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モーター スポーツ コラム 2019年4月18日

2019スーパーフォーミュラ第1戦プレビュー:“異次元”&“未知数”の開幕バトルに注目

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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2019スーパーフォーミュラ第1戦プレビュー:“異次元”&“未知数”の開幕バトルに注目

いよいよ、2019シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権が4月20日・21日に鈴鹿サーキット(三重県)で開幕を迎える。今シーズンから新型マシン『SF19』が導入に加え、海外からも有力な若手ドライバーが続々と参戦。さらにヨーロッパの名門チームであるモトパークも参入するなど、すっかり海外から一目置かれるカテゴリーとなった。もちろん、開幕戦に向けた見どころも非常に多い。

コーナリングスピードは異次元の領域に……鈴鹿の予選では1分34秒台突入か!?

今シーズンからスーパーフォーミュラの参戦車両は『SF19』に変更される。F1をはじめ世界中のフォーミュラカテゴリーで導入が進んでいる「HALO(ヘイロー)」も装着されるなど、2016/17 FIA F1 セイフティレギュレーションに準拠したマシンに仕上がっている。

開始開幕前のテストでは早くも『SF14』時代のコースレコードを上回るタイムが記録され、特に開幕戦の舞台となる鈴鹿サーキットに関しては、どのドライバーも「コーナリングスピードが上がった!」とコメントしている。実際にS字や逆バンクを駆け抜けていく姿はSF14よりも格段に早くなっており、まさに“異次元”の領域に突入したと言っても良い。

3月の鈴鹿合同テストではルーキーのアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)が1分35秒904を記録。2017年に中嶋一貴が記録したコースレコード(1分35秒907)を早くも上回った。この日は雨上がりで路面もあまり良くないコンディションだったことを考えると、今週末の予選ではさらに早いラップタイムが刻まれる可能性が高く、1分34秒台という驚異的なタイムも見られるかもしれない。

2019年はオーバーテイク急増か?OTSの運用方法が変更

このSF19導入に伴って、オーバーテイクシステム(OTS)の運用方法が変更された。これまでは20秒×5回使用できていたものが、今年からは100秒間を自由に使い分けることができる。極端に言えば、100秒を1回で使い切ってしまうことも可能なのだ。

しかし、今年からは1回使うごとに100秒間(鈴鹿サーキット約1周分)の使用制限がかかる。さらにリアコーションランプと連動し、作動時は同じように点滅する。これにより後続車にOTSの使用状況がバレてしまうため、昨年まで頻繁に使われていた“防御としてのOTS使用”という戦略が使いづらくなってしまうのだ。

これについて昨年のスーパーフォーミュラ王者である山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は「頭を使いながらレースをしなければいけなくなると思います」とコメント。同じく2度のチャンピオン経験を持つ石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・ INGING)も「1回使うと次まで100秒間待たなければいけなくなるというのが要素としては大きくて、今年は多分オーバーテイクがかなり増えると思います」と予想していた。純粋な速さだけでなく、今まで以上に頭脳戦が展開されるレースが楽しめそうだ。

2019スーパーフォーミュラ第1戦プレビュー:“異次元”&“未知数”の開幕バトルに注目

海外から新たな刺客が参戦、予選Q1から超ハイレベルな戦いが始まる

2019シーズンの特徴といえば、海外からの若手ドライバーが多数参戦すると言うこと。今年は国内外合わせて7名のルーキードライバーが加わるなど、昨年からみてもドライバーラインアップは大きく変わっている。

まず注目なのが、レッドブルジュニアチームが今季2人参戦するということだ。そのうちのひとりが、マカオF3で2連覇を果たしたダニエル・ティクトゥム。昨年は2レースのみのスポット参戦だったが、今年はTEAM MUGENからフル参戦。さらなる活躍に期待が高まる。同じく育成ドライバーであるルーカス・アウアーはB-MAX RACING with motoparkからエントリーする。昨年まではDTMで活躍していたが、「スーパーフォーミュラは目指すべきカテゴリーだ」と断言するほど、数年前から参戦を熱望していたという。さらに彼のチームメイトには、数々のF1チャンピオンマシン制作に携わった“空力の鬼才”エイドリアン・ニューウェイの息子であるハリソン・ニューウェイが参戦。彼は今年スーパー耐久にもエントリーし、日本に腰を据えてレースをするという。UOMO SUNOCO TEAM LEMANSにはFIA F2で長年上位争いをしてきたアーテム・マルケロフが加入。ヨーロッパでみせたアグレッシブな走りに期待したい。

これに対し、日本人ドライバーも注目の若手が今季デビューを果たす。昨年までヨーロッパで武者修行を積んだ牧野任祐がTCS NAKAJIMA RACINGに加入し、昨年の全日本F3選手権で17勝を挙げる活躍をみせた坪井翔はJMS P.MU/CERUMO・INGINGからデビューを果たす。彼らも開幕前のテストでは速さをみせていた。

この他にも、優勝候補に名を連ねるドライバーたちばかり、総勢20名が開幕戦のグリッドにつくことになる。今年から予選Q1の通過台数が14台から12台に変更された。またドライバーたちの層も厚くなっていることを考えると、予選Q1から激烈なタイムアタック合戦が展開されるのは間違いないだろう。今年のスーパーフォーミュラは、土曜日の予選セッションから目が離せない。

真価が試されるSF王者、得意の鈴鹿で速さをみせるか?

昨年、ニック・キャシディとの激闘を制し、2度目のチャンピオンに輝いた山本尚貴。今年はさらなる飛躍を目指し、チーム移籍を決断した。8年間在籍したTEAM MUGENを離れ、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGに加入。今年1月に行われたホンダの体制発表会では一番のトピックとなった。

シーズンオフには「もちろん同じ体制で今季も臨むのが良い部分もありますが、長年在籍したチームだからこそ、慣れや甘えが出てしまい、視野も狭くなっていく部分も少なからずあると思います。新天地でさらに勝ち星を重ねてタイトルを獲得していければ、ドライバーとしての価値や評価をさらに上げられると思います」と移籍の理由を語った山本。今までは鈴鹿サーキットでは抜群の速さと強さをみせていたが、今年は鈴鹿だけでなくどのサーキットでも力強く戦っていけるようになることがテーマだという。

開幕前のテストでは鈴鹿・富士ともに好タイムを記録していた山本。王者として迎える2019シーズン最初のレースで、どのような走りを披露してくれるのか……非常に楽しみだ。

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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