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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2010年06月05日

J2第16節 草津×札幌@正田スタ

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前節は首位を独走する柏相手に、日立台でラフィーニャと佐田聡太郎のゴラッソが飛び出し、2度のリードを奪いながらも、結果は逆転負け。3連敗となかなか最下位を脱出できない草津は、今日が9325人以上をスタジアムへ!という集客大作戦「草津GO!9325(クサツゴー)!プロジェクト」対象ゲーム。Jリーグ昇格後の最多入場者数は8276人。プロジェクト4度目の挑戦で、目標達成を狙います。一方の札幌は石崎体制2シーズン目。当然目指すのはJ1復帰ですが、なかなか勝ち点が伸びず、12位と苦しい序盤戦に。ただ、ここ6試合は2勝4分けで負けなしと上昇傾向にありそうです。さて、ゲームは立ち上がりからなかなか落ち着かず、ボールが行き来する展開に。草津は4-2-3-1の1トップ下に入った菊池大介がよくボールを引き出し、チームとしてポゼッションの意識は高かったものの、イージーミスが多く、チャンスに結び付けるまでには至りません。札幌は対照的にキリノ目がけたロングボールを最優先に選択しますが、「縦に急ぎ過ぎたし、前に収まらなかった」とはサイドでなかなかボールに絡めなかった古田寛幸。これに関しては草津のボランチに入った松下裕樹も「少し自分が下がる形でCBと3人がキリノをケアしたので、あまりやられなかった」と振り返るなど、草津は想定通りにうまく守れていたと思います。しかし、均衡を破ったのはアウェイチーム。21分、宮澤裕樹が左へ展開すると、上がってきたSBの西嶋弘之は素早く右足でアーリークロス。ニアに潜り込んだのは「普段走んないんですけど空いてたんで」という近藤祐介。右足で巧みに合わせると、揺れるゴールネット。「いいリズムだったので1回目の相手の攻撃を一番危惧していた」とは草津の副島博志監督でしたが、そのファーストチャンスをしっかりモノにした札幌が、まずは先制してみせました。決して悪くない試合運びを見せながら、ビハインドを負ってしまった草津。2試合続けて松下とドイスボランチを組んだのは、「プロになってからボランチはほとんどやったことがない」という廣山望でしたが、彼がしっかりと収めることで、攻撃の起点作りがうまくいく面と、付けられたボールを受けてターンする所に、プレスを掛けられて奪われてしまう面と、功罪両面がある中で特に前半はやや“罪”に針が振れた部分は否めず、それは松下も同様。33分には松下が中盤でボールを失い、近藤が外したものの、GKとの1対1を創られてしまうなど、なかなか攻守の歯車が噛み合わないまま、札幌が1点リードしてハーフタイムを迎えました。このゲームだけは落とせない副島監督は早めの決断。「中盤でもう少しグラウンダーのボールで動かしたかった」と、熊林親吾を下げて前田雅文を後半開始から投入。するとこの交替が、草津に流れをもたらすことになります。47分には廣山のクロスから、前田がシュートこそ打てなかったもののチャンスに絡み、49分にも前田はラフィーニャとのコンビでCKを獲得するなど躍動。基本は左SHに入った前田が比較的中央へ侵入することで、草津の前線に高い流動性が生まれ、「少しずつ相手にスペースを与えてしまった」(札幌・高原寿康)札幌は後手を踏み始めます。そしてメインスタンドもバックスタンドも人で埋まった正田スタがようやく沸点に達したのは56分。ラフィーニャからのパスを受けた廣山の右クロス、前田が触って流れたボールをファーで待ち受けていたのは高田保則。浮き球、狭い角度、それでも高田に躊躇なし。振り抜く左足、サイドネットを捕えたボール、スタジアム爆発。副島監督も「非常に難しいゴール」と称賛した、9番の今シーズン初ゴールで、ゲームは振り出しに戻りました。ここからは松下も「アレだけ主導権を持ってボールを回せたのは久しぶり」と振り返る程に草津が圧倒。64分には前田のスルーパスからラフィーニャが抜け出し、飛び出したGK高原のファインセーブに阻まれたものの、決定的なシーンを創出。逆転への期待感は時間を追うごとに膨らんでいきます。逆に札幌はユース所属の三上陽輔、古田寛幸の両SHに替えて、砂川誠、内村圭宏とアタッカーを相次いで送り込んだものの、「動きが鈍くなるのは予想通り」と敵将に指摘された運動量の低下は顕著で、「相手にキープされた時にチームがどうするか。もっと工夫してアイデアを出していかないとシュートまでいけない」と古田が話したように、どうしても単調な攻撃に終始し、まったくシュートシーンを創り出せません。草津攻勢の最終盤には、今日の入場者数が発表されると、その数なんと9382人。とうとう訪れた悲願達成に、「このクラブでこれだけお客さんが入るという意味は十分わかっている」(廣山)というイレブンも最後の猛攻。88分、前田、廣山と繋いで松下が放ったミドルはクロスバー直撃。90分、崩した形から前田がエリア内で決定機を掴むもシュートはヒットせず。よく攻めましたが、鳴り響いたのは試合終了を告げるホイッスル。それでもドローとはいえ、最後まで見せたアグレッシブな姿勢に対して「まるで勝ったかのような」(廣山)暖かい拍手にスタジアムは包まれました。札幌は最下位相手の「勝たなくてはいけない試合」(近藤)に内容では完敗。最大の原因は、「前の外国人がボールをキープできて、そこに全体が押し上げられる所に差があったかな」と指揮官が語り、「前でのタメが非常に重要だと思う」と古田も触れたように、キリノの所で時間を創れなかったことでしょうか。ある程度予想された運動量の低下を補うには、やはりしっかり基点を確保することが最重要課題。人か戦い方か。修正が求められます。草津は「選手たちが主体的な動きをしてくれたことに大きな価値がある」と副島監督も評価した点は大きな収穫。光る個を発揮した菊池と前田の起用法もポイントでしょうか。しかし、今日は何と言っても高田の奮闘でしょう。ゴールのみならず、「攻守において全力でやってくれた」と副島監督も舌を巻いた献身的な姿勢が、あの同点ゴールを呼び込んだのだと私は思います。草津巻き返しの萌芽は垣間見られた90分間でした。   AD土屋




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