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モーター スポーツ コラム 2019年9月26日

【スーパースポーツ世界選手権 第10戦フランス】カリカスロ優勝で王座争いは10点差に

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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カワサキ

600ccの市販スポーツバイクの戦い「スーパースポーツ世界選手権」第10戦はフランスのマニクール・サーキットで開催されます。今シーズンも残すところあと3レース。チャンピオン争いに重要な意味を持つフランス戦は9月27日(金)〜29日(日)に行われます。第10戦の模様は「J SPORTS」で9月29日(日)に生放送で楽しめます。

さて、前戦のポルトガルではまたもやヤマハYZF−R6を走らせる「Evan Bros. World SSP Team」の2人による優勝争いとなりました。同チーム所属のフェデリコ・カリカスロ(ヤマハ)が今季3勝目をマークし、2位にチームメイトのランディ・クルメナッハー(ヤマハ)が入り、チームとしては今季5回目の1−2フィニッシュ。この2人によるチャンピオン争いはもはや確実なものになってきました。

ランキング首位のランディ・クルメナッハー(ヤマハ)とランキング2位のフェデリコ・カリカスロ(ヤマハ)の間には15点の差がありましたが、カリカスロが優勝して5点縮めて10点差。残り3レースですから、仮にこれからの2戦でカリカスロが連勝を続ければ、場合によっては同点に並んでのチームメイトによるチャンピオン争いという刺激的なシチュエーションが生まれる可能性もあります。

今季の2人のリザルトは勝利数ではクルメナッハーが4勝、カリカスロが3勝。表彰台はクルメナッハーが8回、カリカスロが全レース表彰台獲得の9回。これほどまでにチームメイト同士が接戦を繰り広げるシーズンも珍しいと言えます。これだけ激しく争えば、転倒を誘発し、ノーポイントレースが生まれ、シーズンの流れはどちらかが掌握するというパターンが多いかと思うのですが、「Evan Bros. World SSP Team」の2人は全戦で4位以内のフィニッシュを達成しているという安定ぶり。今季はランキング上位5人が一度もリタイアなしというのも珍しいシーズンと言えるでしょう。

ランキング3位につけるのは今季2勝をマークしているジュール・クルーゼル(ヤマハ)で前戦ポルトガルでは4位フィニッシュ。首位のクルメナッハーとの差が48点に広がり、逆転チャンピオンは現実的には厳しい状況に追い込まれています。ただ、今回は地元・フランスでのレース。彼が所属する「GMT94」はFIM世界耐久選手権に参戦した時代から地元フランス絶大な人気を誇るチームであり、特に耐久レースの現場では同チームのウェアを身につけて応援する人が多いのです。

今季からは「スーパースポーツ世界選手権」に一本集中しているフランスの人気チーム「GMT94」はクルーゼル、ペロラーリに加えて、フランス戦では若手ライダーのマキシミリアン・ボウ(ヤマハ)が加わり3台体制に。チャンピオン争いの条件は厳しくとも、チームとしてはクルーゼルを地元で何とか優勝に導きたいところでしょう。

そして、ランキング4位も地元の元王者、ルーカス・マヒアス(カワサキ)。今季からカワサキのトップチーム「カワサキ・プセッティ・レーシングチーム」に移籍したフランス人ライダーはここ3戦連続で3位表彰台を獲得。ヤマハとカワサキの差が徐々に詰まってきていることを予感させるチャンピオン経験者らしい走りを見せています。

ランキング5位には日本人ライダーの大久保光(カワサキ)。前戦ポルトガルでは7位フィニッシュ。チームメイトのマヒアスが3位に入ったため、彼とのポイント差は16点差に広がりましたが、このままシングルフィニッシュを続けていけば、日本人歴代最上位のランキング5位は維持できる状況にはなってきています。

その大久保は同じフランスで開催された伝統の「ボルドール24時間レース」にカワサキのチームから参戦し、17位完走。エクスペリメンタルクラス(=実験的挑戦をするマシンのクラス)でクラス優勝を果たしました。1000ccのバイクに乗った後、600ccでレースをするとスピードが向上するパターンはこれまでも鈴鹿8耐とその後のMoto2などのレースでもよく見られます。高いスピード域に慣れて、より攻めやすくなるというのが定説ですし、24時間レースの舞台・ポールリカールは超ロングストレートがあり、刺激的なスピード領域です。それを前週に経験した大久保がチームメイトのルーカス・マヒアス(カワサキ)を上回れるか、大いに期待しましょう。大久保は昨年のマニクールでは9位のシングルフィニッシュ達成。今季は昨年に比べて争うポジションがずっと前方になっていますから、今度こそ表彰台に立つ大久保が見たいものですね。テレビの前で応援しましょう。

