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モーター スポーツ コラム 2021年11月1日

SUPER GT第7戦プレビュー |ポイント半減の戦い。荒れないバトルを期待!

SUPER GT by 秦 直之
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第7戦は今シーズン2度目のツインリンクもてぎ決戦となる。

ツインリンクもてぎが舞台となる、SUPER GT第7戦はご存知のとおり、サクセスウェイトが半減される一戦でもある。前回まで獲得ポイントの2倍だったGT500クラスはポイントそのままのウェイトを積み、3倍だったGT300クラスは1.5倍となるウェイトを積むため、ランキング上位陣ほど重荷を背負わずに済む。ちなみに最終戦は全車ノーウェイトにもなる。

ところで、もてぎと言えば例年最終戦の舞台で、しかも250kmレースとして開催されてきた。さらにノーウェイトということで、タイヤ無交換など戦術の駆使で、成績の左右もあったわけだが、第7戦というのが重要なポイントで、ウェイトは半減されても搭載せねばならず、なおかつ300kmレースなのである。そのため従来のセオリーが通用しなくなることは、コロナ禍でリスケジュールせざるを得ず、やはり第7戦として開催された昨年の例で明らかだ。

さらに加減速を頻繁に繰り返すレイアウトは、相性の良し悪しがしっかり分かれる。特に車種のバラエティに富むGT300クラスでは、顕著に現れるであろうから、一筋縄ではいかない戦いとなるのは、もはや必至と言えよう。

予選結果が、そのまま決勝の結果には結びつかなかったオートポリス

第6戦でようやく結果が伴う走りを見せた38号車ZENT CERUMO GR Supra。

「やっと勝った」、それが素直な印象だったのではないか? 前回のオートポリスで優勝を飾ったのは、野尻智紀/福住仁嶺組のARTA NSX GT。ここまで速さでは他を圧していたのに、なぜか決勝では展開に恵まれず、第5戦SUGOではポール・トゥ・ウィンさえ夢ではなかったのに、ピット戦術のミスが重なって、勝てずにいたチームがついに。

2位は立川祐路/石浦宏明組のZENT CERUMO GR Supraが獲得。SUGOでエンジントラブルを抱え、3基目のエンジン投入となって、「5秒ストップ」のペナルティを受けたGR Supra3台のうちの1台ではあったが、しっかり追い上げ果たして、この結果を得ていた。ARTA NSX GT同様、確かに積んだサクセスウェイトは軽かったとはいえ、他の2台が予選で速さは上回っていたことを思えば、驚異的な結果と言えるだろう。

また、止まったのは5秒だけとはいっても、実際にはピットロードを80km/hで走り続けなければならないのだから、その間のロスの方がはるかに大きい。結果として30秒近くトップから離されたとはいえ、このペナルティがなければ、ZENT CERUMO GR Supraが勝っていた可能性は十分あるだろう。

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そして、何よりオートポリスで驚かされたのは、ポイントリーダーである山本尚貴/牧野任祐組のSTANLEY NSX GTが6位に入ったことだ。110kg相当のサクセスウェイトを搭載していたというのに! ポールポジションを奪った、笹原右京/大湯都史樹組のRed Bull MOTUL NSX GTが、決勝でもトップを走っていたのに、フロント右のホイールが脱落。

序盤のうちにあえなくリタイアを喫し、またセーフティカーが2度入るなど、いかに荒れた展開だったかが理解できよう。

ARTA NSX GTの連勝もあり得る?

連勝し、最終戦に臨みを繋げたい8号車 ARTA NSX GT。

さて、今回のもてぎだが、前回のオートポリスほど荒れないと予想している。大きな理由としては、今年すでにもてぎではレースが行われていることを挙げたい。コロナ禍で昨年はレースが開催されず、2年ぶりとなったオートポリスには、あまりにデータが少な過ぎたという背景もあった。こと路面は、たった1年の経過で状態が大きく変化する。ただでさえタイヤを酷使するレイアウトで、2年前以上にタイヤが酷使されれば、ああいった状況に陥っても仕方がないからだ。タイヤをうまく使えたチームが上位に、そしてうまく使えなかったチームが順位を落としたものと思われる。

その点、繰り返しになるが、もてぎは今年2回目。気候条件こそ違うものの、そのあたりの対応は抜かりあるまい。また、加減速は頻繁に繰り返されても、タイヤにかかる負担はそれほど大きくないので、タイヤのグリップダウンによる「手も足も出ない」状態は、かなり回避できよう。その上でウェイト感度は比較的高いので、軽さは大いに武器になってくるはず。

実際、7月の第4戦で勝ったSTANLEY NSX GTは、その時22kgしか積んでおらず、2位となった国本雄資/宮田莉朋組のWedsSport ADVAN GR Supraに至っては10kgでしかなかった。逆に70kgで臨んでいた大嶋和也/山下健太組のENEOS X PRIME GR Supraは13位に甘んじ、以降入賞さえさせてもらっていないのだから、まさに運命の分かれ道となった感もある。ともあれ、パッシングポイントが少ないサーキットでもあるため、まず予選で前にいるのが必須条件。柔らかめのタイヤを使っても、攻撃性はそう高くない。ということで、予選からかなり攻めた状態で、各チーム臨むことが予想され、クラッシュやメカニカルトラブルがない限り、予選から大きく順位が動かないのではないかと。

