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モーター スポーツ コラム 2019年10月31日

2年間の集大成……ジェンソン・バトン、SUPER GTラストレースへ

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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11月2日(土)、3日(日)にツインリンクもてぎで行われる2019SUPER GT第8戦。これを前に、ジェンソン・バトンが今季限りで同レースの参戦を終了することを表明した。これまでF1で17シーズンを戦い2009年にはワールドチャンピオンにも輝いたバトン。彼が2016シーズンをもってF1引退を決意すると、次なる活躍の場に選んだのが、このSUPER GTだった。

実はF1ドライバー時代からSUPER GTには興味があったというバトン。ちょうど彼の友人がテストに参加する機会があり、それがきっかけで情報を集めることになったとのこと。ホンダ在籍時代に毎年ツインリンクもてぎで開催される『Honda Racing THANKS DAY』に来場すると、時間を見つけてはGT500マシンが置かれているピットへ行ってコックピットを覗き込んでいる様子が印象的だった

そんなバトンが初めてSUPER GTマシンをドライブする機会が訪れたのは、2016年の『Honda Racing THANKS DAY』。そこで当時のNSX CONCEPT-GTをドライブし、ますますその魅力に惹かれていった。

そこから今度は“実際にレースに出る”という話に発展していった。F1のレギュラードライバーを離れ、休養に充てていた2017年のシリーズ第6戦「鈴鹿1000km」に、No.16 MOTUL MUGEN NSX-GTの第3ドライバーとしてスポット参戦することになったのだ。事前テストの段階から鈴鹿サーキットにはバトンを一目見ようと多くのファンが詰めかけ、いつも以上の盛り上がりを見せていたを今でも覚えている。

レース結果こそ芳しいものではなかったが、実戦を経験したことでバトンのSUPER GTに対するモチベーションはさらに上がった。当時取材した時も「実際にシリーズ参戦を本気で考え出したのは鈴鹿1000kmの後だった。その年の日本GPの時にホンダも交えて本格的に議論をした」と語っていた。

そして2018年、バトンはSUPER GTフル参戦を開始。山本尚貴とともにNo.100 RAYRIG NSX-GTの一員として、開幕前のテストから積極的な走り込みを開始した。しかしSUPER GTは2人のドライバーで1台のマシンをシェアしなければならない。特に100号車に関しては経験豊富な山本がベースのセッティング出しや、タイヤテストを行うため、走行時間の大半を占めることが多かった。その中でもバトンは“1周でも多く走ってクルマに慣れたい!”と、毎年開幕前に行われる岡山国際サーキットでの公式テストでは彼が丸1日テストを担当する日もあった。

“自分はレースが大好きなんだ”と再確認させれくれたレースだから、全力で取り組みたいー。

その想いがバトンを駆り立てているようだった。特に2018シーズンの前半は、とにかくレースに対して夢中になっていて、目を輝かせながら毎セッションに臨んでいたのが印象的だった。さらにそのシーズンは彼自身がYouTubeチャンネルを開設し、全レースのレビュー動画を配信。これにより、SUPER GTの魅力は瞬く間に世界中へ拡散され、日本が誇るツーリングカーレースの人気は急上昇して行った。

その年の100号車は第6戦SUGOでの優勝をはじめ8戦中4戦で表彰台を獲得する活躍を見せ、バトンは参戦1年目にしてGT500クラスのシリーズチャンピオンに輝いた。

そんなバトンは、また別のチャレンジに進むべく2019シーズンいっぱいでSUPER GTを去る決断をした。今季も2度の表彰台をはじめ、さすがF1チャンピオンという走りを何度も披露してくれたのだが、不運なアクシデントに見舞われることが多く、2年連続チャンピオンの可能性はなくなってしまった。

しかし、たった2シーズンで彼は経験豊富なライバルと全く引けを取らない走りをSUPER GTで披露するようになった。その集大成となるのが、今週末のもてぎだ。

今シーズンは苦戦気味だったホンダ勢。前年王者で今季未勝利の1号車コンビが、陣営のお膝元であるもてぎで一矢報いることができるか。そして何より“自分はレースをすることが大好きなんだ”を気づかせてくれたSUPER GT。その最後となる舞台で、バトンがどんな走りを魅せてくれるのかーー。

この日本のトップカテゴリーに、間違いなく新しい風を吹き込んでくれたジェンソン・バトン。彼の“SUPER GTラストラン”を……是非その目に焼き付けてほしい。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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