「スーパースポーツ世界選手権」 には今季参戦4年目となる日本人ライダー、大久保光(カワサキ)が出場しています。カワサキに移籍して2年目となる今季はチームメイトのルーカス・マヒアス(カワサキ)と同じパッケージのバイクを獲得し、ようやくしっかり戦える体制が整っています。その環境で大久保は実力をいかんなく発揮し、第5戦・イモラでは自己ベストとなる4位フィニッシュを達成。表彰台獲得まであと一歩のところまで来ています。

ただ、今季もヤマハユーザーの優勢は変わらずで、カワサキはまだ第二勢力に甘んじているのが現状です。改造範囲が大きいわけでは無いスーパースポーツ世界選手権ではオートバイの素性が大きく成績を左右してしまいますから、カワサキはヤマハに対して真っ向勝負ができない状況は否めません。しかしながら、大久保は現在ランキング5位に付けており、過去に同選手権に参戦したライダーの中で最上位のランキングでシーズンを終えるべく奮闘しています。

そんな大久保は夏のサマーブレイク中には鈴鹿8耐に参戦。ギリギリまでチームが決定していなかった大久保でしたが、カワサキのプライベートチーム「メビウスグリーン 八尾カワサキ」から参戦し、53位完走。1000ccのバイクに乗ることで彼自身は良い経験になったことでしょう。そして9月21日〜22日にフランスで開催されるボルドール24時間レースにもカワサキZX−10RRでの出場が決定しました。これからシーズン終盤戦で重要な時期ですが、これからをも見据えた挑戦が600ccのスーパースポーツ世界選手権のレースに良い効果をもたらすことを期待したいですね。

ポルトガルで期待したいのはやはり大久保の初表彰台です。ポルトガルでは過去2年間、きっちりとフィニッシュを果たしており、相性は悪く無いサーキットといえますし、今季は昨年までのリザルトよりも上の順位でほとんどのレースをフィニッシュしていますから、序盤のトップ争いと表彰台をかけた争いになんとかして加わって欲しいところですね。

さて、大久保の活躍も楽しみなんですが、シーズンがリスタートということでポイントランキングをおさらいしておきましょう。

ランキング首位はヤマハYZF−R6を走らせる「Evan Bros. World SSP Team」のランディ・クルメナッハー(ヤマハ)=173点。過去のシーズンでも優勝経験があったクルメナッハーですが、今季は開幕戦・オーストラリアから優勝してシーズンの流れを牛耳っています。トータル4勝を飾り、表彰台を逃したのは前戦・イギリスの僅か1回だけという好調ぶり。攻めの姿勢とフィニッシュまでしっかりバイクを運ぶ、落ち着いたレースぶりを見せています。

一方ランキング2位はクルメナッハーのチームメイトであるフェデリコ・カリカスロ(ヤマハ)=158点。今季は2勝をマークし、その差15点でクルメナッハーを追いかけますが、カリカスロは開幕戦から全レースに渡って表彰台に乗っている唯一のライダーです。爆発的な速さはあるもののリタイアも多かったカリカスロは大人のライダーにすっかり成長。15点差は残り4レースで現実的に逆転可能な数字と言えるでしょう。

ランキング3位につけるのはスーパースポーツ世界選手権のランキング上位の常連、ジュール・クルーゼル(ヤマハ)=132点。前戦・イギリスでも優勝を飾り、53点に開いていた首位のランディ・クルメナッハー(ヤマハ)との差を41点に縮めました。逆転による初の王座獲得に向けては今は他力本願な要素が多めですが、今回のレース展開次第では一気に差が詰まる可能性もあり、ここは優勝したいレースです。クルーゼルは2015年、MVアグスタ時代にポルトガルでポールトゥウインを飾っていますから、今回の一番の注目と言えるでしょう。

そしてランキング4位は大久保光(カワサキ)のチームメイト、ルーカス・マヒアス(カワサキ)=82点。直近の2レースで連続3位表彰台を獲得しており、カワサキZX−6Rユーザーとしては彼がただ一人表彰台に乗っています。昨年まではヤマハのライダーとして活躍していましたが、さすがは2017年の同選手権チャンピオンです。しかもポルトガルでは昨年、ポールポジションから優勝していますから、マヒアスにとって得意中の得意サーキット。3戦連続の表彰台を得れば追うチームメイトの大久保に差をつけることができます。劣勢であるカワサキのマシンで王者マヒアスがどこまで行けるのか、大きな注目が集まります。

今季もヤマハが好調で「Evan Bros. World SSP Team」のチームメイト対決が毎レース展開されている「スーパースポーツ世界選手権」。しかし、シーズンの流れを変えようとライバルも虎視眈眈。いつも以上に入り乱れあった激しいレース展開を期待しましょう。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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