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モーター スポーツ コラム 2018年4月13日

スーパーバイク世界選手権 第3戦アラゴン~ヤマハも表彰台を獲得!混戦必至のヨーロッパラウンド開始

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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「FIMスーパーバイク世界選手権」はオーストラリア、タイのフライアウェイ戦を終え、いよいよ本格的なヨーロッパラウンドへと突入。第3戦が3月13日(金)~15日(日)にスペインのモーターランド・アラゴンで開催されます。J SPORTSでは4月16日(月)午後10:00からJ SPORTS 3でオンエア。またJ SPORTSオンデマンドでも配信されます。

前回のタイ、チャン・インターナショナルサーキットではカワサキZX-10RRを駆る王者のジョナサン・レイがポールポジションを獲得。レース1の激しい競り合いから逃げ出し、独走での優勝を飾りました。しかし、レース2では3列目スタートで混戦から抜け出せず、トップグループから離されて4位となったレイ。何とか今季初優勝をタイで飾りましたが、まだ1勝しかできていない事実は今シーズンの接戦ぶりを伝える端的な事実です。それでもジョナサン・レイはランキング首位に浮上。夏の鈴鹿8耐に「Kawasaki Team Green」から出場することも決まり、本格的な開幕といえるヨーロッパラウンドを前に彼自身はハッピーなウィークエンドとなったようです。

今季の「スーパーバイク世界選手権」はカワサキの独走を許さないとばかりにテクニカルレギュレーションが変更され、エアリストリクターによる吸入制限からレブリミット制限による性能調整に変わりました。タイはストレートのアクセル全開区間も長く、カワサキZX-10RRの直線の速さは鳴りを潜め、逆にドゥカティをはじめとする他のメーカーの躍進を促す形になっています。

サテライトチームを含めて好調なのがドゥカティ。開幕のオーストラリア・フィリップアイランドではマルコ・メランドリ(ドゥカティ)が2連勝。そしてタイのレース2ではチャズ・デイビス(ドゥカティ)が今季初優勝を飾り、これで4レース中3勝。ドゥカティ第3の男と呼ばれるシャビ・フォーレス(Bami.Racing Team/ドゥカティ)が2度の表彰台を獲得するなど得点を積み重ね、ランキング3位と躍進しています。

そして、タイのレースではホンダもトップグループに加わってきました。今季移籍したレオン・キャミア(ホンダ)がレース1で4位フィニッシュ。レース2はペースアップできませんでしたが、昨年までの厳しい状況を考えれば電子制御のセッティングも向上してきていることが分かります。今後、性能調整もさらに加わってくる中盤戦、ホンダは期待が高まることでしょう。

ホンダよりもさらに好調なのがヤマハの2人。タイのレース2ではスタートからマイケル・ファンデルマーク(ヤマハ)、アレックス・ロウズ(ヤマハ)が2位、3位で表彰台を獲得しました。昨年も2人のダブル表彰台というのはありましたが、今季は明らかに第2勢力の座を抜け出してカワサキ、ドゥカティのチャンピオン争いのグループに並んだ感があります。ヤマハはタイのブリーラムでMotoGPも含めたモータースポーツ活動の発表を行っており、アジアマーケットの最重要地での好成績はヨーロッパラウンドに向けて良い弾みとなるはずです。

オーストラリア、タイと全く違うレース内容となった今季のオープニング。これでランキング首位はジョナサン・レイ(カワサキ)の69点、ランキング2位にマルコ・メランドリ(ドゥカティ)が67点、ランキング3位はシャビ・フォーレス(ドゥカティ)の60点、ランキング4位にチャズ・デイビス(ドゥカティ)で57点。カワサキとドゥカティがシリーズをリードしているのは変わりませんが、その差は大きく開いておらず、ヨーロッパに戻ってからの連戦でどういう戦況に変化していくのか楽しみです。その鍵を握っているのはシーズン中に力を付けてくると考えられるヤマハ陣営でしょう。

第3戦の舞台、アラゴンはMotoGPアラゴングランプリも開催される1周約5kmのサーキットです。昨年はチャズ・デイビスがポールポジションを獲得。レース1ではジョナサン・レイが勝利。レース2ではリバースグリッドながらチャズ・デイビスが優勝しています。実はアラゴンはポールポジションからの優勝例が異常に少ないコースとしても知られていて、2014年にトム・サイクスが2連勝したのと、2011年にマルコ・メランドリ(当時ヤマハ)が1勝した僅か3つの例しかありません。それだけ激しいバトルと波乱が期待できるレースと言って良いでしょう。

ドゥカティのサテライトチームで好調ぶりを発揮するシャビ・フォーレスにとっては地元スペインでのレース。バレンシア近郊出身のライダーで、今季はヘレスサーキットでの開催がなく、唯一の母国レースということになりますから、地元で初優勝の期待がかかります。これから6月のチェコまで連戦が続く「スーパーバイク世界選手権」で、まずはヨーロッパラウンドの初戦を制するのは誰でしょうか。

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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