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モーター スポーツ コラム 2021年11月5日

GT300ルーキーの佐藤蓮、トップを目指して続く“悪戦苦闘の日々”

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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SUPER GTデビューイヤーで悪戦苦闘している佐藤連(No.55 ARTA NSX GT3)

国内のトップ選手から経験豊富なベテランまで多彩なドライバーがエントリーするSUPER GT。もちろん、将来トップの座を目指す若手ドライバーも挑戦をし、悪戦苦闘の日々を過ごしている。

その中で、今シーズン注目を集めている若手の1人がNo.55 ARTA NSX GT3をドライブする20歳のドライバー、佐藤蓮だ。

全日本カート選手権で輝かしい成績を残し、鈴鹿サーキット・レーシング・スクールを経て、4輪レレースに本格参戦。2019年にはFIA F4でシリーズチャンピオンを勝ち取った。

2020年にはヨーロッパに渡りフランスF4に挑戦し、ランキング2位を獲得。今年は活動の拠点を日本に戻し、SUPER GTのGT300クラスに初挑戦している。

今シーズン、注目ルーキーのひとりとして開幕前から注目を集めていた佐藤だが、SUPER GTでは異なるクラスとの混走の中でバトルをするほか、2人のドライバーで1台のマシンをシェアするという特徴がある。そこに慣れていかないといけない部分もあるが、何もかもが初挑戦となる佐藤は、開幕戦から“SUPER GTの難しさ”を身をもって経験するレースが続いている。

開幕戦の岡山では、無理に仕掛けてしまい、レース終盤に接触。他車をスピンさせてしまった。第4戦もてぎでは自身が担当した後半スティントでクールスーツが機能せず、熱中症にかかってしまい、レース後はメディカルセンターに運ばれた。

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第6戦オートポリスでは土曜朝の公式練習でクラッシュを喫してしまう。チームは予選開始まで時間がない中、懸命に修復作業を行い、なんとか予選出走には間に合ったが、クラッシュによりマシンのセットアップやタイヤ選択が出来なかったことが大きく響き、下位に沈む結果となってしまった。

シーズン開幕前は「ここで結果を残して、再び海外に行くチャンスを掴みたい」と力強く語っていた佐藤。思うようにいかないシーズンを過ごしているが、チャンスがあれば果敢に攻めていく姿勢だけは崩れていない。

特に第3戦鈴鹿では、後方グリッドから追い上げて行くレースとなったが、高木真一から交代した佐藤は、マシンに乗り込むと、怒涛の追い上げを開始した。鈴鹿サーキットはコース幅が狭く、追い抜くポイントも限られているのだが、前のマシン1台ずつ着実にオーバーテイク。後半スティントに入った直後は22番手だったが、みるみるうちにポジションを上げていき、最終的に7位でチェッカーフラッグを受けた。

第5戦SUGOでも、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORTに積極的に食らいついていく走りを披露。最後は相手に振り切られてしまい、2位フィニッシュとなったが、着実にGT300クラス初勝利に近づきつつある。その頑張りをARTAの土屋圭市エグゼクティブアドバイザーや、パートナーを務める高木も評価しており、この終盤戦は非常に楽しみな存在のひとりだ。

土屋エグゼクティブアドバイザー(左)とパートナーの高木(右)からの評価も高まっている。

普段は割と静かな雰囲気があり、シーズン序盤の時は、「着実にポイント取りこぼしがないようにいきたい」と、コメントもどこか謙虚なところがあったが、もちろん胸の内には秘めたる想いは持っていた。それがレースを重ねるにつれて、前面に出るようになりはじめ、仮に予選で後方に沈んでも「絶対に追い上げます!」と、コメントにも力入り始めている。“早く、1勝目を挙げたい”という想いが、強くなっている証拠なのだろう。

悪戦苦闘を続けながらも、ひとつひとつの経験を糧にし、着実に成長を遂げている佐藤蓮。終盤戦はサクセスウェイトも少なくなり、最終戦では全車がノーウェイトとなる。そこでライバルを圧倒するような走りを見せられるか。トップの座をかけた勝負の終盤戦が、いよいよ始まる。

文:吉田 知弘

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吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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