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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

ワールドカップ 2010年06月30日

(55)決勝トーナメント1回戦 パラグアイ×日本

foot!
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決勝トーナメント1回戦
2010/6/29 16:00 ロフタス・ヴァースフェルド(プレトリア)
パラグアイ×日本

天候:曇り 気温:17度 観客:36,742人
主審:フランク・デ・ブリーケレ(ベルギー)

【パラグアイ】
GK
1 フスト・ビジャール(C)
DF
6 カルロス・ボネット
14 パウロ・ダ・シルバ
21 アントリン・アルカラス①
3 クラウディオ・モレル
MF
20 ネストル・オルティゴサ
13 エンリケ・ベラ①■
16 クリスティアン・リベーロス■
FW
9 ロケ・サンタクルス■
19 ルーカス・バリオス
10 エドガル・ベニテス
SUB
12 ディエゴ・バレット
22 アルド・ボバディージャ
2 ダリオ・ベロン
4 デニス・カニサ
5 フリオ・セサル・カセレス
8 エドガル・バレット
11 ホナタン・サンタナ
17 アウレリアーノ・トーレス
7 オスカル・カルドーソ
18 ネルソン・バルデス
23 ロドルフォ・ガマーラ
15 ビクトル・カセレス■■(警告累積による出場停止)
監督
ヘラルド・マルティーノ(アルゼンチン国籍)

(4-3-3)
-------バリオス--サンタクルス-
-ベニテス-------------
-------------------
---リベーロス------ベラ---
-------オルティゴサ-------
-モレル-アルカラス-ダ・シルバ-ボネット-
-------------------
-------ビジャール-------

【日本】
GK
21 川島永嗣
DF
3 駒野友一
22 中澤佑二
4 田中マルクス闘莉王
5 長友佑都■
MF
2 阿部勇樹■
7 遠藤保仁①■
17 長谷部誠(C)
16 大久保嘉人
8 松井大輔
FW
18 本田圭佑②
SUB
1 楢崎正剛
23 川口能活
6 内田篤人
13 岩政大樹
15 今野泰幸
10 中村俊輔
14 中村憲剛
20 稲本潤一
9 岡崎慎二①
11 玉田圭司
12 矢野貴章
19 森本貴幸
監督
岡田武史(日本国籍)

(4-3-3)
---------本田---------
--大久保----------松井--
------------------
----遠藤-------長谷部----
---------阿部---------
--長友--闘莉王---中澤--駒野-
-------------------
---------川島---------

【マッチレポート】
1986年メキシコ大会ではエスタディオ・アステカで
イングランドにリネカーの2発を食らって、敗退。
1998年フランス大会ではチラベルトを中心に感動的な守備で
フランスを苦しめるも、延長でブランの一発に沈み、敗退。
2002年日韓大会では準優勝したドイツに善戦するも、
終了間際にノイビルの決勝弾を浴びて、敗退。
悲願のベスト8へ、これが4回目の挑戦となるパラグアイ。
初出場から数えて4回目のワールドカップ。
カメルーンを破り、デンマークを破り、いわば世界を驚かせて
自国開催以来、2大会ぶりの決勝トーナメントに辿り着いた日本。
こちらも初めてのベスト8進出を懸ける。
どちらの国が新たな歴史を創造するか。決戦の地はプレトリア。
マルティーノは中盤アンカーに入っていたV・カセレスの出場停止を受け、
オルティゴサが大会初出場。3トップはやや左の下がり目に
バルデスではなくベニテス、中央にバリオス、右寄りにサンタクルスを起用してきた。
岡田監督は不動の11人を、この大舞台に送り込む。
開始15秒、いきなり日本がファーストシュート。
左サイドで相手の中途半端なパスを奪った大久保がミドル。
まず1つシュートといった格好だが、意外と決定機。ややもったいなかった感はある。
3分も日本、相手のクリアを高い位置で拾った駒野が積極的なミドルで枠内へ。
最初のシュート、最初の枠内シュートは共に日本へ記録された。
一方のパラグアイは右サイドのサンタクルスにボールが入った時が1つのスイッチだが、
なかなか効果的なアタックは繰り出せず、
日本もそこまで前には出て行かないことで、静かな時間が経過していく。
突如として生まれたゲーム最初の決定機はパラグアイに。
20分、左サイドに流れたサンタクルスのパスを粘って収めたバリオスが後ろへ、
オルティゴサはワンツーのような形でリターンのスルーパス、
バリオスはターンで駒野をかわすと、右足アウトでフィニッシュ、
川島は右ヒザでのファインセーブで逃れたが、
元アルゼンチン人として技術の高さを見せ付ける。
21分は日本にチャンス。
川島のロングフィードは本田が収め、大久保とDFがもつれたルーズボール、
松井は躊躇なくループ気味のミドルを打ち込むと、
ボールはわずかに高くクロスバーを叩く。
瞬時の判断力と、それを実行する高い技術。日本の攻撃はこの男が牽引する。
この時間帯から、パラグアイのポゼッションが高くなっていく。
キーマンはアンカーの、こちらもアルゼンチンからの帰化組オルティゴサ。
序盤はやや焦りからかサイドチェンジのミスが目立ったが、
シンプルに繋ぎ始めてからは、日本も本田、遠藤、長谷部の
ちょうど中間でボールを受けていくので、チェックが難しい。
体形はちょっとペンギンみたいな、まさにずんぐりむっくりなんだけど。
29分、パラグアイはCKからチャンスを迎える。
モレルのキック、中央こぼれたボールにサンタクルスが反応し、
シュートを放つがゴール右へ外れる。本田の飛び込みが目に入ったか。
30分過ぎから日本は中盤の構成が変わる。
阿部と長谷部が横に並び、遠藤がその前に出る正三角形に。
4-2-3-1にして、オルティゴサの監視と、本田へのフォローを強化したか。
35分、自陣でボールを持つオルティゴサを、本田と遠藤が挟み込んでカット、
大久保とのワンツーから本田が左へ出てクロス、
飛び込んだ大久保の前でモレルがクリアするが、狙いは1つ体現できた。
40分、日本に前半最大の決定機。
右サイド、松井が巧みなコントロールから遠藤へ、
下げたボールを長谷部がダイレクトで縦へ送ると松井は独走、
落ち着いて本田へ横パス、本田は左足でフィニッシュも
右から来たボールにやや体が流れてしまい、ボールも左へ流れる。
実際は左にフリーの大久保がいたものの、これも“FW”の意識か。
だいぶゲーム自体は膠着してきた中で、
日本は駒野と松井の右サイドが1つのアクセントになり、
徐々に押し返すような流れの中で、ハーフタイムに突入した。

