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モーター スポーツ コラム 2018年4月27日

SUPER GT第2戦 プレビュー

SUPER GT by 秦 直之
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裏切らなかった公式テスト、開幕戦ではKEIHIN NSX-GTが来ただけに!

第1戦 GT500

岡山国際サーキットで行われたSUPER GTの開幕戦では、塚越広大/小暮卓史組のKEIHIN NSX-GTがGT500を制し、GT300では中山友貴/小林崇志組のUPGARAGE 86 MCが優勝という結果になった。前回のプレビューではKEIHIN NSX-GTが有利とし、実際にそのとおりの展開となったのは、予想の素となった開幕前の公式テストが裏切らなかったことを意味している。というわけで、富士スピードウェイで行われる第2戦に関しても、公式テストをまず振り返ってみることとしよう。

3月24日から2日間、4セッションに渡って行われたテストでは、すべてトップが入れ替わっていた。セッション1は平川亮/ニック・キャシディ組のKeePer TOM’S LC500が1分29秒014、セッション2はジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠組のフォーラムエンジニアリングADVAN GT-Rが1分28秒055、セッション3は国本雄資/山下健太組のWedsSport ADVAN LC500が1分28秒877、そしてセッション4は佐々木大樹/ヤン・マーデンボロー組のカルソニックIMPUL GT-Rが1分29秒409という具合に。

もちろん前回も述べたとおり、それぞれ行なっているメニューが異なっていることも十分考えられ、あくまでも参考程度に……となるわけだが、それでも最速タイムを記している、フォーラムエンジニアリングADVAN GT-Rを注目せずにはいられない。
また、このテストにおいては、ホンダNSX-GT勢が一度もトップに立っていないのが興味深い。空力パッケージの仕上がりの違いというか、より高速レイアウトの富士には、レクサスLC500やニッサンGT-Rの方がマッチしていたということなのだろう。いずれにせよ、前回優勝のKEIHIN NSX-GTや、2位だった山本尚貴/ジェンソン・バトン組のRAYBRIG NSX-GTは、ウエイトハンデの影響もあって手堅いレース展開を心がけるはずだ。確実に言えるのは、そこだけであって……。

予想外の低温に翻弄された開幕戦、第2戦は高温で……

前回の岡山で強く語られたのが、予想外の温度の低さだった。公式テストの行われた3月と、レースの行われた4月とでは当然季節が進んで、コンディションも異なるわけだが、その差異を考慮してベースとなるセットを決めてサーキットに持ち込み、またタイヤも作られるわけだ。当然、暖かくなることを見越していたものの……。それが理由で、若干波乱含みの展開になったわけだが、このところの天気を見る限り、第2戦は逆に予想より高くなる可能性もある。そのあたり、どこまで幅広く対応されているかが鍵を握るだろう。
正直なところ、フォーラムエンジニアリングADVAN GT-Rは4セッションそれぞれに、波があったのに対し、安定して上位につけていたのが、同じヨコハマのタイヤを装着するWedsSport ADVAN LC500だった。温度域の外しがなければ、今回はかなり有利だと予想したい。また、今回は500kmレースということもあって、2回のピットストップが義務づけられるため、うち1回をタイヤ無交換とするチームは多いはず。その術にヨコハマ勢は長けているのが、WedsSport ADVAN LC500を推す理由でもある。前回は9位で、まだウエイトに苦しんでいないことも、もうひとつの理由になる。
逆にヨコハマが外した場合、さらにブリヂストンがピタリと決めた時、面白い存在となるのは間違いなくカルソニックIMPUL GT-Rだ。前回は入賞すら果たせず終わっただけに、ノーウエイト状態だから、表彰台には確実に乗るのではないか。昨年までヨコハマを履いていた佐々木が、ブリヂストンに苦労していたという情報もあるが、たかが1戦、されど1戦、レースをフルに戦い抜いた経験はきっと活かされるのではないか。
また、公式テストでは鳴りを潜めていたものの、富士といえば立川祐路/石浦宏明組のZENT CERUMO LC500である。一発の速さをまったく求めず、500kmの長丁場ということでコンスタントラップの磨き上げに徹していた可能性もある。同様のことがミシュランを履く、松田次生/ロニー・クインタレッリ組のMOTUL AUTECH GT-Rにも当てはまっていたとしたら。第2戦も激戦は必至だ!!

富士とは相性抜群のARTA BMW M6 GT3が、GT300でまたも大暴れ?

GT300は松井孝允/坪井翔組のHOPPY 86 MCが大本命と目されていた開幕戦だったが、いざ蓋を開けてみると、同じMC(マザーシャシー)を操るUPGARAGE 86 MCの逆転勝利となった。同じヨコハマのタイヤを履き、どちらも無交換。唯一のアドバンテージとなったのは、序盤を担当した中山がタイヤを酷使しなかったのに対し、坪井はバトルの連続で酷使してしまったからだと言われている。経験の差が如実に出てしまった格好の坪井ながら、その悔しさは必ず今後に活かされるに違いない。ただ、この2チームともに今回は手堅いレースを心がけるはず。というのも、富士はFIA-GT3が有利で、鉄板であるからだ。

実際、公式テストでもFIA-GT3勢が上位を独占した。トップの内訳は、セッション1がリチャード・ライアン/富田竜一郎組のHitotsuyama Audi R8 LMSで1分36秒674、セッション2は高木真一/ショーン・ウォーキンショー組のARTA BMW M6 GT3で1分36秒229、セッション3も引き続きARTA BMW M6 GT3で1分36秒325、そしてセッション4は藤井誠暢/スヴェン・ミューラー組のD’station Porscheの1分36秒269という具合。

最速タイムを出していることからしても、ARTA BMW M6 GT3の優位性は誰もが認めるところだろう。そのタイムを出したのはベテランの高木ながら、SUPER GT2年目のウォーキンショーも遜色のないタイムをマークしており、著しい成長ぶりをアピールした。もともとM6と富士の相性はいい上に、今年のアップデートでより持ち味を発揮できるようになったというから、予選から積極的な攻めを見せるだろう。

FIA-GT3圧倒的有利であっても、見てみたいTOYOTA PRIUS apr GTの激走

では絶対かというと、そうとは言い切れないのが、前回の岡山で見せたD’station Porscheのスピードによる。本来、ポルシェは岡山のようなテクニカルコースを得意とはしておらず、予選20番手はやむなし、と思われていた。それなのに終わってみれば、2台のMCに割って入る2位を獲得。藤井からミューラーの交代に併せ、タイヤはリヤ2本の交換に留めてロスを最小限にしたとはいえ、あり得ない結果を残している。ただ、ARTA BMW M6 GT3もそうだが、ウエイトを積むこととなった影響がどう出るか。

JAF-GTに有利なはずの岡山でも序盤から勢いに満ちていたのが、Hitotsuyama Audi R8 LMSだった。残念ながら、ライアンから富田への交代直後にABSのトラブルが発生、さらに駆動系にもトラブルが生じるWパンチでリタイアを喫したが、ウエイトを積まずに済む影響がどう出るか。今年のアウディはオールマイティという説もあるだけに、実証できるか注目される。
そして、逆にJAF-GTとして勝負権を持つとしたら、おそらく嵯峨宏紀/平手晃平組のTOYOTA PRIUS apr GTの他になさそうだ。前回もトップまであと一歩と迫りながら、駆動系トラブルでリタイア。最後まで走りきれていたら、間違いなく表彰台にも手が届いただろう。何よりGT500で2度のチャンピオン経験を持つ、平手の激走ぶりを誰もが見てみたいのではないだろうか。

秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

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