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スーパーフォーミュラ2020第3戦プレビュー
2020年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は早くも中盤戦に突入。今週末はスポーツランドSUGOでシリーズ第3戦が開催される。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、通常よりもフォーマットを変えて対応しており、今回も予選と決勝は同日開催、レース距離も短縮されて通常より15周少ない53周で決勝レースが争われることとなった。
また来日規制の関係で海外ドライバーの参戦が困難な状況となっていたが、10月1日に規制が緩和されたことを受けてセルジオ・セッテ・カマラ(Buzz Racing with B-Max)の参戦がついに叶うこととなったほか、チームメイトのシャルル・ミレッシは次戦からの参戦を予定しているとのこと。一方、開幕戦もてぎに出走したタチアナ・カルデロン(ThreeBond DRAGO CORSE)は前週にヨーロピアン・ル・マン・シリーズに参戦したことで、来日後の14日間の自主待機期間を確保できず、今回も参戦は見送られることになった。ユーリ・ビップス(TEAM MUGEN)は今回も参戦が叶わず、笹原右京が代役を務める。なお、ル・マン24時間に参戦した関係で前回の第2戦岡山は欠場となった中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)、小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、山下健太(KONDO RACING)については、通常通り参戦する予定だ。
今シーズン初エントリーとなるセルジオ・セッテ・カマラ(Buzz Racing with B-Max)。来日が叶わぬ間はスクーデリア・アルファタウリ・ホンダのサード・ドライバーとしてF1に帯同していた。
まだまだコロナ禍で混乱が見られる2020シーズンのスーパーフォーミュラ。そんな中で始まる第3戦SUGOだが、難攻不落と言われるスポーツランドSUGOで、ここ数年で強さをみせているドライバーたちに注目したい。
まずは2016年と2017年に同大会を制した関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)だ。特に彼のデビューイヤーとなった2016年は途中のセーフティカー導入でピットストップのタイミングを逸してしまい、優勝は難しいのではないかという絶体絶命の状況に追い込まれたが、レース再開後に後続を1周1秒以上引き離す激走をみせ、見事勝利を飾った。不可能と言われていたことを可能にした1戦だったと、今でも多くの関係者やファンに語り継がれている。
翌2017年も、燃費を気にしながらの走行となり、背後には現在F1で活躍しているピエール・ガスリーが迫られる苦しいレース展開となったが、最後まで隙を見せず押さえ込み、SUGO戦連覇を果たした。
2017シーズン第6戦、SUGO連覇を果たした関口雄飛(左)。得意のSUGOで今シーズン初勝利を目指したい。
今シーズンは開幕戦から要所要所で速さを見せながらも、予選・決勝となると今ひとつ歯車が噛み合わず、満足のいく結果が残せていない関口。しかし、チームメイトの平川亮が開幕2戦連続でポールポジションを獲得するなど、チームの流れはかなり良いのは確かだ。得意のSUGOで持ち前の速さでトップ進出なるか……目が離せないところだ。
もう1人、SUGOで注目なのが、山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。2018年は予選6番手からスタートし、途中セーフティカーが導入されたタイミングで、うまくピットストップを完了。逆転でトップに立って、そのまま優勝を飾った。さらに圧巻だったのは2019年。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGに移籍した初年度だったが、走り出しから常に上位に食い込む速さをみせ、予選では1分03秒953のコースレコードを叩き出した。決勝も序盤から後続を引き離す走りをみせ、そのままフィニッシュ。2年連続でSUGO大会を制し、今週末は3連覇へのチャレンジとなる。
山本尚貴は昨シーズン、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGへ移籍後初勝利をSUGOで飾った。
これまで「山本尚貴=鈴鹿で強い」というイメージだったが、最近はSUGOでも速さをみせるようになっている。今季は、なかなか上位に食い込めないレースが続いているが、ここSUGOでトップ争いに返り咲くことができるのか、こちらも大注目である。
そして、毎年SUGO大会で熱い走りをみせてくれているのが小林可夢偉だ。2018年はトップを快走しながらもセーフティカー導入などレース展開が味方せず6位でフィニッシュ。昨年は安定した走りをみせるも一歩及ばずの2位で終わった。ただ、彼もSUGOでは速さを見せているドライバーのひとり。さらにチームは今季から2台体制となり、レースに向けたデータ収集などでも昨年と比べて大きな進化を遂げている。SUGOでは毎年際立った速さをみせているチームでもある。その辺の歯車がうまく噛み合い、レース展開も味方になれば、待望のスーパーフォーミュラ初勝利も見られるかもしれない。
この他にもSUGOで速さをみせるドライバーが大勢いるスーパーフォーミュラ。もしかすると予選・決勝の上位陣は開幕2戦とは違った顔ぶれになるかもしれない。何れにしても、予選から0.001秒のミスも許されない緊迫した“最速決戦”になることは間違いないだろう。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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