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モーター スポーツ コラム 2021年8月12日

【FIA フォーミュラE世界選手権 2021 第14戦&15戦 ベルリン:プレビュー】18人が世界王者になる可能性を秘めた刺激的な最終戦

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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ニック・デ・ブリース(メルセデス)

ニック・デ・ブリース(メルセデス)

電気自動車レース「フォーミュラE」のシーズン7(2021年)がいよいよ最終ラウンドとなる第14戦、第15戦を迎えます。最終戦の舞台はベルリンの急雨国際空港の跡地を利用したテンペルホーフ空港ストリートサーキット。

2021年8月14日(土)15日(日)に開催されるドイツでのベルリンe−Prixを「J SPORTS」では生中継。今回はそのプレビューをお届けします。

さて、いよいよ最終戦ということになるわけですが、今シーズンの大きなトピックスに、「フォーミュラE」がF1と並ぶ世界選手権レースになったことがありました。やっていることはシーズン6(2019年〜20年)と大きくは変わっていないのですが、多くの自動車メーカーの参入により世界選手権へと昇格したことで、そのチャンピオンは「ワールドチャンピオン」の称号を得ることになります。

多くの人がワールドチャンピオンのタイトルの中で最高峰がF1だと思っていいるのは事実ですが、これだけ多くの自動車メーカー、そして元F1ドライバーなど輝かしいキャリアを誇るトップドライバーが参戦するフォーミュラEですから、初めてのワールドチャンピオンを誰が取るかというのは大いに注目すべきポイントです。

しかしながら、ベルリンでの2戦を前にシリーズは大混戦。この2戦で得られる最大獲得ポイントは30点の2戦分=60点(*)ですので、第14戦を前にした段階では数字上、なんと18人ものドライバーにチャンピオン獲得のチャンスがあることになります。シーズン5(2018−19年)は最後の2戦(ニューヨーク)を前に8人でチャンピオンを争った一方、シーズン6(2019年〜20年)は最後の2レースを前にアントニオ・フェリックス・ダコスタ(DSテチータ)がチャンピオンを決めてしまっていた、という状況を考えると18人に可能性があるという今季の状況はかなり異例です。

その原因は13戦を終えて10人ものウイナーが誕生する大混戦ぶり。驚くべきは全25人中19 人のドライバーが3位以上の表彰台を経験していることです。いやいや、こんな大混戦のシーズンはあらゆるモータースポーツカテゴリーをくまなく探しても、なかなか無いことです。

ニック・デ・ブリース(メルセデス)

メルセデス

そんな中、最終ラウンド・ベルリンを前に選手権をリードするのはニック・デ・ブリース(メルセデス)=95点です。第12戦、第13戦のニューヨーク戦を前にした時点ではシリーズランキングの上位5人にいなかったドライバーが、2位表彰台を2回獲得して一気に首位に躍り出るという驚きの事態。これはもはや最後のレースがフィニッシュするまで誰がチャンピオンになるかは全く読めない展開です。

ランキング2位で続くのはロビン・フラインス(ヴァージン)=89点で、首位のニック・デ・ブリース(メルセデス)と共になんとオランダ人が1−2という状態です。ただ、フラインスは今季まだ1度も優勝がないドライバーですが、ディルイーヤとモナコで2位表彰台を獲得しています。アウディのパワートレインを使うサテライトチームですが、「ヴァージン」はチームメイトのニック・キャシディ(ヴァージン)も2位表彰台を2回獲得してチームランキング首位。初年度から参戦するチームが悲願のタイトルを獲得できるビッグチャンスです。

そしてランキング3位はサム・バード(ジャガー)=81点。前戦まではランキング首位でしたがまさかの2戦連続リタイアでノーポイントに終わったバードはトップから14点差をつけられてしまいました。2戦連続リタイアでこの差なら思ったより大きなダメージではなかったという感じかもしれませんが。

ランキング4位は第12戦で2勝目を飾ったジェイク・デニス(BMW)=81点。ランキング5位はディフェンディングチャンピオンのアントニオ・フェリックス・ダコスタ(DSテチータ)=80点と僅差で続きます。

最終戦ベルリンは昨年は3つのレイアウトで行われましたが、今回は8月14日(土)の第14戦が反時計回りのレース、そして8月15日(日)の第15戦が時計回りのレースとなります。土曜日と日曜日で全く違う様相となりそうなところが最終戦の大波乱を呼ぶ要素です。昨年の反時計回りレイアウトではアントニオ・フェリックス・ダコスタ(DSテチータ)が最速で、ダコスタが2連勝。時計回りレイアウトではジャン・エリック・ベルニュ(DSテチータ)が最速で、マキシミリアン・ギュンター(BMW)とベルニュが優勝と、データ上はDSテチータとBMWが良い結果を残しています。

BMWは今回のタイトルスポンサーですが、今回のレースを最後にフォーミュラEから撤退。また同じドイツのメーカーとしては初期からフォーミュラEを支えたアウディも撤退となります。アウディ、BMW、ポルシェ、メルセデスとドイツの自動車メーカーそろい踏みのフォーミュラEも実は今回で見納め。そういう意味でも、ランキング首位のニック・デ・ブリース(メルセデス)、そしてチームランキング2位の「メルセデス」はBMWとアウディが居る状態でチャンピオンを勝ち取りたいでしょう。

どの自動車メーカーが初のワールドチャンピオンを取るのか、撤退するメーカーが勝ち逃げするのか、はたまたフォーミュラEを支えてきたプライベーター達がメーカーより先に栄光を掴むのか。とてつもなく興味深い最終戦になりそうです。

(*)【2021年8月16日11時30分修正】
最大獲得ポイント数の表記に誤りがあったため該当の文章を修正しました。読者並びに関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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