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新型コロナウイルスの影響により、無観客で開催となったSUPER GTの3月14日・15日の岡山公式テスト。いつもならパドックやグランドスタンドも活気に溢れるのだが、この2日間はGTマシンのエキゾーストノートだけが響き渡る“熱気が全く感じられない”異様な光景が広がった。筆者も現地で取材をしたが、改めて現地で応援してくれるファンの存在がいかに大切なのか……それを改めて知った岡山公式テストとなった。
4月に予定されていた開幕戦岡山の開催が延期となってしまった今シーズンのSUPER GTだが、GT500クラスでは3メーカーが新型マシンを導入し、より注目度の高いシーズンとなっている。
岡山公式テストでは今季GT500クラスに参戦する15チームが一堂に会したのだが、そこで各陣営の“仕上がり具合”と“課題”が垣間見えた。
午前中は雨に見舞われたが、午後のセッション後半はドライコンディションとなったテスト1日目。ここで速さをみせたのがホンダ勢だった。セッション1ではNo.8 ARTA NSX-GTがトップタイムをマークすると、セッション2ではNo.17 KEIHIN NSX-GTがこの週末で唯一の1分17秒台を記録した。
岡山テスト初日の午後セッションは17号車 KEIHIN NSX-GTのベルトラン・バケットが唯一の1分17秒台となる1分17秒850をマークしトップ。2番手に8号車ARTA NSX-GTの福住仁嶺がつけ、午前のセッションに続いてホンダ勢がトップ2を独占した
“今年はホンダが速いのか?”順位だけを見ると、一瞬そう感じた。しかしトップタイムを出した17号車のベルトラン・バケットは「走っている条件は多分他とは違う。ウエイトを積んでテストしていたチームもあるだろう。このトップタイムは嬉しいけど、満足はしていない」と控えめなコメント。他のドライバーや関係者に聞いても、自分たちの陣営が優位に立っているとは思っていないようだ。
一方でテスト2日目は昨シーズンから順調にテストをこなしているトヨタ陣営が上位を独占した。午前のセッション3はNo.14 WAKO’S 4CR GR Supra、午後のセッション4ではNo.38 ZENT CERUMO GR Supraがトップタイムをマークした。昨年のGT500チャンピオンである大嶋和也は開幕前で手の内を見せたくないのか、取材でもあまり多くは語らなかったが「ここまで順調にきています」と自信をみせていた。
GR Supraの本格お披露目となった岡山テスト。新たにコンビを組む14号車 WAKO’S 4CR GR Supra大嶋和也-坪井翔組の走りに注目が集まった。
実際に2月まで行われていた各メーカーテストでの状況もパドックで聞こえてきたのだが、多くの関係者が「今年はGR Supraが圧倒的に強い」と予想していた。
とはいえ、岡山国際サーキットは近年の結果を見てもホンダ勢が得意としているコース。そのアドバンテージはFRになった新NSX-GTでも十分にありそう。その反面で彼らもマシンの仕上がり具合に課題を抱えている様子で、シーズンを戦っていくと大苦戦を強いられるレースもありそうな雰囲気だ。
トヨタ勢とホンダ勢の速さが際立った一方で、少し気になるのが日産勢だ。2日間を通してトップタイムでセッションを終えることはなく、結果だけを見るとトヨタ、ホンダ勢から遅れをとっているのが否めない状況だった。しかし、ドライバーたちに話しを聞いても昨年と比べて確実に良くなっており、ライバルとの差は縮まっていると自信をみせていた。
実際に1日目のセッション2では途中までNo.12 カルソニック IMPUL GT-Rが上位につけていた。終盤にドライブシャフトのトラブルに見舞われ、最後は満足にアタックできず、セッション2は9番手で終わったが、2日目のセッション4ではレースを見据えてロングランに集中するなど淡々とメニューをこなしていた。No.23 MOTUL AUTECH GT-Rもセッション4では2番手に食い込みライバルと遜色ないタイムを記録。毎年、最後の最後まで手の内をみせない日産勢。シーズンが始まれば優勝争いに絡んでくることは間違いないだろう。
強いニッサンの復活をファンは待ち望んでいる。
本来、岡山公式テストだけでは今季の勢力図を全て把握するのは難しいが、その中で3メーカーとも共通して聞こえてきたのが「まだ走り込みが足りていない」ということだ。
実は3月上旬に鈴鹿サーキットでメーカーテストが行われる予定だったのだが、新型コロナウイルスの影響で中止となった。これにより想定していたテストメニューをこなせず、十分なデータが集まっていない状態で岡山公式テストに臨んだチームがほとんどだった。
さらに貴重なテスト機会だった岡山公式テストも不安定な天候の影響を受け、各チームとも用意していたテストメニューをこなせないままサーキットを後にしていた。
さらに3月28日?29日に行われる予定だった富士公式テストは新型コロナウイルス対策として行政から外出自粛陽性が出ていることを受けて開催を中止となった。
おそらくコロナウイルスの終息を見計らって、レース前に公式テストの機会は改めて設けられる可能性もなくはないが……各チームともに“準備不足”のままシーズンを迎えることになるのは間違いなさそう。例年以上にドライバー力、チーム力が問われるシーズンになっていきそうだ。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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