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「スーパースポーツ世界選手権」の2020年シーズンがオーストラリアのフィリップアイランドでサーキットで開幕します。J SPORTSでは激しいバトルが魅力の「スーパースポーツ世界選手権」を全戦放送。開幕戦・オーストラリアの模様は3月1日(土)に生放送で楽しめます。
排気量600ccのスポーツバイクで争う「スーパースポーツ世界選手権」はメーカーワークスが参戦する「スーパーバイク世界選手権」(排気量1000cc)に比べると市販車状態に近く、ベースモデルの性能が大きな差となって生まれてきます。近年はヤマハYZF−R6ユーザーがレースを席巻する状態となっており、昨年は全12戦中10戦でヤマハが勝利を飾ることになりました。今季もヤマハがチャンピオンの最有力となっていくのでしょうか。
いや、今季は大きな異変がありました。昨年、ヤマハに乗りチームメイト同士で激しく争った末にチャンピオンを獲得した王者がなんとイタリアのバイクメーカー「MVアグスタ」に加入したのです。今季からMVアグスタF3 675に乗ることになった王者ランディ・クルメナッハー(MVアグスタ)はワークスチームであるMV Agusta Reparto Corseからの参戦となります。クルメナッハーのチームメイトには昨年2度の表彰台を得たラファエル・デ・ローサ(MVアグスタ)とMVアグスタは体制を一気に強化してきました。
J SPORTS放送情報
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FIM スーパーバイク世界選手権2020&スーパースポーツ世界選手権2020 開幕戦 フィリップアイランド(オーストラリア)
放送日:2020年3月1日(日) 放送時間:午前 9時 45分~午後 3時 00分
そして、クルメナッハーとチャンピオンを争ったフェデリコ・カリカスロは「スーパーバイク世界選手権」のヤマハジュニアチームへの昇格が決定し、今季はスーパースポーツ世界選手権を離れることになり、まず昨年の主役2人に変化があったわけです。
スーパーバイク世界選手権へのステップアップを狙う若手も参戦するレースだけに、勢力図が毎年変わるのは必然なのですが、こうなるとシメシメと思っているのがベテランのジュール・クルーゼル(ヤマハ)でしょう。クルーゼルは昨年、3勝を飾りましたが、またもやチャンピオンには届かず。3年連続のランキング3位という悔しさを味わいました。すでに31歳になったクルーゼルは今季もヤマハのトップチームである「GMT94」から参戦し、悲願のタイトル獲得を狙います。
ただ、昨年の後半戦で2勝を含む連続表彰台を獲得した元王者のルーカス・マヒアス(カワサキ)の勢いはクルーゼルも気になるところ。カワサキのトップチーム「Kawasaki Pucetti Racing」の新エースとして迎えられたマヒアスがヤマハ勢に対して何勝飾れるかは今季の大きなポイントになります。
そして既存の「スーパースポーツ世界選手権」のライダーだけでなく、グランプリのMoto2からカテゴリーをチェンジするライダーが多いのも特徴です。ヤマハのチャンピオンチーム「Evan Bros. World SSP Team」に加入するアンドレア・ロカテッリ(ヤマハ)はMoto2ランキング18位のライダー。そして、マヒアスのチームメイトとして名門「Kawasaki Pucetti Racing」に加入するのは、Moto3で優勝経験もあるドイツ人、フィリップ・エッテル(カワサキ)。こういったライダーも注目どころでしょう。
さらに、元王者のケナン・ソフォーグルから続くトルコ人コネクションのライダーとして、「Turkish Racing Team」から参戦するのはジャン・オンジュ(カワサキ)。ロードレースファンなら聞いたことがある名前かと思いますが、彼は2018年のMoto3最終戦・バレンシアでスポット参戦ながらグランプリの史上最年少優勝(15歳と115日)を飾ったトルコ人ライダーです。オンジュは昨年、Moto3にフル参戦しましたが最高位は12位と振るわず。僅か1年でグランプリを離れ、「スーパースポーツ世界選手権」に舞台を移します。ケナン・ソフォーグル直々の手ほどきを受け、彼がどんなパフォーマンスを見せるかも楽しみです。
そして、昨年、カワサキでランキング5位を得た日本人ライダーはホンダに再び戻ります。大久保光(ホンダ)は古巣となるホンダユーザーのチームに復帰して心機一転となります。「スーパースポーツ世界選手権」で孤軍奮闘中の大久保はスーパーバイク世界選手権にホンダワークスが復活したパドックで是非とも存在感を示していきたいシーズンです。
今季はスーパーバイク世界選手権のアメリカ開催が消滅したため完全に同選手権に帯同し、レース数が1戦増えて13戦となった「スーパースポーツ世界選手権」。今季の開幕戦・オーストラリアのフィリップアイランドでその覇権を最初に握るのはどのライダーでしょうか。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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