スーパースポーツ世界選手権 第4戦オランダ　〜ランキング5位を維持した大久保に期待〜

激しいバトルが魅力の「スーパースポーツ世界選手権」は2週連続の開催で、第4戦はオランダのTTサーキット・アッセンでの戦いです。4月12日（金）〜14日（日）に開催される第4戦の模様は「J SPORTS」で4月14日（日）に生放送で楽しめます。

さて、前戦のアラゴンは凄まじいバトルとなりました。ポールポジションはなんと伏兵とも言えるトーマス・グレイディンガー（ヤマハ）が獲得。22歳の若きオーストリア人がここに来て光り輝く物を見せ始めました。レース序盤はフェデリコ・カリカスロ（ヤマハ）と激しく競り合いますが、その2人のバトルにランディ・クルメナッハー（ヤマハ）とラファエル・デローサ（MVアグスタ）が追いつく4台によるトップ争いの構図に。

そして、残り4周ということろで一瞬4台がほぼ横一線に。各ライダー限界ギリギリのバトルに終始し、ラファエル・デローサ（MVアグスタ）が抜け出し、MVアグスタの優勝なるか？と思われたファイナルラップ。なんとランディ・クルメナッハー（ヤマハ）が残りコーナー2つというところで首位に立ち、今季2勝目を達成。アラゴンのレースは本当に手に汗握る格闘の連続。これぞ「スーパースポーツ世界選手権」という激しいバトルを楽しめた第3戦・でしたが、2週続く連戦になりますから、このバトルの続きが見られそうで楽しみです。

そんな中、期待値の大きかった大久保光（カワサキ）は堅実に8位でフィニッシュし、ランキング5位をキープ。アラゴンではヤマハ勢とMVアグスタに水を開けられたカワサキでしたが、7位完走したチームメイトの元チャンピオン、ルーカス・マヒアス（カワサキ）と互角の戦いを繰り広げての結果。これで大久保は3戦連続でシングルフィニッシュするという調子の良さを見せてくれています。この調子でアッセンも好成績を期待したいところですが、やはりトップグループからの差は大きかったので、どこまでチームが現状を改善してくるかが鍵となります。大久保はアッセンでのベストリザルトが21位となかなかうまくいかないレース続きですが、カワサキ勢のエースとなれるようプッシュして欲しいところです。

さて、前戦のアラゴンからヨーロッパラウンドが始まりましたが、アラゴンで光ったのはMVアグスタのラファエル・デローサ（MVアグスタ）ではないでしょうか。フライアウェイ戦では昨年も見せたような連続表彰台フィニッシュのような勢いが鳴りを潜めていましたが、ここに来てトップ争いに真っ向勝負できるようになりました。アラゴンでは優勝まであと一歩というところでしたね。

ラファエル・デローサ（MVアグスタ）はイタリア出身の32歳。2009年にはロードレース世界選手権125ccクラスでも表彰台を獲得したライダーで、Moto2への参戦を経て、ビッグバイクに順応するべく、より市販車に近い「スーパーストック1000」に参戦。BMWから出場した2016年は見事にチャンピオンを獲得し、2017年には「スーパーバイク世界選手権」に昇格。しかし、最高位は7位に留まり、昨年からは600ccの「スーパースポーツ世界選手権」に転向して、MVアグスタから参戦しています。

昨年は4戦連続で3位、さらに2位とシーズン中盤に表彰台の常連となったことも記憶に新しいですが、その勢いに乗ったのがオランダのTTサーキット・アッセンのレースでした。MVアグスタとしては今季2台体制となっていますが、実質的には孤軍奮闘中といった感じのデローサ。MVアグスタの優勝というと2016年のジュール・クルーゼル（現ヤマハ）以来ありませんから、ヤマハ全盛の「スーパースポーツ世界選手権」で勝利を飾るとなれば、ベテランとしての今後のキャリアにも大きく影響することになるでしょう。

今回のアッセンは日本の大久保光と共に、その走りに大いに注目したいのがラファエル・デローサ（MVアグスタ）のキレ味鋭い走りではないでしょうか。