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モーター スポーツ コラム 2020年10月2日

SF第2戦レビュー|新世代の台頭に湧いた岡山ラウンド

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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スーパーフォーミュラ第2戦

開幕から1ヶ月が経った2020年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は岡山国際サーキットで第2戦が行なわれた。

岡山国際サーキットを舞台に9月26日・27日に開催された2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第2戦。新型コロナウイルス感染防止対策も講じながらということで、いつもよりも変則的なレースウィークとなった。その中で関係者の目を引く活躍をみせたのが、今後期待の若手ドライバーたちだった。

今回も日曜日に開催された公式予選で圧巻の走りをみせたのが宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)だった。当初は全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に専念する予定だったのだが、ル・マン24時間レースで総合優勝を果たした中嶋一貴が帰国から数日しか経っていないということもあり、スーパーフォーミュラへの参戦は叶わないこととなり、その代役として宮田がダブルエントリーする形で抜てきされた。

宮田は昨年12月のルーキーテストに参加しているものの、事前にテストもできていない状況。「週末に入る前は、事前にテストする機会も本当になかったし、ポイント圏内に入るのは無理だろうと思っていました。ルーキーテストでSF19に乗ったといっても、実際のポテンシャルがどれくらいあるのかは分からない状況でした。またスーパーフォーミュラの決勝レースは51周あるので、ちゃんと最後まで(体力が)保つのかどうか不安がありましたね。」と最初は不安の方が先行していた。

スーパーフォーミュラ・ライツとダブルエントリーとなった宮田莉朋。

しかし、いざ予選が始まるとQ1B組に加えてQ2でもトップタイムを記録。特にQ2では今週末全体のベストタイムとなる1分12秒646を叩き出しライバルを圧倒した。このままデビュー戦でポールポジションかと思われたが、Q3ではミスが出てしまい予選2番手となった。予選後の記者会見ではさすがに悔しい表情をみせたが、それでも予想以上のポジションからスタートできるということと、ライバルに引けを取らない速さをみせられたということで、少し安心した様子も垣間見えた。

決勝レースではハンドクラッチの経験が少ないことが影響したのと1コーナーでの多重クラッシュで行き場を失い大きく後退したが、レース後半には接近戦のバトルも展開し、9位ポイント獲得を果たした。

宮田莉朋はスーパーフォーミュラ・ライツ第4戦で勝利し、開幕4連勝。トップカテゴリーであるスーパーフォーミュラでの経験は大きな糧となるはずだ。

「今後のレースに向けても、すごく自信になりました。また(参戦できる)機会が来た時は、自信を持って挑めると思います。今回学んだことをしっかりフィードバックして、さらに上を目指していって、チームと共に僕自身がもっとレベルアップしたいです。今度こそはトップ争いができるようになりたいです」(宮田)

基本的に次回以降は再びスーパーフォーミュラ・ライツに専念することになるが、いつかスーパーフォーミュラにフル参戦できるチャンスが来た時は、今度こそトップ争いが見られそうな……そんな期待を抱かせてくれた週末だった。

そして、今回の第2戦で一番活躍したのが、参戦2年目の坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)だ。予選8番手からスタート直後の多重クラッシュをうまく回避し、一気に2番手に浮上。11周目とピットストップを完了すると、後半スティントで平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)をオーバーテイクした。さらにレース終盤までピットストップを引っ張る作戦をとっていたニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)も逆転し、念願のスーパーフォーミュラ初優勝を飾った。

スーパーフォーミュラ参戦2年目。開幕戦で悔しい結果に終わり、第2戦でも予選Q3でクラッシュ。どん底から見事に這い上がった坪井翔。

午前中に行なわれた公式予選ではトップ3圏内に入る速さでQ1、Q2と突破したのだが、最終のQ3でクラッシュを喫してしまった。開幕戦もてぎでも1周目にリタイアするなど流れが良くない状況で、坪井自身も精神的にはボロボロだったという。今回は国内トップフォーミュラ初勝利であったとともに彼にとっては“どん底”から這い上がった大逆転劇でもあったのだ。

「予選は調子が良くてQ3でもちゃんとアタックができていれば上位からスタートできたのかなという手応えがありました。それだけに(クラッシュしたことは)悔しかったですし……心はけっこうボロボロでした。でも、調子が良いことを信じて、決勝で何かを持ち帰ることができれば次戦に向けて何か繋がるという気持ちで臨みました」

「そうしたら、スタート直後にあのような形でうまくいって……まさか8番手から優勝できるとは思っていませんでした。本当に最高です」

チェッカーを受けた瞬間、コックピットの中で大号泣していたという坪井。パルクフェルメでは拳を強く握りしめてガッツポーズをしていたのが何より印象的だった。これまで数々の悔しい思いをして来た彼にとって、それらが報われた瞬間だったのだろう。これで一気にポイントランキング2位に浮上し、中盤戦も目が離せない存在となった。

JMS P.MU/CERUMO・INGINGがワン・ツーで制した。初優勝の坪井、チームとって格別な勝利となった。

スーパーフォーミュラでは昨年あたりから将来有望な若手ドライバーの活躍が目立ちはじめている印象だが、今回の岡山ラウンドはそれが顕著に現れたレースでもあった。新しい世代の台頭により、2020シーズンは今後さらに面白い展開となっていくことは間違いないだろう。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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