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モーター スポーツ コラム 2020年1月15日

【フォーミュラE第3戦・サンティアゴ】またもウイナー入れ替わりのシーズンになる予感

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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シーズン6 開幕戦・サウジアラビア スタート

ポルシェ、メルセデスベンツなどドイツのビッグネームが新規参戦した「FIAフォーミュラE選手権」。シーズン6(2019年〜20年)は昨年11月にサウジアラビアで開幕し、2ヶ月のインターバルを経てここからいよいよ本格的な戦いが始まります。「J SPORTS」では1月18日(土)に南米チリのサンティアゴで行われる第3戦の予選、決勝の模様を生放送でお届けします。

さて、シーズン6の開幕戦・サウジアラビアは第1戦、第2戦の2レース制で行われましたが、予想以上の大混戦になりました。今季から「ポルシェ」と「メルセデスベンツ」が自動車メーカーのワークスチームとして新たに加わり、勢力図に大きな変化があると予想されてはいましたが、新規参戦の2メーカーは開幕では苦労すると考えられていました。ところがどっこい、アンドレ・ロッテラー(ポルシェ)が第1戦でいきなり2位表彰台。そして、ストフェル・バンドーン(メルセデス)は第2戦こそ繰り上がりではあったものの2戦連続の3位表彰台を獲得。いきなりトップクラスの実力を新参2メーカーが見せることになったのです。

第1戦を制したのは、シーズン1から毎年優勝を飾っている「フォーミュラE」の顔の一人、サム・バード(ヴァージン)。バードは巧みなレース展開で通算9勝目をマーク。データ不足で実力未知数のポルシェやメルセデスを振り切って、さすがは「フォーミュラE」のレース巧者という存在感を見せつけてくれましたね。

ただ、レースウィークを通じて速さを見せつけたのはアレクサンダー・シムス(BMW)でした。2戦連続のポールポジションを獲得しただけでなく、第2戦では優勝も飾り、シリーズポイントリーダーに。シムスにとっては参戦2シーズン目にして嬉しい初優勝となりました。また、BMWは昨シーズンからワークス参戦していますが、2シーズン連続で開幕ラウンドの優勝をマークし、今年も好調な滑り出しと言えます。

一方で苦しい展開となったのが、チャンピオンのジャン・エリック・ベルニュ(DSテチータ)。第1戦はリタイアでノーポイント。第2戦は8位と精彩を欠きました。第3戦以降の巻き返しが必要となります。ベルニュのチームメイトとしてチャンピオンチーム入りを果たしたアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DSテチータ)も獲得ポイント僅か3点という苦しい滑り出しです。

やはり予想が相変わらず難しいのはシーズン6も変わらずといったところですが、第3戦の舞台は南米チリのサンティアゴ。開催自体は3回目ですが、今年は「Gen2」が導入された昨年同様のコースになり、各チームのデータは揃っています。1周は約2.3kmで、コース幅は市街地コースにしては広めのサーキットであり、昨シーズンも接触、追突が相次ぎました。荒れるコースの一つと行って良いでしょう。最終セクションのヘアピンなどで無理やりノーズをねじ込んでいく、オーバーテイクショーも期待したいですね。

昨シーズン、このレースを制したのはサム・バード(ヴァージン)。バードにとっては昨シーズン唯一の勝利を飾ったコースであり、第1戦で優勝してランキング3位で迎える優勝経験コースでの戦いということになります。「ヴァージン」は昨シーズンからアウディのパワートレインを使用しており、データは充分。バードが今年も前半戦の主役になっていくのでしょうか。そこに激化する「ポルシェ」「メルセデスベンツ」「アウディ」「BMW」といったドイツのワークス達がどう絡んでいくのか、プライベーターとワークスの戦いも見逃せません。

今季のレースの注目はどうしても自動車メーカーチームが中心になってしまいますが、「フォーミュラE」は毎年意外なチームやドライバーが躍進し、いつの間にかこのレースの顔になっていくドライバーがいるのも面白いところです。デビュー戦ながらサウジアラビアで頑張ったと言えるのが、元F1ドライバーのブレンドン・ハートレー(ドラゴンレーシング)でしょう。彼の場合はポルシェのル・マン24時間ウイナーと紹介した方が良いかもしれませんね。

ハートレーは今季から「フォーミュラE」にデビューしましたが、ペンスキーのパワートレインを使うプライベーターである「ドラゴンレーシング」はこのコラムでもあまりフィーチャーしたことがない弱小チーム。ジェローム・ダンブロージオが居た時代は優勝も飾ったりとトップチームでしたが、徐々に年間ランキングを下げ、昨シーズンはランキング10位まで低迷しています(ポイント獲得僅に4回)。メーカーチームに押され気味なアメリカ国籍のチームながら、デビューラウンドでハートレーがポイントを獲得したのは充分な好パフォーマンスだったと言えるのかもしれません。

もちろん、彼自身はいつの日かメーカーワークスへという夢を抱き、今季はチャレンジの1年になるわけですが、体制としては決して恵まれているわけではない中で、今季ルーキーのハートレーがどれだけ成長していくかは興味深いポイントではないでしょうか。F1ではトロロッソ・ホンダのドライバーとして、WECでは今季からToyota Gazoo Racingのドライバーとして走り、日本のファンにもお馴染みの存在であるハートレー。今季も日本人ドライバーは居ないかわりに、応援対象としてハートレーの走りに注目してみるのも良いと思います。

「フォーミュラE」は他のモータースポーツシーズンが本格的な開幕を迎える前にレースが続きます。シーズンの行方を占う上でも非常に重要な第3戦・チリは要注目の戦いですよ。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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