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【スーパーバイク世界選手権 第5戦 アッセン:プレビュー】鈴鹿8耐にも参戦決定!カワサキワークス逆襲なるか?
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ第4戦 決勝レース2 ポディウム ラズガットリオグルが優勝した
排気量1000ccのスポーツバイクが戦う「FIMスーパーバイク世界選手権」。夏休みを経て、第5戦がオランダのTTサーキット・アッセンで開催。いよいよここから夏本番の連戦が始まっていきます。
TTサーキット・アッセンは1925年からダッチTTというオートバイレースを開催してきたロケーションで、その伝統からMotoGPオランダGPは今もダッチTTと呼ばれています。2006年に大幅なコース改修が行われ、1周約4.5kmのコースになりましたが、チャレンジングなコースであることは変わりません。
グランプリレースではなくともプロダクションバイクがベースの「「FIMスーパーバイク世界選手権」のライダーにとってもアッセンでのレースは特別な存在。近年はラップタイムがMotoGPに肉薄しつつあり、ライダーにとっても走りがいがあるコースです。昨年は新型コロナウィルス感染拡大の影響でキャンセルになりましたが、1992年から「FIMスーパーバイク世界選手権」が開催されています。
ちなみに前回の2019年のウイナーはアルバロ・バウティスタ(当時ドゥカティ、現ホンダ)。新型ドゥカティ・パニガーレV4Rの登場で開幕11連勝を成し遂げていた時の優勝でした。それ以前はジョナサン・レイ(カワサキ)の得意コースで、カワサキのライダーとしてはもちろんホンダ時代にも優勝してるのです。
オランダが母国のマイケル・ファン・デル・マーク(BMW)はもちろんホームヒーローとしてファンの期待を背負います。今季はBMWに移籍し、新型マシンのM1000RRで参戦していますが、第4戦ドニントンパークのスーパーポールレースでようやく今季初となる3位フィニッシュを獲得。トム・サイクス(BMW)もレース2で3位表彰台に上がり、BMWは上り調子の状態でアッセンを迎えられそう。ファン・デル・マークは地元アッセンでの優勝はないものの、毎年のように表彰台に上がっているので、新しい体制でどんなレースをするか楽しみです。
しかしながら、現実的に優勝争いはヤマハvsカワサキ、そこにドゥカティも絡んでというトップ争いになりそうな気配。前戦ドニントンパークではついにトルコ人ライダーのトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)=183点がジョナサン・レイ(カワサキ)=181点を抜いてランキング首位に立ちました。ラズガットリオグルにとってドニントンは得意コースと言えましたが、レース1、レース2共に優勝。ドニントンを走り慣れていないギャレット・ガーロフ(ヤマハ)がレース2で2位表彰台に上がるななど絶好調で、ヤマハは今まさに勢いに乗っています。
そんな中、追いかける立場になったカワサキは11月に日本で開催される「鈴鹿8耐」への参戦を表明。ジョナサン・レイ(カワサキ)、アレックス・ロウズ(カワサキ)のファクトリーライダー2人に加え、今季から「FIMスーパーバイク世界選手権」にステップアップしたルーカス・マヒアス(カワサキ)というスーパーバイクトリオで挑むことになりました。
まだまだ日本における新型コロナの影響がライダーの入国やテスト走行のスケジュール、またスーパーバイク世界選手権のスケジュールにどう影響してくるか先行きは不透明と言えますが、彼らにとってみればモチベーションが上がるニュースと言えるでしょう。
アレックス・ロウズ(カワサキ)もドニントンではレース1を3位でフィニッシュし、表彰台に戻ってきましたし、カワサキ勢としては好調のヤマハにアッセンで一矢報いたいところでしょう。ジョナサン・レイ(カワサキ)の爆発的な速さはその大きな武器になることは間違いありません。
そして、ランキング3位につけているスコット・レディング(ドゥカティ)はコンスタントにポイントを重ねてはいますが、表彰台はここ2戦ありません。しかし、実はグランプリライダー時代からアッセンはレディングの得意コースなのです。Moto2時代は2013年に2位表彰台を獲得していますし、MotoGP時代は2016年に自身2度目となる最高峰クラスの3位表彰台を獲得したのです。
レディングがMotoGPで表彰台に立った時は雨がらみのレース。そう、ダッチウェザーと呼ばれる変わりやすい天候にレースが翻弄されることも多いのです。そんな滑りやすい路面を得意とするレディングはヤマハvsカワサキの戦いに割って入る伏兵と言えるかもしれません。ここ最近、ドイツで洪水が起きるなど、強い雨が災害を引き起こしているヨーロッパ。気まぐれなダッチウェザーは誰に勝利の降雨(幸運)をもたらすのでしょうか?
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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