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大激戦の2020シーズン。さぁ、最後に笑うのは?
GR Supra祭りで始まったシーズンではあるが、結末はどうなるのか?!
ついに2020年のSUPER GTも大団円!今までにない激動のシーズンであったためか、GT500は10チームに、GT300も7チームにチャンピオン獲得の権利が残されている。ただ、可能性の話であって、実際にはかなり絞られるだろうが、それにしてもこれほどまでの多さ、今まであっただろうか?
さて、最終戦とあって全車ノーハンデでの戦いとなるが、舞台が富士スピードウェイであり、250kmではなく300kmで争われることが、例年との大きな違いである。ノーハンデの戦いで、富士となると開幕戦の「GR Supra祭り」が思い出されるが、果たして同じような結末になるのだろうか?
あえてGR Supra、圧倒的有利とは言えない理由
富士スピードウェイで開催された第1戦で優勝を果たしたKeePer TOM'S GR Supra
前回のもてぎでは、ARTA NSX-GTの野尻智紀/福住仁嶺組が優勝を飾った。ここまで速さは見せられていても、決勝では展開に恵まれずにいただけに、レース後に福住が感極まったのは、さもありなんといった感じではあった。セーフティカー(SC)のタイミングに恵まれたとはいえ、その場所にいて、その準備ができていなければ遂行できなかっただけに、実力でもぎ取った勝利であるのは間違いない。
ホームコースのもてぎで今シーズン初優勝を掴んだARTA NSX-GT
それにしても、もてぎはホンダのホームコースだとは言え、1位から5位までNSX-GTが独占するとは、はたして誰が想像しただろうか。NSX-GT勢はどうやら、全チームがデータを共有しているようだ。想像の域を超えないが、ホンダがF1から2021年限りで撤退することを発表したことで、危機感を覚えているのではないか。結果を残せないと、自分たちの首も危ういと。そこで全体の底上げを図ったと推測される。
そういう状況でもなければ、ノーハンデの富士なら、やはりGR Supra有利と予想することができるが、背水の陣で臨まれたとあっては、トヨタ勢もうかうかしていられないのでは。
こんな大激戦、予想などできるものか!
ドライバーランキング首位の KEIHIN NSX-GT
それにしても改めてポイントランキングを見ると、唸らざるを得ない。 KEIHIN NSX-GTの塚越広大/ベルトラン・バゲット組と、KeePer TOM’S GR Supraの平川亮が、同点で並んでトップ。2ポイント差でもMOTUL AUTECH GT-Rの松田次生/ロニー・クインタレッリ組、そしてRAYBRIG NSX-GTの山本尚貴/牧野任祐組が並んでいる。さらに3ポイント差でARTA NSX-GTの野尻/福住組、4ポイント差でWAKO’S 4CR GR Supraの大嶋和也/坪井翔組が、6ポイント差でau TOM’S GR Supraの関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組が、そして9ポイント差でDENSO KOBELCO SARD GR Supraの中山雄一が続いているという!
こんな僅差で続く状況、未だかつてなかった。ZENT CERUMO GR Supraの立川祐路/石浦宏明組、Modulo NSX-GTの伊沢拓也/大津弘樹組にも権利はあるが、14ポイント差と20ポイント差では、これら上位陣が総崩れでもなければ逆転はあり得ず。ただし、優勝の権利は、ZENT CERUMO GR Supraと富士の相性の良さ、そしてModulo NSX-GTが装着するダンロップタイヤの進化が著しいことから、むしろ大いにあると考えられる。
ニッサン勢の威信を掛け、まさに全集中で最終戦に臨むMOTUL AUTECH GT-R
そのうえで、ニッサン勢がMOTUL AUTECH GT-Rに、勢力を全集中するのは想像に難くない。では、トヨタ勢とホンダ勢はどうか?単純にトップだから、最上位だからと割り切ることは極めて困難だ。上位8チームすべてにチャンピオン獲得の権利はある、そうとしか言い切れない。メーカー的には「オーダーは出さない」と言うに違いない。ただ、それは同じメーカー同士がタイトルを争う場合の話であって、ライバルメーカーに奪われそうな場合は、そんなきれい事も言っていられなくなるだろう。
「このクルマに、これ以上順位を上げられると、○○にチャンピオンの芽はなくなるから、意地でも抑えてほしい」と言った……。メーカー同士の威信が、そこにはかかる。
GT300は事実上の一騎討ちに
前戦の勝利でトップに躍り出たリアライズ日産自動車大学校GT-R
GT300は7チームにチャンピオン獲得の権利が残されていると、先に記したものの、現実の可能性はリアライズ日産自動車大学校GT-Rの藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ組、そして5ポイント差で追いかける、LEON PYRAMID AMGの蒲生尚弥/菅波冬悟組の2チームに絞られたと言ってもいいだろう。
しかし、前回のレースは少々意外な展開ではあった。10ポイントリードで臨んだLEON PYRAMID AMGにとって、もてぎは最も得意とするコース。ただ、ウエイト半減とはいえ、57kgも積むことが不安要素ではあったろうが、相性の良さで跳ね飛ばすのではないか、と言うのが大方の予想だった。だが、Q1を突破できなかったあたりから流れが変わり始め、タイヤ無交換作戦を成功させるも、SCが入ってトップとの位置関係が悪かったことでラップダウンに。
その結果、LEON PYRAMID AMGは、まさかのノーポイントに終わったのに対し、リアライズ日産自動車大学校GT-Rはアクシデントが発生するやいなや、SCは入るものと判断し、ピットに素早く呼び戻したことが勝因となった。これでランキングのトップに。ただし、このチームには週刊誌などで報道されているとおり、チーム内にネガティブな要素がある。これが変な影響を及ぼさなければいいのだが。
2年振り優勝の狙うLEON PYRAMID AMG
LEON PYRAMID AMGもノーハンデならば、前回のようなことはまずあるまい。このクラスは先着した方が、チャンピオンになると断言できる。そして状況としてはほぼ互角だ。
トラブルさえなければ、圧倒的なスピードを誇るSUBARU BRZ R&D SPORT
優勝候補は、チャンピオン獲得の権利は失っているが、SUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人/山内英輝組。ただし、アクシデントやトラブルに見舞われなければ。展開にだけ恵まれていないが、ここ数戦のスピードは圧倒的。コースを問わない強さもあって、かなりの高確率で来ると見た。
文:秦 直之
秦 直之
大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。
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