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「FIMスーパーバイク世界選手権」の2018年シーズンも残すところ3ラウンド。第11戦はフランスのマニクールサーキットで開催されます。J SPORTSでは9月28日(金)~30日(日)に開催されるレースの模様を10月1日(月)にオンエア。また、J SPORTSオンデマンドでも10月6日(土)に配信します。
夏のインターバル明けもジョナサン・レイ(カワサキ)の強さは変わりませんでした。前戦・ポルティマオでまたもや連勝。これで米国ラグナセカのレースから3回連続のダブルウイン、6連勝となり、今季の勝利数も12に伸びました。すなわちランキング2位のチャズ・デイビス(ドゥカティ)との差がさらに広がったことになり、獲得ポイントはジョナサン・レイ(カワサキ)=420点、チャズ・デイビス(ドゥカティ)=304点でなんと116点に拡大。マニクールのレース1が終わると残り5レースで125点以上の差に広がれば、レース1でレイの4年連続のチャンピオンが決まります。
またもやレイのチャンピオン街道となっている今季の「スーパーバイク世界選手権」ですが、やはり今年の夏の鈴鹿8耐でも明らかな格の違いを日本のファンも目の当たりにしていますし、前回のポルティマオで改めて感じたレイの強さを見ても、この状況は納得ということころでしょう。今季のカワサキはストレートスピードでドゥカティに負けている状況ですが、それをカバーするレイのタイヤマネージメントの巧さが光ったレースでした。
さて、チャンピオンシップは大方決まりといったところですが、前回のポルティマオでは新たな流れも見えてきました。ポールポジションを獲得したのはなんとユージン・ラバティ(アプリリア)でした。2013年に「スーパーバイク世界選手権」でチャンピオンを争い、ランキング2位でシーズンを終えたラバティ。この時もアプリリアのライダーでした。それから2015年、16年とMotoGPに参戦し、昨年からまた「スーパーバイク世界選手権」にアプリリアのライダーとして戻ってきました。
復帰した昨年は表彰台に上がることができませんでしたが、今季はシーズン中盤から好調。米国ラグナセカのレース2では3位表彰台を獲得しました。続くミサノのレース1でも地元イタリアのアプリリアファンを前に3位表彰台。アプリリアは優勝争いに加わるポテンシャルを付けてきました。
今季のポールポジションはカワサキが6回、ドゥカティが2回、ヤマハが1回と来て、そこにラバティのアタックでアプリリアが加わることになりました。ここ数年のポールはカワサキとドゥカティがほとんどを獲得していましたから、今季はヤマハとアプリリアがそこに名を連ねるのは「スーパーバイク世界選手権」にとって面白さが増す良いニュースです。アプリリアのポールポジションというと2015年のレオン・ハスラム以来ということになりますね。
そのハスラムがアプリリアにポールポジションをもたらしたレースというのが実はフランス・マニクールのレースでした。アプリリアはマニクールと相性が良いサーキットで、2016年にはロレンツォ・サバドーリがシングルフィニッシュを果たしていますし、復調ぶりが持続されれば、今回のマニクールでアプリリアは注目どころになるでしょう。
ただ、ヤマハも相変わらず好調です。レイの強さには敵いませんが、マイケル・ファンデルマーク(ヤマハ)は前戦・ポルティマオで連続表彰台を獲得。トップ争いを展開したチャズ・デイビス(ドゥカティ)が最終的には両レースとも4位となったため、デイビスとの差を一気に20点まで縮めてきました。チャンピオンになれる可能性はかなり厳しいですが、ランキング2位が狙える状況です。ファンデルマークにとってマニクールは2016年のホンダ時代に2位表彰台、ヤマハに移籍した昨年は3位表彰台も獲得している得意なサーキット。ドニントンパーク以来の優勝の可能性もあるでしょう。チャンピオン筆頭候補のレイとカワサキをどこまでキャッチアップできるかに注目です。
ジョナサン・レイ(カワサキ)が4度目のタイトルを決めそうなフランス・マニクールでの戦い。レイにとって今回のレース2はカワサキ移籍100戦目となるアニバーサリーレースなのです。そんな記念すべきレースで王座を決められるか、それとも次の南米アルゼンチンに持ち越しか。その鍵を握るのはデイビスの逆襲はもちろんですが、ヤマハやアプリリアといった台頭勢力の活躍でしょう。
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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