ただ、ひとつだけ動くとしたなら、そのクラッシュがあってセーフティカーが入ったり、FCYが提示されたりした時、直前にピットへ入っていたというケース。こればかりはどうにもならない。ともあれ、優勝の条件はサクセスウェイト40kg以下。ひょっとしたら、もっと低いかもしれない。

そんな予想からすると、ARTA NSX GTの連勝もありだと予想する。そして、不運に見舞われたRed Bull MOTUL NSX GTの逆襲も。さらに、ENEOS X PRIME GR Supraも前回は予選2番手で、一発の速さはあるだけに今回も上位にいられれば、そのままの順位を保てるのではないか?さらに前回、トラブルで予選最下位に沈むも、4位まで追い上げてきた平手晃平/千代勝正組のCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの勢いも、見逃せなさそうだ。
また、60kg積んでなおSTANLEY NSX GTが、またもポイント獲得なれば、もはや王手をかけたも同然。山本の連覇が一気に濃厚になってくるだろう。

もてぎでまたも魅せてくれるか、RUNUP RIVAUX GT-R

360号車 RUNUP RIVAUX GT-Rは昨年のような結果を出すことができるのか?

正直言ってオートポリスのGT300クラスは、ふたつの意味で予想外の結果となった。まずひとつは、これまで低迷が続いていた嵯峨宏紀/中山友貴組のTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTが、著しい進化を遂げてポール・トゥ・ウィンを飾ったことだ。事前にプライベートテストを実施し、足回りのジオメトリー変更なども行われたというが、最大の進化は唯一搭載するハイブリッドシステムのシャシー側にあったという。ドライバーふたりは回生ブレーキとメカニカルブレーキのバランス向上と語るが、実際にはもっと奥が深そう。とにかくサプライズ的な優勝ではあった。

第6戦でポールtoウィンを飾った31号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT。

そして、もうひとつは新田守男/阪口晴南組のK-tunes RC F GT3に次ぐ3位が、井口卓人/山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTだったことだ。ポイントリーダーとして臨み、また、サクセスウェイトの上限100kgに達した3チームのうち、唯一入賞を果たしたばかりか、高得点に成功していたからだ。これにより、一気にシリーズをリードすることとなった。

さすがにSUBARU BRZ R&D SPORTが、今回も表彰台に立つことはないだろう。ひとつには半減されても75kgものヘビー級ウェイトで、なおかつコーナリングマシンであるBRZにとっては、むしろ苦手と言ってもいいコースだからだ。したがって今回は、最終戦・富士で悲願のタイトルを確実にものにするため、「送りバント」的なレースになるのではないか? 1ポイントでも多く獲ろうと。

その上で、冒頭で触れたとおりGT300クラスでは、相性の良し悪しがハッキリ分かれるサーキットでもある。第4戦の結果を振り返る限り、GT-RとGR Supra以外に勝ち目はなさそうに感じるほど。ただし、勝ったのは加藤寛規/阪口良平組のmuta Racing Lotus MC。このときはしかし、ドライバー交代を遅らせたがゆえに、アクシデントが発生してFCY発動直前に、ピットに戻れたという展開に恵まれた上での勝利でもあって、実のところマザーシャシーは本来、苦手としているサーキットでもあった。

それはともかく、GT-RとGR Supra勢は、総じて大量のサクセスウェイトを積んでいる。これが予想をさらに困難にするのだ。先にも触れたとおり、もてぎは非常にウェイト感度が高いからである。一昨年まで「もてぎでは無敵」説もあった、蒲生尚弥/菅波冬悟組のLEON PYRAMID AMGが以前のようなノーウェイト状態で勝ち続けてきたが、ウェイトを背負わされた途端に苦戦を強いられており、昨年の第7戦では入賞すら許されず、今年の第4戦ではようやく9位につけたほど。

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今や軽いGR Supraこそ存在しないが、軽いGT-Rは存在する。星野一樹/石川京侍組のGAINER TANAX with IMPUL GT-Rや、青木孝行組のRUNUP RIVAUX GT-Rがそれだ。特にRUNUP RIVAUX GT-Rは、昨年もてぎでドラマチックな展開を繰り広げており、第4戦ではポールを獲得し、決勝でも2番手を走るもラスト4周のガス欠で涙を飲んだ。しかし、第7戦では3位でゴールしてリベンジに成功。その時の青木選手のパートナー、大滝拓也選手がまた起用されるのは、間違いなく狙いにいっている証明だ。

ダークホースは前回9位の木村武史/ケイ・コッツォリーノ組のPACIFIC NAC CARGUY Ferrariと、10位だった松井孝允/佐藤公哉組のHOPPY Porsche。第4戦でもそれぞれ7位、6位でゴールしており、サクセスウェイトも21kg、15kgとあって、ひょっとするとひょっとするかもしれない。

文:秦 直之

秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

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