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モーター スポーツ コラム 2019年6月24日

今年もニュルブルクリンクに壮大な150とおり以上のドラマが。日本勢もそれぞれの収穫

モータースポーツコラム by 平野 隆治
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今年もニュルブルクリンク24時間は、大いに盛り上がりをみせた。決勝日となる6月22日など、周辺道路は大渋滞でカラチオラ・カルッセルで写真を撮ってからブリュンヘンへの3kmほどをレンタカーで移動したが、なんと30分ほどかかってしまったほどだ。キャンプエリアは例年以上に人がいるように思えたし、レース全体がまさにドイツ中が注目しているかのようだった。

そんなレースだが、今季もドイツメーカーを中心に戦いが展開された。王者マンタイ・レーシングを擁するポルシェ、そしてメルセデスAMG、アウディ。BMWは今季まったくツキがなかったが、それでも彼らの戦いにファンは熱狂した。例えば序盤、ポルシェがメルセデスを抜くシーンがあったが、ポルシェファンから地鳴りのような歓声が聞こえ鳥肌が立った。

そしてこのドイツメーカーに加え、世界中から多くのメーカーが参加し彩りを添えている。日本車ではTOYOTA GAZOO Racing、SUBARU、そして今回敢然とドイツメーカーに立ち向かったKONDO Racingとニッサン/ニスモ、プライベーターながら最高峰のSP9に挑んだレーシングプロジェクトバンドウ×NOVEL Racing。彼らの存在はニュルにたしかな足跡を残した。また、近年は韓国のヒュンダイも積極的で、韓国人の関係者もパドックでは非常に多かった。

また、今季はタイヤメーカーの戦いもアツかった。多くのGT3カーが履くミシュラン、今季から参戦した日本車のGT3カーやワーケンホルストのBMWが履くヨコハマ、さらにニュルで名を上げたファルケン、そしてダンロップが中心だが、TOYOTA GAZOO Racingが履くブリヂストン、ヨーロッパで勢力を増す韓国のハンコック、そして同じく韓国のナンカン、さらにシンガポールのジーティーなど、非常に多くのタイヤメーカーがニュルを目指したのだ。


まさに自動車に関わるすべての者の祭典。勝敗関係なく、走る者すべてが賞賛されるのがニュルブルクリンク24時間。そんなレースの雰囲気を、今年は全体から感じることができた。


そんな祭典に参加した日本勢は、それぞれの結果を残した。今季、最高峰のSP9に挑んだ2台の日本車のうち、KONDO RacingのニッサンGT-RニスモGT3は初挑戦ながら10位という結果を残した。基本的に、SP9はGT3カーに採用される性能調整が施されるため、理論上はイコールではあるのだが、このニュルブルクリンクではやはりドイツ勢がチームもドライバーも地の利をもっている。


これほどの広大なコースでは、やはりサーキットをどれだけ知っているかが有利になる。金曜のトップクオリファイでは、スーパーGT王者の松田次生が敢然とアタックしていたが、そのタイム差と25番手という順位に愕然としていたのが印象的だった。ただ、彼らの挑戦は3年計画。1年目の結果としては素晴らしいものがあったのではないだろうか。


とはいえ、トラブルもあり順位を落としたRPバンドウ×NOVELのレクサスも同様だが、やはりドイツ勢との間にわずかな壁があったのは事実。今後彼らの挑戦が実を結ぶ日を楽しみにしたい。


そして日本勢では、素晴らしい結果とも言えるのがSP3TクラスのSUBARU WRX STIだ。ティム・シュリックのドライブ中に接触を喫したが、その他は淡々とハイペースで走り、総合19位という結果を残した。市販車開発の場として2008年から挑戦を始め、もはやSP3Tでは敵なしの状態となった。総合順位の向上、9分切りと目標はあったが、GT3カーなどに次ぐ順位はまさに驚異と言える。


また、TOYOTA GAZOO Racingにとっては、レクサスLCはトラブルもあったが、“モリゾウ”も乗り込んだGRスープラは、総合首位の車両と接触するシーンもあったが、きっちり完走を果たし、新たなストーリーを紡いだ。


今年もこの広大なドイツの山中で、150台以上の参戦マシンにそれぞれのドラマが生まれていった。まずは、これだけのマシンが参加し、危険な速度差のなかで大きな怪我をしたドライバーもなくレースが終わったことを感謝したい。そして来年、またドラマを求めて人々が集まるのだろうと感じた。


文:平野隆治

平野 隆治

平野 隆治

1976年横浜市出身。モータースポーツ専門誌、サイトの編集部員を経て、2015年からモータースポーツを中心にした“自称なんでも屋”に転身。SUPER GTは10年以上ほぼ全戦現地で取材をこなしてきた。

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