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モーター スポーツ コラム 2019年7月24日

72台の屈指のGT3バトルはいよいよ今週末。伝統のスパ24時間は世界一の戦いに

モータースポーツコラム by 平野 隆治
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「72台ものGT3カーがそろうレースなど他にない。君も来るべきだ!」

ブランパンGTワールドチャレンジ・アジア富士戦の時のこと。GT3の生みの親とも言える、SROモータースポーツ・グループのステファン・ラテル氏にインタビューした際、こう語られた。「72台ものGT3カーがそろうレース」とは、7月27~28日にベルギーのスパ・フランコルシャンで開催されるトタル・スパ24時間レースのことだ。

もともと、今季のスパ24時間は取材を検討していたのだが、諸々あって踏ん切りがつかなかったところに、このラテル氏の言葉が効いた。まあ正直言ってしまえば、ラテル氏におだてられて来たようなもので単純極まりない話なのだが、サーキットに到着してみると、まずは来て良かったと思っている。

GT3カーはご存知の方も多いと思うが、市販スポーツカーをベースに改造が加えられたマシンで、基本はメーカーが製作し、各レーシングチームに販売される。車種によって値段はまちまちだが、いまや同じカテゴリーのレーシングカーというくくりで言えば、世界で最も車種バラエティがあり、台数がそろっているカテゴリーではないかと思う。日本で言えばSUPER GT GT300クラスやピレリ・スーパー耐久シリーズで使用されているマシン、J SPORTSで放送されているニュルブルクリンク24時間の最高峰カテゴリーと言えば分かりやすいだろう。

そんなGT3が72台も集まるレースに向けて、とりあえずピットとストレートまわりを見て回ってみた。そもそも筆者はスパ・フランコルシャン自体が初めてなのだが、聞いていた以上にアップダウンが凄まじい。ニュルブルクリンクもアップダウンは大きいが、スパはF1も開催されるだけあってコース幅もある程度あるものの、やはりその高低差はニュルよりもダイナミックに感じられる。

また、サーキットの周囲はとにかく森。これを書いている最中は、最初のセッションであるブロンズドライバーテスト(ドライバーカテゴライズでブロンズのドライバーのみ走行可)が行われているが、実にさまざまなエキゾーストノートが、森にこだまする。

そして何より、ピットを観ただけでただならぬ週末が待っているのが想像できた。当たり前なのだが全車がGT3。そして、日本では珍しいレベルのGT3カーが、文字どおりゴロゴロとピットに押し込まれている。72台ものマシンを収めるためには、通常F1で使われている新ピットだけでなく、古いピットもすべて使う。とてつもないレベルだ。ちなみに、スパは全長7km。もし全車がコースに入ったら、100m以内に1台はクルマがいる計算になる。

そしてチームのレベルも、ドライバーのパフォーマンスも尋常ではないレベルで高い。道具の差はワンメイクタイヤということもあり、ほとんどない。チーム力とドライバーの力だけが試されるレースなのだ。トップドライバーたちの屈指の24時間バトルになるはずだ。

もともとこのスパ24時間は、1924年に初めて開催された伝統あるレース。2001年からGTカーをメインに争われるようになり、その後2011年からブランパンGTシリーズに、そしてGT3カーの世界一決定戦として全5大陸で争われる、インターコンチネンタルGTチャレンジの一戦として数えられるようになったレースだ。伝統、そして格式ともにまさに世界一。「君も来るべきだ!」と言われた理由は、来てみて理解した。

さて、そんなトタル・スパ24時間は今年もJ SPORTSで熱戦の様子が放映されるが、期待したいのは、ジャパンパワーで挑むふたつのチームだ。1台は、グッドスマイル・レーシングの00号車メルセデスAMG GT3。2017年にチームは初めてこのスパに挑んだが、結果として決勝前、そしてレース中と、二度の激しいクラッシュに見舞われてしまい、苦い記憶となった。

しかし今回は、ドイツの超名門ブラックファルコンとのコラボレーションで挑む。今回もドライバーとして名を連ねる谷口信輝と片岡龍也にとっては、17年のリベンジを期したいレースだ。なお、今回はグッドスマイルの00号車に加え、ブラックファルコンの2台も、チームの強い要望によりグッドスマイル側がカラーリングを担当。3台のジャパニーズ・ポップカルチャーを施したメルセデスが戦う。すでにチームのピットには、カラーリングを観ようと他チームや関係者が数多く訪れている。また今回、00号車はふだんSUPER GTで戦うスタッフも加わっている。

そしてもう一台は、KCMGの35号車日産GT-R NISMO GT3をドライブする千代勝正と松田次生だ。こちらは日本車+日本人ドライバーの組み合わせと、期待度も高い。今季日産GT-R NISMO GT3は非常にポテンシャルも高く、その速さには注目だ。

KCMGの18号車日産GT-R NISMO GT3、そしてHonda Team MOTULから参戦するHonda NSX GT3 Evoも、インターコンチネンタルGTチャレンジとしてのエントリーであり、その戦いぶりは大いに楽しみなところだ。

正直に言えば、他の24時間レースも魅力はいっぱいだが、個人的にこのトタル・スパ24時間については「今までなんで来なかったのか」というレベルのレースになりそうだ。皆さんもぜひお見逃しなく。

文:平野隆治

平野 隆治

平野 隆治

1976年横浜市出身。モータースポーツ専門誌、サイトの編集部員を経て、2015年からモータースポーツを中心にした“自称なんでも屋”に転身。SUPER GTは10年以上ほぼ全戦現地で取材をこなしてきた。

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