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「全日本スーパーフォーミュラ選手権」2018年シーズンも残すところあと3ラウンドとなりました。9月8日(土)~9日(日)で開催される第6戦の舞台は岡山国際サーキット(岡山県)です。J SPORTSでは予選、決勝ともに生中継。場内実況と同じ現地からの放送をお届けします。また、J SPORTSオンデマンドでもLIVE配信します。
8月にツインリンクもてぎで開催された第5戦はオーバーテイクしづらいコースと言われるサーキットであるのが嘘かのように、激しいバトルとオーバーテイク合戦が見られ、非常に面白いレースになりました。タイヤ2スペック制の今シーズンは本当に誰が勝つか最後まで予想がつきません。
その第5戦で優勝を飾ったのはディフェンディングチャンピオンの石浦宏明(P.MU CERUMO INGING/トヨタ)。ポールポジションからスタートし、オープニングラップで順位を落としたものの、ソフトタイヤを40周目まで維持してハイペースの走行を敢行。ミスなく、さらに安定したペースをキープしたことで、2番手以降に大きな差を付けることに成功。レース終盤には平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)が追いすがりましたが、作り上げたマージンを守り、今季初優勝。チャンピオンの名に相応しい展開でついに勝利を手にしました。
第4戦までランキング2位だったニック・キャシディ(KONDO RACING/トヨタ)は3位表彰台を獲得してランキング首位に浮上。しかし、ランキング3位の石浦はキャシディとの差を一気に詰めることに成功。ランキング首位のニック・キャシディ(KONDO RACING/トヨタ)=27点、山本尚貴(TEAM 無限/ホンダ)=24点、石浦宏明(P.MU CERUMO INGING/トヨタ)=24点と三人のドライバーが近いポイント差で残り3戦を引っ張ることになりました。
あのパーフェクトな石浦の勝ち方を見ていると、今回の岡山でも石浦宏明(P.MU CERUMO INGING/トヨタ)の速さは光り輝きそうです。山口県に拠点を置くCERUMO INGINGにとってみれば岡山はホームコースですし、2015年、16年と石浦は岡山で2年連続の優勝。さらに昨年はポールポジションも獲得。ツインリンクもてぎで良い流れを作って得意の岡山に挑む石浦に死角無しといったところです。チャンピオン争いでも大きなキーポイントになってくるでしょう。
一方でランキング首位のニック・キャシディも岡山は得意とするサーキットです。彼は昨年のレース1で初の3位表彰台を獲得していますし、スーパーフォーミュラにデビューして2レース目での表彰台獲得は驚異的でした。彼が元来持つ速さに加えて、安定性とチーム力が増した今季の岡山ではどんな結果をもたらすことになるでしょうか。
ランキング2位に落ちた山本尚貴はスーパーフォーミュラの岡山では一度も表彰台がありません。ここは正念場のラウンドということになります。タイヤ2スペック制で不確定要素も多い今回の岡山ですが、このサーキットは予選の順位が非常に重要なサーキットです。そんな中、今回はオーバーテイクシステムの使用が予選でも許されることになりました。これまでテスト走行などでは一時的にパワーアップするオーバーテイクシステムをテスト的に使って好タイムを記録するというケースがありましたが、このレギュレーション変更がホンダエンジンユーザーの山本に追い風になると良いのですが。TEAM無限は予選から勝負に出るでしょう。
オーバーテイクシステムを予選で使用することによって、アイルトン・セナがF1パシフィックグランプリで記録した岡山国際サーキットでのコースレコード(1分10秒218)の記録更新も期待されます。アイルトン・セナに憧れて黄色と緑のカラーリングをヘルメットにあしらっている山本尚貴にとっては是が非でも超えたい記録に違いありません。
そういった意味でもチャンピオン争いの主役になって行きそうな三人にまず注目の岡山ですが、このサーキットを得意とするドライバーは他にも居ます。小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG/トヨタ)はその一人でしょう。ドライコンディションで行われた2015年の岡山での250kmレースで、トップの石浦宏明をテールトゥノーズで追い回したのも記憶に新しいですね。このコースは小林可夢偉の持ち味が十分に発揮されるサーキットですから、あとは何とかチームに頑張ってもらいたいところです。
また、広島出身の平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)にとっても岡山はホームコース。ここでの平川の速さは誰もが認めるところです。昨年はヨーロピアン・ルマンシリーズへの参戦のためスーパーフォーミュラで岡山を走れなかっただけに地元で2年ぶりのシングルシーターレースとなる平川。第4戦の2位表彰台の流れをうまく岡山でもつなげて行きたいところです。優勝を飾るとなれば豪雨で被害にあった広島、岡山のファンに向けて勇気を与えることになるでしょう。
天気予報では全国的に雨予報となっている今週末、チャンピオン争いをリードしたいドライバーがレースを引っ張るか、それとも伏兵がシリーズをかき回すか。緊張感あふれる戦いがいよいよ始まります。
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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