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マカオから帰国して(実はマカオでも)一番気にかかっていたのが、大相撲の優勝争い。横綱が全員休場(稀勢の里は場所の途中から)していたのに盛り上がった十一月場所(九州)場所だったのです。
スポーツ好きな方は、ご存知でしょう。場所前に貴乃花親方率いる貴乃花部屋が親方の廃業によって力士たちは、千賀ノ浦部屋に急遽移籍。その渦中にいた貴景勝関が初日で横綱 稀勢の里を破った。そこから貴景勝の勢いは止まらなかった。そして、初優勝を飾ったのです。部屋の解散、貴乃花親方のゴタゴタ問題で彼は、時の人となり。横綱の居ない場所でヒーローとなったのです。
ある新聞が【父子鷹-おやこだか】と貴景勝関と父親の関係を表現していたのを読みました。同じ目標に向かって父と子がともに優れた能力と努力で突き進む。それも激しく。という意味につかわれるが、もともとは、小説の題名。
気がつけば、モータースポーツは近年、父子鷹がいっぱいですね。
かつての名ドライバーの二代目、三代目がいろいろなケテゴリーで活躍しているのはご存知でしょう。初代が共に手とり足とりプロのドライバーを目指すという例もあるけれど、モータースポーツの場合は、父がドライバーでなくとも、子に対して幼少の頃からレーシングカートを始めさせる金銭的サポートは不可欠な存在ですよね。だって、子供がレーシングカートを自身のお小遣いで買えるはずなないから。親が最初にスポンサーとして子を支える様は、共に能力を使い、努力して目標に突き進む父子鷹そのものでしょうね。
ボクが仕事をはじめて、正に父子鷹を見たのは、鈴木亜久里さんとお父さんの鈴木正士さん。全日本カート選手権に出場していた亜久里さんの走りに気迫が漲っていないと、正士さんは、激怒して、「そんな走りしかできないのなら辞めてしまえ、もう二度と乗るな!」と激昂したのをパドックで見たことがある。しかし、亜久里さんがアクシデントに巻き込まれた際に真っ先に息子の元へ走り寄った正士さんが「亜久里、大丈夫か」と血相を変えて心配していたのも見たことがある。
父子鷹。父も子供も一度、その道を歩み始めたら常に厳しい状況に耐えながら結果を出すことを求め続けるのですね。後戻りは許されない。本当に大変な、荊棘の道…。
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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