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2019年のSUPER GTシリーズも、いよいよ終盤戦に突入。9月21日、22日には宮城県のスポーツランドSUGOでシリーズ第7戦が開催される。毎年“魔物が出る”とウワサされているSUGO大会。さて、今年はどんな波乱が待ち構えているのか……。
この第7戦ではウェイトハンデが半減される。通常ドライバーズポイント1点あたり2kgのハンデが与えられていたが、今大会では1点あたり1kgの計算。実質的に“半分”となるわけだ。昨年は一番ウェイトハンデが重くなる第6戦として開催され、特にウェイトが重いランキング上位チームは無理に上位を無理に狙わず淡々と走る戦略をとっていたが、今回は各車のウェイト差が比較的なくなった状態でのレース。しかも、チャンピオン争いを考えると1ポイントも落とすことができない重要な局面となるため、全チームが優勝を目指して真っ向勝負をすることになるだろう。今年のSUGOはウェイトの駆け引きがない“ガチンコバトル”が楽しめそうだ。
GT500:『逃げる6号車』vs『追う37号車』頂点をかけたSUGO決戦開幕!
いよいよ佳境に差し掛かったGT500クラスのチャンピオン争い。注目なのは頭一つ抜け出た感のある上位2チームだ。まずは首位を快走する大嶋和也/山下健太のNo.6 WAKO’S 4CR LC500。第4戦タイ、第5戦オートポリスを連勝すると最大ウェイトを積んで臨んだ第6戦オートポリスでも堅実な走りを見せ6位入賞飾り、2番手以下に10ポイントのリードをつけてラスト2戦を迎えた。今回は65kgと燃料リストリクター制限を受ける状況ではあるが、ウェイトハンデが今までより少なくなった分、彼らの本来のパフォーマンスが期待できそう。以前、脇阪寿一監督「第6戦までは他力本願も含めて、少しでもポイントを稼いで、第7戦SUGOと最終戦もてぎは勝ちに行く」と語っていた。6号車が悲願のチャンピオン獲得に向けて、ラストスパートをかける1戦となりそうだ。
そんな6号車を10ポイント差で追いかける平川亮/ニック・キャシディ組のNo.37 KeePer TOM’S LC500も目が離せない。前回のオートポリスでも終盤に怒涛の追い上げを見せ3位表彰台を獲得。第3戦鈴鹿以降は全てトップ5圏内でフィニッシュするという安定した走りを披露している。逆転王座を考えると、ここSUGOは何としても6号車の前でゴールし、少しでもポイントを稼いでいきたいところ。彼らも燃料リストリクター制限の対象となる55kgのハンデを背負っているが、二人のドライバーとも37号車のポテンシャルには自信がある様子。特に平川は「うまくいけば、SUGOで逆転できるかもしれない」とオートポリスのレース後も前向きな表情を見せていた。全力で攻めてくる37号車のパフォーマンスに注目だ。
第6戦を終えてレクサス勢がランキングのトップ4を独占。各レースの結果をみても同陣営が第2戦から5連勝中とシリーズを完全に支配している。これに対し、今回のSUGOで一矢報いたいと闘志を燃やしているのが、ホンダ勢、ニッサン勢だ。特に今回期待がかかるのはホンダ勢。SUGOは彼らが大得意としているコースで、昨年も予選・決勝ともにワンツーを独占した。8月に行われたSUGOでの公式テストでも他を圧倒する速さを披露していただけに、今週末はホンダらしい速さが存分に観られるレースが期待できそうだ。
一方、今季未勝利のニッサン勢もここSUGOとの相性は悪くなく、2016年の優勝を始め直近4年間は全て表彰台に絡むレースをしている。今季は序盤戦で速さを見せたものの中盤戦に入ってやや失速傾向だったが、それも第6戦オートポリスでは復調しつつある走りを随所でみせていた。東北の地でニッサンファン待望の今季1勝目が挙げられるか?注目だ。
大混戦のGT300クラス。主導権を握って最終戦もてぎに向かうのは?
一方、GT300クラスはトップ4チームが7ポイント以内にひしめく激戦となっている。ここまで全戦でコンスタントにポイントを稼いできた高木真一/福住仁嶺組のNo.55 ARTA NSX GT3が首位の座を堅持しているが、小暮卓史/元嶋佑弥組のNo.88 マネパ ランボルギーニGT3が5ポイント差で2番手、新田守男/阪口晴南組のNo.96 K-tunes RC F GT3が5.5ポイント差で3番手、平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ組のリアライズ日産自動車大学校GT-Rが6.5ポイント差の4番手につけている。4チームともウェイトハンデが半分になったこともあり、これまでは着実にポイントを獲得するレースに徹しているところもあったが、チャンピオン争いで主導権を握った形で最終戦もてぎへ向かうべく、今回のSUGOでは上位を狙って来ることは間違いないだろう。こちらも意地と意地がぶつかり合う激しいレース展開となりそうだ。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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