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モーター スポーツ コラム 2018年5月11日

【スーパーフォーミュラ第2戦・オートポリスプレビュー】~ドライバー変更のチームあり。勢力図は変わるか?~

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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「全日本スーパーフォーミュラ選手権」の第2戦が九州・オートポリスに舞台を移し、5月12日(土)~13日(日)に開催。J SPORTSでは「スーパーフォーミュラ」を予選、決勝ともに生中継。J SPORTSオンデマンドでもLive配信されます。場内実況と同じ現地からの放送をお届けします。

開幕戦・鈴鹿はポールポジションからスタートした山本尚貴(TEAM 無限/ホンダ)が見事優勝。改めて鈴鹿での速さを見せつけ、山本にとっては2年ぶりとなるポールトゥウインを達成。まずは2018年の初陣をホンダが制することになりました。ただ、レース終盤には関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)に1.4秒差にまで詰め寄られ、山本は気温も路面温度も上昇した夏日の鈴鹿で必死に逃げ切ったという印象です。

今季から全戦、横浜ゴムの「ソフト」「ミディアム」の2スペックタイヤ制となった「スーパーフォーミュラ」。1発の速さでホンダエンジンユーザーが速さを見せましたが、トヨタとホンダの勢力図は決勝ではほぼ互角。今季もスリリングなレースが楽しめそうです。

レース終盤の関口の走りには目を見張るものがありました。ヘアピンでチームメイトの平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)に追突されながらの2位。10秒あった差を一気に詰めてくる驚異的な走りとタイヤマネージメント能力はやはり「スーパーフォーミュラ」のドライバーラインナップの中では最大の存在と言えるでしょう。星野一義監督の激怒シーンが目に浮かぶチームメイト同士の接触でしたが、関口はしっかりと2位を獲得したことで、チャンピオン争いという意味では今後大きなパンチになりそうです。

そして、記者会見で悔しさを露わにしたのが3位の野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)。今季はヨーロッパのF2帰りのチームメイト、松下信治に圧倒的な注目が集まる中、野尻はテストから好調ぶりを見せていました。昨年の絶不調をすっかり忘れてしまうほどの速さを取り戻した野尻でしたが、3番グリッドからのスタートで出遅れてしまい、これが最後まで影響することに。結果として3位表彰台を獲得しましたが、スタートに成功して少なくとも山本、福住に着いて行くことができれば、レース後半の素晴らしいペースを考えれば優勝も夢ではなかったはずです。だからこその悔しさ。速さを取り戻した野尻の真価がオートポリスで発揮されるかも注目しましょう。

さて、今回のオートポリスは開幕戦とは少しドライバーラインナップに変更があります。残念ながらトラブルによってリタイアとなった福住仁嶺(TEAM 無限/ホンダ)が今回はレギュラー参戦する「F2」に参戦のため欠場。代役をF3ドライバーの阪口晴南(さかぐち・せな)がつとめます。阪口は大阪府出身の18歳で、2015年に鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)を首席で卒業し、ホンダの育成ドライバーとして全日本F3選手権を戦っています。

レーシングカート時代から名前のインパクト以上に走りでその名を轟かせてきた阪口晴南。16歳になってすぐにFIA-F4に参戦していきなり強烈な速さを披露し、すでによくご存知の方も多いことでしょう。全日本F3選手権ではまだ優勝できていませんが、エンジンなど体制面でもマシンの差が存在するF3では彼の本当のポテンシャルはまだ推し量りきれません。よりイコールコンディションに近い「スーパーフォーミュラ」で彼の実力が開花するか注目です。

とはいえ、阪口にとっては非常にプレッシャーのかかる代役参戦です。まず、先輩でもある福住の代役であるということ。今季初めてビッグフォーミュラに参戦した福住はテスト回数が少ないにも関わらず速さを開幕戦から披露。F2との平行参戦でも迷い道に入ることはありませんでした。昨年ピエール・ガスリーが2勝したパッケージという好条件も揃っているだけに、この代役参戦は比較される条項があまりに多く、いきなり勝負に出るしかない状況。だからこそ良い走りを見せて欲しいですね。

そして、もう一人、「UOMO SUNOCO TEAM LE MANS/トヨタ」からはインディカーに参戦するピエトロ・フィッティパルディに代わって、フランス人のトム・ディルマンが参戦します。ディルマンは2012年から14年にGP2に参戦。2016年にはフォーミュラV8 3.5シリーズのチャンピオンを獲得しているので、ビッグフォーミュラの経験は非常に豊富なドライバーです。先週はWECのLMP1クラスにバイコレスから参戦していました。ブランパンGTシリーズにも参戦経験が豊富なドライバーですから、速さを見せて日本の「SUPER GT」へのチャンスもうかがって行きたい所でしょう。

そんな彼が参戦する「UOMO SUNOCO TEAM LE MANS/トヨタ」は開幕戦で悲しい出来事がありました。名エンジニアとしてレースファンに広く知られる山田健二エンジニアがレースウィーク中に急逝。チームはレース参戦を続行し、レース後にその事実を公表しました。また、開幕戦に参戦したピエトロ・フィッティパルディは先週のWEC開幕戦の予選でスパ・フランコルシャンの高速セクション「オー・ルージュ」で大クラッシュ。両足を骨折して手術を受けることになり、しばらくレースへの復帰は難しそうな状況です。

不運な出来事が続く「UOMO SUNOCO TEAM LE MANS」ですが、ここオートポリスでは昨年、2スペック制レースの中でフェリックス・ローゼンクビストと大嶋和也が2位、3位表彰台を獲得しています。山田エンジニアが天国から見守る中、その時に培われたデータを活かして、特にチームの軸となる大嶋和也には表彰台を狙って欲しいと思います。

ドライバーラインナップの変更、「SUPER GT」や「WEC」との連戦で、多くのドライバーやチームスタッフは気が休まることがないレースウィーク。体力的にもメンタル的にもハードなレースウィークで笑顔を見せるのは誰でしょうか。

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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