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このブログについて
2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。
マッチナンバー47。国立競技場。決勝。そこに立つことを想い、それでも叶わなかった4183校の高校生も日本中から見つめる舞台で、プレーすることを許されたのはわずかに2校。京都府代表の久御山。兵庫県代表の滝川第二。関西に学舎を置く2つの高校が全国の覇権を争います。「他から見たら繋ぐ所じゃないと思っても、どこでも繋ぐのが僕たち」とキャプテンの山本大地(3年・京都紫光SC)が言うように、そのショートパスとドリブルに特化したスタイルが注目を浴びてきた久御山。1回戦では今大会最大の注目選手・宮市亮擁する中京大中京に逆転勝ちを収め、準決勝でもおそらく今大会最強だった流通経済大柏と互角の勝負を繰り広げると、PK戦をモノにしてファイナルまで勝ち上がってきました。一方、インターハイ準優勝という輝かしい結果を挙げながら、秋口には「非常にワガママなプレーをするチーム」(栫裕保監督)になってしまったという滝川第二。しかし、「みんなでコミュニケーションを取る機会が増えてきて、お互いに言い合えるようになってきた」(本城信晴・3年・イルソーレ小野FC)ことで結束を取り戻したチームは、3回戦で前回準優勝の青森山田に快勝すると、4度目のチャレンジで遂に準決勝のカベを撃破。兵庫県勢として72年ぶりの頂点を狙います。6.4度と1月らしさが戻ってきた快晴の国立には35687人の大観衆。正真正銘のラストゲームは「初めてなのでかなり嬉しかった」と久御山の足立拓眞(3年・京都紫光SC)も笑った両校の校歌斉唱を経て、激闘の幕を開けました。先に勢い良く飛び出したのは久御山。4分には林祥太(1年・SOLESTRELLA NARA2002)が左へ展開。足立のクロスへファーサイドに走った鍋野光希(3年・京都藤森中)が合わせるも枠の右へ。5分、山田修市(3年・京都FC長岡京)のクサビを、「DFラインが深かったので、CBとボランチの間でボールを受けられた」という安川集治(3年・京都FC長岡京)が収めて反転からシュートまで。10分、CKの流れから足立のミドルがDFに当たったこぼれ球を鍋野が狙うもヒットせず。「ほぐれた感じで立ち上がりは入れた」(松本悟監督)久御山が攻勢に出ます。さて、まずは押し込まれる格好になった中「奪ってからいかに速く攻められるか。攻めるためにまず守れ」と栫監督から指示を受けていた滝川第二。「Jクラブや野洲とかポゼッションされるチームとはやってきた」とはボランチの香川勇気(3年・イルソーレ小野FC)。落ち着いて序盤の押し込まれた時間を凌ぐと、16分に攻撃的な右SB濱田量也(3年・ヴィッセル神戸JY)が枠内ミドルを放った辺りから、攻撃に出ていく回数も少しずつ増えていきます。すると23分、やはり絡んできたのは強力2トップ。左サイドでのボール回しから、樋口寛規(3年・西宮学文中)のクロスに、ファーへ走り込んだ本城が頭で折り返すと、浜口孝太(3年・ヴィッセル神戸JY)はDFをブロックしながらスムーズなトラップと、スムーズなシュート。キャプテンの大会6ゴール目が飛び出し、滝川第二が先制ゴールを奪いました。その後も全体的に攻勢なのは失点を喫した久御山。29分には林の浮かせたスルーパスから、飛び出した足立のボレーはヒットせず。31分にはかなり攻撃の起点となっていた二上浩一(2年・FC solceu)のスルーパスを安川が繋ぎ、坂本樹是(3年・京都SレジョーネFC)のクロスをGKが弾いたボールに足立がヘディング。GK不在の枠内へ飛びましたが、ここは土師直大(3年・神戸西神中)が決死のクリア。追い付けません。なかなか攻撃でのリズムは出てこない滝川第二で、目立っていたのは右サイド。「相手は3トップが下がって来ないんで、サイドが空くからそこから攻めていこうと話していた」とは本城。特にSBの濱田は「ボランチの1枚やCBがズレて、好きに上がらせよう」(香川)というチームメイトの後ろ盾も得て、果敢にオーバーラップを繰り返します。