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モーター スポーツ コラム 2019年6月6日

【スーパーバイク世界選手権 第6戦スペイン / プレビュー】レイの今季初優勝で流れは変わるか?

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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ポディウム

「FIMスーパーバイク世界選手権」は5月開催のイタリアから約1ヶ月のインターバルをあけてシーズン再開。ここからサマーブレイクまで4戦に渡ってレースが開催されます。第6戦はスペインのヘレスサーキットが舞台。「J SPORTS」では6月7日(金)〜9日(日)に開催される第6戦の模様を6月10日(月)にオンエアします。

さて、前戦のイタリア・イモラでのレースでアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)の連勝にようやく土がつきました。レース1のポールこそ地元イタリアのドゥカティに乗るチャズ・デイビス(ドゥカティ)が取りましたが、レース序盤にコースアウトして脱落。優勝はチャンピオンのジョナサン・レイ(カワサキ)となり、開幕から11連勝してきたアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)以外のライダーが今季初めて優勝することになりました。

ジョナサン・レイ(カワサキ)は翌日のスプリントレースも優勝し、ポールから勢いに乗ってレース2も、というところでの激しい雨。残念ながらレース2は中止がアナウンスされ、レイは3連勝のイモラ完全制覇は成し遂げられませんでした。ドゥカティのお膝元、高速コースのイモラでカワサキがドゥカティを凌駕することになっただけに、レース2が非常に楽しみだったのですが、天候ばかりはどうしようもありません。果たして、カワサキはドゥカティに追いついたのでしょうか?

今季ニューマシン「パニガーレV4R」を投入したドゥカティ。それに対抗し、フルモデルチェンジではないものの進化版の「ZX−10RR」を投入したカワサキ。その両者の差が詰まったかどうかを判断するのに、イモラは難しいレースだったと言えます。なぜなら、怪我の影響もあってバウティスタに大きな差をつけられていたチャズ・デイビス(ドゥカティ)が速さを取り戻し、バウティスタはデイビスの後塵を拝するという今までとは違う状況になったからです。

MotoGPはじめグランプリロードレースで走ってきたアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)にとってイモラは未経験のコースでしたから、バウティスタはレース1であまり無理をしていないようにも見えました。11連勝でシリーズチャンピオンが早くも見えてきた状況の中で、不慣れなコースでリスクを取るよりも着実に上位フィニッシュし、ポイントを重ねる方が得策だからです。そういう意味ではバウティスタはある意味クレバーなレースをやったとも考えられなくはないですね。

アクセル全開区間でのドゥカティの立ち上がりの速さはまだまだカワサキに対してアドバンテージがあるようにも見えますし、結果だけでカワサキとドゥカティが互角であると見るのはちょっと無理があるでしょう。5月末のイモラでのテストでもカワサキは様々なメニューをこなしましたが、テスト時にジョナサン・レイ(カワサキ)はインフルエンザを患い、万全ではない状況で、しかもテストは雨ということもありました。今回のヘレスで現時点での本当の勢力図が明らかになるのではないでしょうか。

そんな中、ジョナサン・レイ(カワサキ)とレオン・ハスラム(カワサキ)はイタリアから鈴鹿に移動し、鈴鹿8耐に向けたテストに参加。今年はトプラック・ラズガットリオーグル(カワサキ)を加えたフルワークスチームの「Kawasaki Racing Team」として参戦します。今回はレイ、ハスラムに加えて、チーム代表のギム・ロダ、レイのチーフメカニックのペレ・リバらのジョナサン・レイをチャンピオンに導いた中心メンバーが来日しました。

鈴鹿では彼ら主導でテストメニューをこなしていましたから、鈴鹿8耐は日本の「Team Green」のメカニックらがピットクルーを務め、マシンの方向性作り、エンジニアリングに関してはスーパーバイク世界選手権の「Kawasaki Racing Team」のメンバーが進めるという体制になりそうです。これは昨年と大きくは変わりませんが、レイやハスラムの意見がより色濃く反映される組織に変わった事は間違いありません。息の合うメンバーと鈴鹿でテストできた事は特にジョナサン・レイにとってはポジティブな要素でしょう。しかし、イタリア、日本、スペインと短期間で移動し、レイとハスラムの疲労が心配です。さらに、鈴鹿ではブリヂストンタイヤのマシンに乗ったわけですから、ピレリタイヤワンメイクのスーパーバイク世界選手権に戻って違和感を感じないか、若干の不安がよぎります。

一方で、鈴鹿8耐への参戦が決まったマイケル・ファンデルマーク(ヤマハ)とアレックス・ロウズ(ヤマハ)に関しては鈴鹿のテストには不参加。ドゥカティの2人も鈴鹿8耐には参加しませんから、カワサキの2人だけがハードすぎるシチュエーションだったということになります。疲労が影響しないことを祈りたいですね。

そして、ヤマハの2人は前戦・イモラでは表彰台に上がることができませんでした。ヤマハが表彰台に乗らなかったレースは開幕戦のフィリップアイランド以来のことです。今月彼らはスーパーバイク世界選手権に集中し、月末に鈴鹿にやってくると考えられます。

また、今回のヘレスにはレオン・キャミア(ホンダ)の代役として高橋裕紀(ホンダ)が参戦することになりました。清成龍一(ホンダ)とのモリワキライダーによる日本人コンビがスーパーバイク世界選手権に参戦です。高橋裕紀にとってヘレスはGP250時代の2008年に3位表彰台の経験がある相性の良いサーキット。ホンダCBR1000RRにピレリタイヤは日本のレースと同じパッケージになるので、代役参戦ながらポジティブな結果に期待したいですね。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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