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モーター スポーツ コラム 2021年5月19日

SUPER GT 第2戦:平川 亮(No.37 KeePer TOM’S GR Supra)「前に1号車がいたので、それがプラスとなって力を与えてくれたのかな」

SUPER GT あの瞬間 by 島村 元子
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平川 亮(No.37 KeePer TOM’S GR Supra)

「SUPER GT あの瞬間」と題して、レース内容をドライバー自身に振り返ってもらう本企画。一部映像化し本コラムの最終ページで視聴可能である一方、本コラムでは余すことなく全文を紹介する。
第2戦富士大会の終盤、GT500クラスの激戦でクレバーな走りが印象的だった平川 亮選手。普段からあまり感情を表に出さないクールガイは、冷静沈着にレースを戦い3位表彰台を手にした。コロナ禍で今シーズンから新コンビを組むはずだったサッシャ・フェネストラズ選手の来日は未だ叶っていないが、自身は、過去3年シリーズランキング2位に甘んじた悔しさをバネに、4年ぶりのタイトル獲得を目指して静かに闘志を燃やしている。その平川選手に、富士での戦いを訊いた。

平川 亮(No.37 KeePer TOM’S GR Supra)

──普段、レース明けはどういう過ごし方をしていますか?
平川:比較的疲れているので、家に居ることが多いと思います。今は出かけることもできないですし、余計に家でゆっくりする感じですね。トレーニングはレースの前に結構やるので、「レースで疲れて、休む」というような感じです。今年は特に毎週レースが続いていてあまりトレーニングをやり過ぎても疲れが残っちゃうので、月曜日というかレースの翌日は休むことが多いですね。今年前半は(レース参戦で)家にいない時間が多いので、(家族と過ごせるように)休みのときは家に長く居るようにはしています。

SUPER GT

──レースは開幕から2戦、連続3位の結果となりました。序盤戦をどう捉えていますか?
平川:悪くはないかなと思っていますが、初戦の岡山に関しては優勝できた力はあったので、そこは残念だなと思います。ちょっと不運で(勝ちを)落としてしまったのは悔しいですが、レースはそういう運、不運だったり、全部がうまくいかないと勝てないんだなと痛感したのが岡山でした。富士は正直すごい調子が良くなくて、予選もなんとか凌いで……じゃないですけどそれなりに走って……。で、決勝に関してもペースが上がらないなぁという中、最後(のスティントで)タイヤを(それまでのミディアムからソフトへ)換えたら挽回できたという……。終わってみれば良かったので、流れとしては悪くないとは思っています。

──開幕の不運を踏まえ、第2戦富士に向けてチームとはどのようなミーティングをしたのですか?
平川:(レースに向けての)準備はチームにもしっかりと行ってもらいました。500kmのレースって結構ピットのウィンドウ(※1)が結構狭くて、結構燃費レースだったりするんです。そこはすごく、二度三度、四度くらいチェックしてもらってレースに臨んだ感じですね。タイヤに関しては、3月の(富士スピードウェイでの)公式テストで走って、(第2戦で使用するタイヤを)そこで決めて……。(開催時の)路面温度とかに合わせて(タイヤの)コンパウンドとかを変えたりするんですが、しっかりとテストができたので比較的いいタイヤを選んだかなと思ったんです。(実際のレースでは)正直ちょっと(タイヤ選択を)外したかなという感じがあったり、でも最終スティントではうまく合っていたり。その辺がクルマとあまりマッチングしていないのかなとも思っています。

※1:ルーティンピットを実施するタイミングのこと。500kmレースでは、ドライバー交代を伴う計2回のピットインが義務付けられていた。

No.37 KeePer TOM’S GR Supra

──予選5位スタートからの決勝では、ライバルよりも遅いタイミングでルーティンピットを行いました。これは戦略ですか?
平川:そうですね。最初、早めに(ピットへ)入ってしまうと2回目は入られる周回数がもう1周か2周に限られてしまうので、最初にできるだけ(ピットインのタイミングを)引っ張れば、次はちょっとフレキシブルにできるので。あまりリスクを取ったような作戦ではないです。(担当した第1スティントは)かなり悪かったかなというのが正直なところです。前に付いて行くのも全然無理で、かと言ってズルズルな感じ(の走り)でもなく、ずーっとちょっと遅いペースで一定に走っているような感じで、なんかちょっと気持ち悪くて。「なんか、ペース上がんないなぁ」って感じで、タイヤ(選択)を外したのかなっていう風にずっと思ってました。(第2スティントを担当した阪口晴南選手のフィーリングは)ちょっと違ってて。富士ってスタートのときが一番路面温度が高くて、(決勝時は)30度を超えていてそこから落ちていくので、タイヤもコンパウンドがどっかで切り替わるポイントがあるんです。のちのち考えると、彼のスティントのときはもうすでにそこに行ってたのかなと思ってて。彼は結構ピックアップ(※2)とか、タイヤがあまり発動していないような状況で苦しんでいたと思いますね。

