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モーター スポーツ コラム 2021年4月9日

昨年以上の激戦が予想されるSUPER GTのGT500クラス、そこで気になる“伏兵”の存在

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)

いよいよ今週末、岡山国際サーキットで開幕を迎える2021年のSUPER GT。今年も手に汗握るアツい戦いが始まる。

昨年は新型コロナウイルスの影響で、開幕は7月にずれ込んだほか、関係者の長距離移動による感染リスク低減のため、3つのサーキットに限定して開催するという変則的なスケジュールとなった。しかし、今年は海外ラウンドの復活こそ叶わなかったが、国内6つのサーキットを転戦することが決定した。

3月には岡山国際サーキット、富士スピードウェイで恒例のシーズン前の公式テストが行われた。GT500、GT300とも各チームがそれぞれのテストメニューをこなしていたため、一概にテストの結果だけで判断はできないのだが、特にGT500クラスは3メーカーとも拮抗しているという印象だった。実際にパドック内での印象を聞いてまわると「他メーカーとの差は少ない」というコメントがほとんどだった。

昨年も15台中10台が最終戦でチャンピオン争いに絡み、ゴール直前の500mで決着がつくという近年稀に見る大接戦となったGT500クラスだが、今年はそれの延長線上のような激戦が繰り広げられそうだ。

その中、今シーズン注目なのが、脇阪寿一監督率いるNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)。岡山公式テストの2日目にトップタイムをマークし、富士公式テストでも安定して上位につけている印象だったが、チーム内部は昨年と比べて大きな手応えを感じている。

SARDは昨年から脇阪監督が加入したものの、メカニックなどスタッフが大幅に入れ替わり、それこそシーズン序盤は足並みが揃わないことが多かった。しかし、脇阪監督が先頭を切って問題を一つずつ解決し、2020年の第5戦富士で優勝。同年の最終戦では予選2番手につけるなど、着実に強さを身につけ始めている。

昨シーズン第5選で新体制での初優勝を果たした。

その体制をほぼ引き継いだ2シーズン目は、早くも開幕前のテストから実力を発揮し始めていた。それは、ドライバー2人も“チームの進化”を強く感じていた。

「昨年から今年にかけて、チームのレベルはものすごく上がったと思うし、全体的にしっかりと機能している。(脇阪)寿一さんという心強いリーダーがいて、何か問題があれば、徹底的に話し合って、解決策を見出していく。間違いなく昨年から良くなっているし、チームのみんなが勝利に飢えている感じだ。エンジニアもメカニックも、ただ作業をするだけじゃなくて、クルマを良くするためにどうすればいいかというのを、自分たちで率先して改善しようとしてくれている。そこが大きな進歩だし、僕もすごく嬉しいよ」(コバライネン)

「昨年は寿一さんがやりたい方向性に対してチームがバラバラな動きをしていて、チャンピオンチームの監督をしていた寿一さんが非常に高いレベルを目指していたところに対して、ほとんど初めてのメカニックばかりという体制で、最初はグチャグチャになっていたところもありました。でも、昨年1年間かけて、どんな方向性なのかというのがみんな分かってきました」

「今は寿一さんがあまり口を出さなくても、寿一さんが目指すような形にはなってきているのかなと思います。ただ、少しでも『あれ?』って思うことがあると、寿一さんは全体無線でチームに向かって、TRDにも聞こえる感じ『ここはダメだ!』と叱ります」

「でも、そこで『あ、今のはダメだったんだ』とチーム全員が理解できるようになってきていますし、本当にそうだなと思うことを寿一さんがビシッと言ってくれるので、そういう時は身が引き締まりますね」(中山)

DENSO KOBELCO SARD GR Supraはチーム全体でレベルが上がっている。

しかし、脇阪監督のチーム作りは道半ば。チームスタッフが率先して動くようになっている部分は満足しているものの、トップチームの仲間入りを果たすために、さらにチームに対する要求は欠かさない。

「昨年までは漠然とした方向性になっていたものが、もう少し細かい部分で方向性を決めて、精度を上げていけるようになりましたし、僕から『あれをしなさい!』と言わなくても、それぞれが自分の意思を持って動き出してくれています。そこは随分と変わってきました。昨年よりは楽しみなシーズンになると思います」

「でも、TGRは6台のGRスープラで戦っています。そのメリットを上手に使っていかないといけないです。エンジニアも今までは自分のクルマにしかフォーカスできなかったんですが、もう少しみんなで役割分担をしながら『(テスト等で)走らなくても見えてくるものがあるでしょ!』というのを彼らには言い続けています」

「自分たちだけのことしか見ていなかったら、レベルはそこまでしか行かないけど、周りにこれだけ強いチームがたくさん走っているわけだから、それを見なさいよ!ということを言っています。それも、多分ようやく分かってきてくれていると思います。最終的には『さすがSARDだよね』と言われるような強いチームにしていきたいですね」(脇阪監督)

脇阪監督が目指すトップチームに、着実に近づきつつあるSARD。もちろん、今年も前年王者のTEAM KUNIMITSUや毎年チャンピオン争いをするTOM’S、NISMOなど強豪チームはたくさんいるのだが、今年のSARDは確実にライバルを脅かす“伏兵”的な存在になることは間違いないだろう。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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