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早くも2020シーズンに向けて動きが始まっているSUPER GT。今年はClass1規定に準拠した3メーカーの新マシンが登場するなど、特にGT500クラスは注目度が上がっている。そんな中、今年もいち早くホンダが東京オートサロンの初日(1月10日)に体制を発表。GT500クラスに参戦する5チーム10名のドライバーが明らかとなった。
昨年までホンダ陣営で戦っていた元F1ドライバーのジェンソン・バトンとナレイン・カーティケヤンがSUPER GT離脱を表明。さらに中嶋大祐も現役引退を発表するなど、早い段階から大幅な体制変更が予想されていたが、彼らの後任として期待の若手ドライバーが加入することとなった。
【2020ホンダSUPER GT(GT500)ドライバー体制】
No.8 ARTA
野尻智紀/福住仁嶺
No.16 TEAM MUGEN
武藤英紀/笹原右京
No.17 KEIHIN REAL RACING
塚越広大/ベルトラン・バケット
No.64 Modulo Nakajima Racing
伊沢拓也/大津弘樹
No.100 TEAM KUNIMITSU
山本尚貴/牧野任祐
GT300王者の福住仁嶺(右)はSUPER GTにレギュラー参戦し僅か1年でGT500へステップアップを果たした。
主なトピックスとしては、昨年GT300王者となった福住仁嶺がGT500ステップアップを果たし、8号車に加入。昨年は随所で存在感ある走りを見せた牧野任祐が、陣営の中でもエース格と言えるTEAM KUNIMITSUへ移籍した。64号車のModulo Nakajima Racingはドライバーを一新し経験豊富な伊沢拓也と、昨年GT300やスーパー耐久で活躍を見せた大津弘樹が新たに加わった。16号車のTEAM MUGENは在籍4年目となる武藤英紀はそのままに、昨年ポルシェ・カレラ・カップ・ジャパンやアジアンF3でチャンピオンを獲得した笹原右京が加入した。
道上龍(左)とのコンビで2018年シーズンからGT300クラスに参戦していた大津弘樹(右)。昨シーズンは第5戦で3位を獲得した。
改めてホンダ陣営の2020年GT500体制をみて感じたこと……それは“世代交代”だ。
今までは年上のドライバーと組んでレースに臨んでいた山本尚貴や野尻智紀が、今年は初めて年下のドライバーと組んで参戦することになる。以前はふたりとも先輩についていく若手ドライバーという印象だったが、気がつけば山本は今年で参戦11年目、野尻も(GT300含め)参戦7年目に突入する。成績や走りも含め、今や陣営のエースドライバーという地位を築いている。そのふたりが、牧野任祐、福住仁嶺という“これからのホンダ陣営”を背負っていくドライバーをどう引っ張りながらシーズンを戦っていくのか。楽しみである。
そして、もうひとつのビッグニュースが笹原右京のSUPER GT電撃加入だ。実は昨年末の段階では、どのメディアもストーブリーグ情報として彼の名前を報じていなかった。実際に起用に関する話が進み出したのも年末ごろのことだったようだ。それだけに今回の体制発表で関係者のみならずファンも大きな驚き大きな注目を集めた。
笹原はSRS-F出身で2018年まではホンダの育成枠でレースに参戦していたが、昨年はそこを離れポルシェ・カレラ・カップ・ジャパンやアジアンF3など様々なカテゴリーに挑戦していた。しかし、TEAM MUGENの中野信治監督の推薦もあり、ホンダ陣営の一員として国内トップカテゴリーに臨む。
昨シーズンはポルシェ・カレラ・カップ・ジャパンに初参戦し、10戦中6勝と圧倒的な速さを見せ、総合王者を獲得した笹原右京。
彼にとっては初めての挑戦となるSUPER GTではあるが、参戦1年目から好結果を出せば“その先のステップ”も期待できるだけに、彼の2020シーズンには注目が集まりそうだ。
2020年、ホンダはClass1規定準拠のためにNSX-GTのエンジン搭載位置を他メーカー同様にコックピット前方に移動。市販のNSXとはレイアウトが大きく異なることになったが、ライバルと完全同一コンディションで戦えるとあって、ホンダ内の開発陣やドライバー、チームの士気が非常に高まっているという。
特に昨年はディフェンディングチャンピオンのマニュファクチャラーとしてシーズンに臨んだものの開幕戦での1勝のみに終わる悔しい結果となった分、今季にかける想いも並々ならぬものがあるのは間違いない。
タイトル奪還に向け、新生ホンダ陣営の挑戦が……いよいよ始まる。
昨シーズンは開幕戦・荒天の岡山での1勝(8号車)のみと寂しいシーズンに終わったホンダ陣営。今シーズンの巻き返しに期待したい。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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