※2:レース中、コース上に落ちているタイヤのゴム片(カス)がタイヤに付着し、タイヤのグリップ力など本来の性能が発揮できなくなること

──そんな中、第3スティントでのタイヤ選択が最終的にいい流れを引き寄せました。
平川:僕(のスティント)が終わって、(第2スティント担当の)阪口選手はミニマム(最低規定周回数)37周を走らなきゃいけないので、(クルマを降りてから)ちょっとゆっくりして色々と考え直して。タイヤが発動していない感じもありましたし、彼のスティントを見てる感じであったりコメントを聞いた感じからも、タイヤもうまく機能していないのかなという感じもあったので、レースの第2スティント始まってすぐぐらいに、ソフトタイヤというか柔らかいほうで行こうということをすぐに決めていました。なので比較的ピットのソファでくつろいでいましたね(笑)。

──ソファでくつろげたのは、ソフト(タイヤ)で行ける!という確信があったからですか?
平川:いや、全然なかったです(笑)。全然。自信っていうより、ちょっとまぁ「タイヤ(選択)を外したかな」っていう感じもあって。基本的に(タイヤは)ソフトかハードですけど、そんなにかけ離れたものではなかったし、周りも同じ(条件)なので、硬いほうで悪くて、(交換した)ソフトで急に(状況が)良くなるってこともなかなかないので、「4位か5位くらいかなぁ」みたいな感じで半分諦めていました(苦笑)。でも、(実際クルマに)乗ったらそういうことは考えない。もう100%(戦うことだけを考えて)行くんで。逆に、変に力入らずに乗れたってこともあったかなと思います。アウトラップ行って、1周目から「ちょっと(第1スティントのときとフィーリングが)違うな」っていう感じがあったけど、まだ半信半疑で。「これまたすぐ(タイヤが)タレちゃうのかな」みたいな感じもあったり、前との差も15秒ぐらいあったのかな?結構あって……。あまりそこから追い上げるというのも難しいので、どうなのかなぁと思いながらフルプッシュしていった感じです。

No.1 STANLEY NSX-GT/No.37 KeePer TOM’S GR Supra

──フルプッシュが結実。気がつけばトップからワンパックでの戦いになり、目の前には(昨季最終戦でタイトル争いをした)1号車がいました。自然と力が入ったと思います。
平川:それは少なからずありました。前に1号車がいたので(昨年の)最終戦のことも頭をよぎりました。それがプラスとなって力を与えてくれたのかなと思いますね。(108周目に1号車を逆転したが)別に狙っていた感じはなくて、Supraはストレートが有利だし最終コーナーまでに離されなければ抜けるという自信はありました。逆に結構な勢いでトップ集団に追いついていったんで、途中からは1号車との争いというよりは勝ちに行くという頭(気持ち)があったので、あまり(1号車を)抜いたときのことは覚えてないですね。(その後、8号車のドライブスルーペナルティやチームメイトである36号車にマシントラブルが発生、2位に浮上したが)36号車のトラブルに関してはすぐに無線で聞いたら原因を教えてくれて、(自身も)気をつければ大丈夫だったのでそこは全然頭にはなかった(気にならなかった)ですね。トラブルは逆に自分もそういうことがあったりするので、(他車のトラブルが)自分に(勝ちにいくという気持ちに)火を付けた感じはなくて、トップ集団がどんどん1周1秒くらいで追いついてきたのでそっちの方で力が入ったという感じですね。

──残り数周で14号車が目前に迫りました。トップ17号車を含め、逆転のチャンスはありましたか?
平川:チャンスは正直なかったですね。チャンスがあるのはGT300が絡めばあるかなと思ったんですけど、最終ラップで17号車が100Rで(周回遅れに)引っかかって、ちょっと行けるかなと思ったんでけど、あまりチャンスまでにはいかず……。やっぱりもう30周以上走ったタイヤなのでこっちも余力としてはすごく残ってなくて。うまく(周回遅れの車両が)絡んでくれないかなぁとは思ってましたけどね。

平川 亮(No.37 KeePer TOM’S GR Supra)

