピオン争いは、確実な走りで3位に入った辻本が悲願のチャンピオンを獲得。シーズン中はミスをしてしまう場面もあったが、全てのレースで表彰台を獲得する安定した走りが初戴冠につながった。

「デビューシーズンとなった昨年は、4位が最高位で表彰台にも上ったことがなかったのに、今年は開幕から連勝で、それ以外でも表彰台に立てるようになり、自分でも成長を感じることができました」

「速さは出てきたと思うのですが、それを安定して発揮できていないのが自分の課題で……走っていない時でもフィジカルやメンタルのトレーニングをしてきました。結果としてチャンピオンを獲ることができて、本当に嬉しいです」

参戦2年目で悲願のチャンピオンを獲得した辻本始温(ORC ARUGOS VITA)

「2022年はフォーミュラに乗りたいと思っていますが、KYOJO CUPの代表だという気持ちで最後まで諦めないで戦っていきたいです。『自分はKYOJO CUPで育ってきた』『KYOJO CUPで速くなった』と自信をもって言えるように頑張りたいです」

昨年、表彰台を獲得できなかったという悔しさから、自分に磨きをかけ続けてきた辻本。特にプレッシャーのかかった最終戦で大きなミスもなく表彰台を獲得した姿に、彼女の成長を感じた最終戦だった。

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文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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