2022年WRC第1戦ラリー・モンテカルロ “注目の新レギュレーション”

1月15日にお披露目されたニューマシン。

今年でモンテカルロは90回目の節目開催。そして今年はWRCにとって色々な変化の年となります。注目の変化点を3つほど挙げます。

【1】 FIAの会長人事でジャン・トッド氏が退任、新会長はUAEのモハメド・ビン・スレイアム氏が就任。彼は1980年代の中近東シリーズでトヨタに乗り何度もチャンピオンになったドライバーで旧友が会長になってまずはオメデトウというところです。就任後の発言で“WRCにはもう2－3社の新規参入が必要。競合が少ないと世界選手権とは言えない”と述べています。私も同感。このところのトヨタ対ヒュンダイの一騎打ちをいつまで続けるのでしょうか。エスカレートして日本国対韓国のような感情が出てくるのは好ましくないと考えています。とりあえずフォードが間に入って頑張ってくれるといいなと思います。

1980年代ヨルダンにて、筆者（右）とFIA新会長モハメド・ビン・スレイアム氏（左）。写真は筆者提供。

【2】 新車両レギュレーション
トップカテゴリーのR1がWRカーの24年の歴史に別れを告げハイブリッドに変わりました。エントリーリスト1番から10番位を占める車両です。ベースエンジンは従来と同じ1600ターボですが必要なときに蓄積した電池からパワーを放出して短時間ですが約134馬力を追加することが出来ます。電力を溜め込む為に予備的な走り方をしなければなりませんが、ひとつの武器として使用することが出来ます。その他パイプフレーム構造、サス・ストロークの制限、センターデフ廃止などがあります。全体としてはラリー車両がプロダクション・カーからプロトタイプ化した印象で大昔のグループ5みたいな印象です。プロト化することで生産モデルとの関連をなくしてコストを下げることにより新規メーカーの参入を促す作戦とも見られます。

Toyota GR Yaris Rally1

【3】 ラリー・モンテカルロの大幅コース変更
第90回の節目に2014年から続いてきたギャップから、モナコにベースを集中させた新ルートへ変更となります。実に95パーセントが新コースとされています。そのためレッキは3日間行われますが、クルーは新スペックの車両とともに過酷なレッキ作業が求められるでしょう。ラリーコースは主としてモナコ近辺のフランス領アルプ＝マリティームとアルプ・ド・オート・プロバンスになり、難易度が高いステージに設定になっています。

ここで年頭ですから2022年のWRCカレンダーを紹介しておきましょう。

今シーズンの各マニュファクチャー・チーム体制は次の通りです。
トヨタ：エバンス、ロバンペラ、オジェとラッピは選択的起用、第2チームで勝田
ヒュンダイ：タナク、ヌーヴィル、ソルベルグ、ソルド（選択的起用）
フォード：ブリーン、グリーンスミス、フルモー、ローブ（選択的起用）

トヨタはモンテにオジェを起用、フォードもローブをエントリーしました。新旧二人のセバスチャン対決が楽しみです。

ラリーコースはターマックに高地特有の雪、氷が随時出現。日向と日陰の状況変化が激しく予想不可能ですが、グラベル・クルーと称する先行車の適切なアドバイスも重要です。この時期どのような気象条件になるのでしょうか。ラリー概要次のとおりです。

文：福井敏雄