──今季、暫定ですが年下の阪口晴南選手とコンビを組んでいます。若手選手と戦う中で何か刺激を得ることはありますか?
平川:彼も速いドライバーだし、その辺は刺激になります。ただまだ(SUPER GTの)経験がなくて全然知らないこともあったりして、その辺を僕やエンジニアが教えたりとかサポートとする形です。逆に教えたり、あまり考えないことも考えたりするので、自分自身も勉強になります。彼もすごい勉強熱心でレースごと、テストごとに毎回レベルアップしてくれているので、こっちもすごくモチベーションが上がるような感じです。(これまで外国人とのコンビが続いていたが)なんか、外国人選手の世話役みたいな感じになってましたよね(笑)。外国人選手のすごいところは、スタートを任せると結構抜いて帰ってくることが多いんです。(2017年から20年までコンビをコンビを組んでいた)ニック(キャシディ)は必ず抜いてくるというか、「1周目で何位になる!」とか無線で言って笑ったりとかしてました。1周目の上手さはあったので、その辺はすごく勉強になりましたね。日本人選手とは昨年の第7戦(※3)からずっとやってますが、逆にコミュニケーションが取りやすすぎて、逆に難しいなと感じたこともありましたがだいぶ慣れましたね(笑)。

※3:昨シーズン、第7戦と最終戦は山下健太選手とのコンビで出場。今シーズンは、開幕戦から阪口選手がフェネストラズ選手の代役を務める。

──(未だ来日が叶わない)サッシャ・フェネストラズ選手と連絡は取り合っているのですか?
平川:レースのたびに連絡は取っています。彼も「もうすぐ来れる」って1月から言ってて……。で、もう5月になっちゃったんですけど(苦笑)。だからホントわからないですね。また今、緊急事態宣言が出ちゃってますし、なかなか来れるような感じではないっていうのが現状ですね。向こうは来れる準備をしていますが、あとは日本政府がOKと言わないと来れないですよね。

──5月11日、第3戦鈴鹿大会の開催延期がアナウンスされました。次の大会まで時間が開きますが、中盤戦をどう組み立てていきますか?
平川:組み立てはあまりなくて、来るレースで一番のベストを尽くすだけなので、あまり作戦はないというか……。大事なのは最終戦前にチャンピオン争いの位置にいることなので、そこに向けて少なくてもいいのでしっかりポイントを積み重ねていくだけ。鈴鹿は……っていう風に言いたいんですが、延期になりましたし(苦笑)。あとは去年は鈴鹿、富士、もてぎだけのレースだけでしたが、今年はSUGO、オートポリスも開催されるので、そこでGR Supraがどれだけ行けるのかが結構カギになりそうな気がしますね。(SUGOとオートポリスはGR Supraで)初めてのレースなのでその差が付きやすいっていう感じもするので、そこで同じSupra勢のライバルと差を付けたいなと思います。

──ここ数年、僅差でのタイトル争いの悔しさを味わっています。ますますタイトル獲得に向けての気持ちが大きくなっているのでは?
平川:タイトルを獲る準備は全然できているので、あとは結果とちょっとの運があればいいだけ。そこはいつもどおりやって、こなしていくだけかなと思ってます。地方でレースをやれるのはすごく楽しみにしています。昨年もああいった形でチャンピオンを獲れなかったんですが、今年、何年越しになるんだろな?(※4)チャンピオン争いにしっかり加われるようにがんばりますので、ぜひとも応援お願いします!

※4:平川選手は2018年から3シーズン連続でシリーズランキング2位。今シーズン、タイトル獲得が実現すれば4年ぶりのチャンピオンとなる。

平川 亮選手の最近のハマってる事

──では最後に、最近のハマってる事やお気に入りの物があれば教えてください。
平川:最近、ハマっているのが首のトレーニング。結構、首を鍛えていて首にオモリをつけてやるんですけど、それにハマってます(笑)。これ、重くて15kg?20kgくらいあるのかな?これを首に巻いて鍛えるんですけど、amazonで買った得体の知れないこの器具にハマっています(笑)。首をいつか痛めないかなぁと不安になりながら、いつも鍛えてます。でもこれをやってると結構首がラクです。一種のストレス発散みたいな感じですかね(笑)。家に居る時間も長いので、首のトレーニングだけでなくて、トレーニング自体がストレスの発散になるので楽しくやってます。顔より首を太くするのが今年の目標なんです。そこに注目してください(笑)。

文:島村元子

【SUPER GT あの瞬間】

第2戦:平川亮選手(No.37 KeePer TOM'S GR Supra)

島村元子

島村 元子

日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。

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