するとその積極性が結実したのは39分、右サイドの高い位置でボールを受けた濱田は絶妙なスルーパス。「ピンポイントで出してくれた」ボールを受けた本城が中へ折り返すと、樋口が冷静に左スミへフィニッシュ。「右サイドを崩していくウチの特徴」(樋口)から追加点。42分にも樋口が掴んだ決定機は右ポストに嫌われたものの、滝川第二が2点のアドバンテージを握って、ハーフタイムに入りました。迎えた後半も先にゴールを奪ったのは滝川第二。53分、濱田が右サイドから左足で上げたクロスは、中央の混戦から右へこぼれ、最後は誰よりも速く反応した本城がプッシュ。0-3。点差が広がります。苦しくなった久御山。この失点を受けて、松本監督がキャプテンの山本を呼び寄せ、笑顔で掛けた言葉は「ここから追い付けたら凄いんじゃないか?」。円陣を組み、その言葉を伝えると「みんな笑顔になった」(山本)。そして、ここから本当の意味での死闘が始まります。55分、DFのクリアを安川がブロック。拾った鍋野が奪われたボールを、坂本が奪い返してシュート。GK中尾優輝矢(3年・リベルタ明石FC)もよく弾きましたが、こぼれ球を林が押し込み、久御山がようやく1点を返しますが、58分には滝川第二の反攻。中盤でボールを奪った香川が最高のラストパスを送り、抜け出した浜口が完璧なループ。「“行ける”となった所をさすが滝二」と敵将も脱帽させる滝川第二の勝負強さ。すぐさま点差は3点に戻ります。久御山は64分に鍋野を下げて赤谷直紀(1年・枚方フジタS.C.U-15)を右SBに投入。坂本と安川の2トップに、林が頂点、右に東松孝治(1年・京都サンガU-15)、左に足立、アンカーに二上と中盤をダイヤモンド気味にした4-4-2へシフト。以降もボールを回す久御山に、カウンターの滝川第二という構図の中、チャンスは滝川第二が創出。68分に樋口、75分に本城が迎えた決定機は共にGK絹傘新(3年・宇治木幡中)が阻止。81分は久御山。途中出場の沼田俊吾(3年・宇治FC)が絡み、坂本のフィニッシュは中尾がファインセーブ。83分は滝川第二。恵龍太郎(2年・ジェフユナイテッド市原・千葉U-15習志野)のセンス溢れるスルーパスに樋口が抜け出すも、絹傘が飛び出すとコントロールを失い、ゴールキックへ。すると、いざ久御山劇場の開演。83分、中央で坂本が粘って粘って、足立が繋ぐと、「ディフェンスをかわすことを考えてコースを狙った」安川のループは、飛び出したGKの頭上をフワリと越えてゴールの中へ。2-4。85分、二上が中野剣司(3年・京都小栗栖中)とのワンツーから縦に入れると、混戦から坂本が放ったシュートはGK反応できず。繋いで崩す。これが久御山スタイル。3-4。一気に1点差。「ヤバいなと思って心臓バクバクだった」と浜口。「インターハイ決勝でリードしながら守勢に回って追い付かれ、延長で逆転負けという苦い経験もしている」と栫監督。場内も異様な雰囲気に包まれます。ショートパス、ドリブル、FK獲得。攻める久御山。耐える滝川第二。しかし94分、ゲームを決めたのはやはりこの男。樋口は久御山DFに猛然とプレスを掛けると、クリアをブロックして高く上がったボールを収め、飛び出した絹傘もかわす冷徹なフィニッシュ。得点ランク単独トップに躍り出る樋口のラストゴール。そして96分55秒、国立の冬空へ吸い込まれたホイッスル。1回戦からの6試合でゲームに出場したのは24人。「1分でもいいから全員ピッチに立たせたいという想いを持っている」指揮官に率いられ、真の全員サッカーを体現した滝川第二が悲願の選手権王者に輝きました。お互いにスタイルを出し合ったゲームだったと思います。久御山は繋ぐスタイルを存分に発揮し、滝川第二は強力な2トップを生かす縦に速く力強いスタイルを存分に発揮しました。ただ、スタイルを貫き通すだけでこの2チームがここまで勝ち残って来た訳ではありません。「どんな状態にも適応することが子供たちの力量を伸ばすし、安定して力を発揮することに繋がる」と松本監督。自分たちのスタイルをゲームにアジャストさせること。久御山と滝川第二には、その柔軟性が確かにありました。思い出に残る、素晴らしいファイナルでした。 AD土屋
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