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第4戦のリベンジを期す宮田莉朋。
2021年のSUPER GTは若手ドライバーの台頭が著しく、開幕戦からアグレッシブな走りをみせている。その中で、5月の第2戦富士、7月の第4戦もてぎで周囲の注目を集める走りをみせたのが宮田莉朋だ。
2016年・2017年のFIA F4でシリーズチャンピオンを獲得し、全日本F3選手権でも参戦初年度から上位争いを展開。スーパーフォーミュラ・ライツに生まれ変わった2020年に念願のシリーズチャンピオンを獲得した。2021年からスーパーフォーミュラにフル参戦中だ。
一方、SUPER GTには2018年にGT300デビューを果たし2019年には1勝をマーク。2020年からはGT500へステップアップし、国本雄資とともにNo.19 WedsSport ADVAN GR Supraで戦っている2年目となった今シーズンは、序盤戦からアグレッシブな走りをみせている。
5月の第2戦富士では、手強いライバルが出揃うQ2で圧巻の走りを披露。0.003秒差と僅差ではあったが、自身初となるポールポジションを記録した。これまでスーパーGTでは、同世代のドライバーたちが活躍を見せる中で、宮田は彼らの背中を追いかけるような状況が続いていた。
特にGT500クラス1年目となった昨年は、決勝での最上位も7位と、なかなか上位争いができなかった。しかし“いつかは必ず追い越す”という気持ちで努力を続け、そのひとつの成果が、この第2戦富士でのポールポジションに繋がったといえるだろう。
第2戦で自身初のSUPER GTでポールポジションを獲得した。
「僕たちはヨコハマタイヤさんと一緒に色々なことをやってきたので、その努力を早く結果に残したいという気持ちがありました。これまでに他のカテゴリーでポールポジションを獲ってきた経験はありますが、SUPER GTはいろんな要素がすべて噛み合わないとトップになれないレース。だからQ2のアタックを終え、チームから無線で『ポールポジションだよ』と言われたときは、いろいろな想いがこみ上げてきて、コックピットの中で泣いてしまいましたね」
まずは、大きな結果を一つ残すことができて安堵の表情をみせていた宮田。しかし、決勝はライバルの強さに屈して順位を落としてしまい、7位でフィニッシュとなった。
それから、2ヶ月のインターバルを経て迎えた第4戦もてぎ。19号車も得意とするコースで宮田はさらにアグレッシブな走りをみせる。
予選では、チャンピオンのNo.1 STANLEY NSX-GTの山本尚貴に対して0.051秒差に迫る1分37秒549で2番手につけると、決勝でも王者を追い詰めていく。
国本からバトンを受け取った宮田は、当初5秒近くあった1号車(山本)との差をみるみるうちに縮めていき、射程圏内に捉えた。
19号車が逆転でトップに立つことは間違いないだろうと、この時サーキットにいた多くの関係者やファンは信じて疑わなかったが、相手は百戦錬磨の山本。全く隙のない走りで宮田の強みを封じ込めていた。
「もてぎはやっぱり抜きづらいですし、(1号車が履く)ブリヂストンの強みと(19号車が履く)ヨコハマの弱みが良い具合に出てしまって、ヨコハマの強みが薄れている状態での勝負になってしまいました。GT300のトラフィックとかで、相手が前に引っかかっている状態だったら勝負できるんですけど、そうじゃない時に真後ろからオーバーテイクというのがなかなか難しかったです」
結果は、1号車が最後まで逃げ切ってチェッカーフラッグ。王者の強さが存分に発揮された1戦だった。
第4戦では、レース終盤逆転を狙ったが、山本の巧さに見事に封じ込まれた。
レース後のパルクフェルメ。1号車の前で相方の牧野任祐とともに喜びを爆発させる山本。その傍らで、宮田はしばらく下を向いていた。レース中にはファステストラップも記録するなど、速さは見せ続けていた宮田。だが、結果は2位……。込み上げてくる悔しさを必死に押し殺そうとしている姿が印象的だった。
「何としてもファステストを更新したいと思っていたので、そこ(ファステストを取れたこと)は良かったですけど、追い上げられなかったことについては、本当に悔しいです。でも、やり切った結果です」
表彰式を終えて、各メディアの取材に応じた宮田。その時には、悔しさをバネにして再び前を向こうとしていた。
「今まで、ずっとトップ争いをしたいと思っても、それができないシーズンが続いていました。でも、今年ようやくうまくいくようになって、富士でポールポジションが獲れました」
「このもてぎでは僅差で負けましたけどポール争いができましたし、レースも最後までプッシュして、勝てなかったですけど、こうやって2位で終えることができました。こうして悔しいと思えるところまできているということはは、関係するみなさんと一緒に努力してきたからこそです」
「だから、これからも努力を怠ってはいけないと思っています。マシンのメンテナンスもしっかりやって、ヨコハマタイヤさんとしっかり連携をとって、やれるところは一生懸命やる。本当にここから腐らずに頑張っていきたいと思います」
もてぎの結果は悔しさが残ったのは確かだったが、今まで手が届かなかった相手と互角に渡り合えるようになり始めていることを実感した1戦でもあった。この敗戦をバネに、さらに力をつけていくであろう宮田莉朋。今後の成長と活躍から、ますます目が離せない。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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