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モーター スポーツ コラム 2019年8月21日

競り合いで負けたらドライバーとしてダメだから

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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ツインリンクもてぎのブリーフィングルームは、コントロールタワーの一階にある。
そのブリーフィングルームで行われる記者会見の直前。
入り口脇で肩を落として項垂れ、そして涙するドライバーひとり。遠くで2019全日本F3選手権チャンピオンを讃えるセレモニーが行われていた。チーム監督に声を掛けられる度に肩を震わせ、目から涙が流れていた。

同サーキットで行われた3連戦中の第18戦は、今シーズンのチャンピオンが決まるかどうかの大切な一戦だった。2番手グリッドからスタートを切った彼は、ジャンプスタートで前に出た一台を5コーナーで抜き去り、トップのマシンを追った。コース上の状況を映し出すモニターからもその気迫溢れたドライビングが手に取るように分かった。トップと彼の差は、1周目から1秒以内の接戦だった。1周目の5コーナー先、ファーストアンダーブリッジを抜けてS字コーナーまで果敢に並びかけたが、トップに出るには至らなかった。

同日に行われた第17戦では、ポールポジションからスタートしたが、スタート直後にチャンピオンを争う2番手スタートのドライバーに並び掛けられた。2コーナーの出口でアウト側のタイヤをダートに落としながらも競り勝ってトップを守った。「以前、2コーナーで同じような状況になって、失敗してしまいました。その時監督から“競合いで負けたらドライバーとしてはダメだから”と言われたことを忘れずにこれまで頑張ってきました」彼の所属するチームは、プロフェショナルドライバーを育成する虎の穴。多くのF3チャンピオンを誕生させて、その若武者たちは後に国内外のトップカテゴリーで活躍するドライバーに成長している。

3連戦の最後、第18戦で優勝&ファステストラップを記録すれば、最終大会、次戦の岡山国際サーキットまでチャンピオン決定が持ち越された。しかし、ファステストは取ったが2位。41年の全日本F3選手権の歴史の中でも最も素晴らしいレース展開だったが彼にチャンピオンの栄冠は輝かなった。

宮田莉朋20歳、そしてチャンピオンのサッシャ・フェネストラズ同じく20歳。

今後この二人はどのようなドライバーに成長してゆくのだろうか。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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