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モーター スポーツ コラム 2018年6月7日

【スーパーバイク世界選手権 第7戦ブルノ プレビュー】~ヤマハ勝利でシーズン後半はさらにコンペティティブに?

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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「FIMスーパーバイク世界選手権」の2018年シーズンは全13ラウンドのシーズンが折り返し。第7戦はチェコのブルノサーキットでの開催です。6月8日(金)~10日(日)に開催されるレースの模様をJ SPORTSでは6月11日(月)にオンエア。また、J SPORTSオンデマンドでも配信されます。

前戦・イギリス戦は誰も予想していなかった展開になりましたね。カワサキ、ドゥカティのイギリス人ライダーによる意地の張り合いになるかと思いきや、巧みにレースメイクをし、ジェットコースターに乗っているかのようなドニントン・パークで2連勝したのは、なんとマイケル・ファンデルマーク(ヤマハ)でした。この結果は本当に驚きましたね。

彼の地元オランダのアッセンでは優勝こそできなかったもののダブル表彰台を獲得するなど、決まれば速さが結果に繋がるヤマハYZF—R1。イギリスでのダブル優勝ではそのポテンシャルが研ぎ澄まされてきているのはもちろん、チームメイトのアレックス・ローズ(ヤマハ)よりもマイケル・ファンデルマーク(ヤマハ)が速さと安定感を兼ね備えたライダーに成長してきた事が証明されました。

ヤマハとしては「スーパーバイク世界選手権」では2011年にメランドリ(当時ランキング2位)が最終戦で優勝して以来、なんと8年ぶりの勝利。そして現行モデル最強のスーパーバイクと言われるR1にとっては、ようやく勝ち取った栄冠でした。カワサキとドゥカティの2強以外が優勝するのも2016年のヘイデン以来2年ぶり。2強だけが勝利してきた構図についにヤマハも名乗りを挙げました。

ドニントンのレースを見ていても分かる通り、ちょっとこの状況はチャンピオン争いの主役であるはずのジョナサン・レイ(カワサキ)、チャズ・デイビス(ドゥカティ)にとっては決して好ましくない潮流変化と言えます。もはや2強のエースライダーにとって余裕はない状況は接戦になったレースにも垣間見えますし、プライベーターのロリス・バズ(BMW)がトップ争いに絡んできたことも後半戦に向けて気になりますね。

そして何と言っても「スーパールーキー誕生!」と言える結果をイギリスで残したのはトルコのトプラック・ラズガットリオーグル(カワサキ)でした。イモラでスーパースポーツ世界選手権のトルコ人ライダー、ケナン・ソフォーグルが引退する際に少し彼のことをご紹介しましたが、やはり開幕戦から元気の良い走りを見せて存在感バリバリのラズガットリオーグルが来ましたね。

トップ争いに加わり、地元のレイとロウズと三つ巴のバトルを制しての2位表彰台。これは「スーパーバイク世界選手権」では近年なかなか見る事ができなかった大金星ではないでしょうか(優勝ではありませんが)。ニッキー・ヘイデンなどこれまでMotoGPやグランプリで実績のあるライダーが「スーパーバイク世界選手権」のルーキーとして表彰台を得ることはあっても、プレミアクラスで全くの新人レベルというライダーがトップ争いをするというのは本当に久々で、ジョナサン・レイがスーパースポーツ世界選手権を経て「スーパーバイク世界選手権」に初出場した2008年くらいまで遡らないといけないかもしれません。ラズガットリオーグルの存在もトップライダーたちには無視できない存在になってきました。

さて、今回の舞台はチェコのブルノサーキットですが、MotoGPも開催されているので多くのライダーにとって走り慣れたコースになります。ただ、「スーパーバイク世界選手権」としては2012年以来6年ぶりの開催で、現役の優勝経験者はジョナサン・レイ(カワサキ)とマルコ・メランドリ(ドゥカティ)の2人だけ。ジョナサン・レイは2008年にスーパースポーツ世界選手権を戦った年に初優勝したのもチェコ・ブルノでしたから非常に相性の良いコース。ドニントン・パークで達成できなかった「スーパーバイク世界選手権」の最多優勝記録・60回を達成することになるのでしょうか。

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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