後半スタート時に微笑ましい光景が。
エンドが変わり、ピッチへ出てきた流れのままで
右サイドを担当する松井が中央での円陣に加わらない。
笑顔で手を叩いて呼びかける長谷部と大久保。
確かに海外では後半が始まる時に円陣って見ないもんなあ。
照れくさそうに輪へ加わった松井。駒野と顔を見合わせて笑う。
海外でのプレーが長い彼だからこその、ちょっとした勘違いに心が和む。
50分、ずんぐりむっくりが機敏な動きで日本に恐怖を与える。
中盤で巧みに阿部をかわすと、バリオスとのワンツーでエリア内へ、
シュート一歩手前で長友が滑り、事無きを得たが、
やはりオルティゴサは要注意人物だ。
54分は日本、右サイドで松井がスローインから長谷部のリターンを受けると、
2枚のチェックをクライフターンばりの切り返しでかわしてクロス、
ダ・シルバのクリアを長友は直接ミドルにチャレンジ、
ブロックに行ったオルティゴサに当たって軌道が変わるが、ビジャールがキャッチ。
56分はパラグアイ、中盤でボールを奪ってからのカウンター、
ベラのパスを受けたベニテスはフリー、
中央をケアしていた中澤は、急遽方向転換して渾身のシュートブロック。
危ないシーンだったが、今日の中澤はいつもよりさらに集中して見える。
59分もパラグアイは左サイド、モレルのスローインをバリオスが返し、
上がったクロスにはボランチのリベーロスが阿部の前に飛び込む。
川島の正面を突いたが、3列目からの飛び出しに肝を冷やした。
ここに来てなかなかセカンドボールが拾えず、
本田と遠藤にボールが入らなくなってきた日本は苦しい時間帯。
マルティーノは一気呵成に60分、ベニテスを下げてバルデスを投入。
日本からすれば、嫌なタイミングで嫌な選手がピッチへ登場する。
63分、押し込まれていた日本のCKは遠藤、
中央の闘莉王へピッタリ合うが、サンタクルスが体を寄せて、枠は外れる。
直後、バルデスの突破に駒野が体を張って対応したシーンは見応え十分。
パラグアイきっての突貫小僧にも怯まない駒野。
大会に入って選択されたサイドバックは、惜しまぬ上下動でチームに貢献する。
岡田監督が切った1枚目のカードは65分、松井に替わって岡崎。
しかしここまで代表ではなかなか輝けなかった松井は、
ようやくここに来て、持てる実力を発揮した。数多のオファーも頷ける。
この辺りから試合は完全に膠着状態。共に無理してリスクは冒さない。
75分、マルティーノはオルティゴサを下げてE・バレットを送り込む。
81分、岡田監督も大きな決断。今大会初めて阿部をベンチへ下げる。
替わって入ったのは中村憲剛。川崎のコンダクターがとうとう南アフリカのピッチに立つ。
ここで岡田監督は1点を奪い切れというメッセージに針を振った。
82分、闘莉王の長いクサビ、中村憲はすぐさまターンして左へ流す、
長友が対面のボネットを振り切って上げたクロス、
大久保はGKへのファウルを取られたものの、
中村憲はファーストタッチで、その起用理由を証明してみせる。
ただ、パラグアイ守備陣の集中も途切れない。
特にCBのダ・シルバは上背こそないものの、闘志の塊のようなプレーの連続。
まさにパラグアイを象徴するような、いいDFだと思う。
92分、遠藤のFK、中澤が頭に当てたボール、
闘莉王が足で飛びつくもわずかに届かず。
94分、パラグアイのラストチャンス、モレルのFKはこぼれる。
ここでデ・ブリーケレ主審のホイッスル。両雄相譲らず。
スコアレスで、ゲームにはもう30分間が追加された。

岡田監督の話に大きな円陣が小さくなる。
長谷部の号令で輪が揺れ、輪が解ける。
ここからは未知のゾーン。日本は初めて世界の361分目を戦う。
まずは91分、カウンターは日本、本田が右へ展開、
受けた中村憲はシュート気味のクロスを打ち込む。ここはアルカラスがクリア。
そのCK、遠藤のボールに岡崎が食らい付くもヒットしない。
94分、パラグアイ最後のカードはサンタクルスを下げて、カルドーソ。
ここで193センチのポルトガル、そしてEL得点王が登場。日本は太刀打ちできるか。
直後にパラグアイのチャンス、バルデスの左クロスにバリオスのヘディング、
川島が正面でキャッチしたが、ちょっと中澤が放してしまった。
97分、パラグアイに絶好の勝ち越しチャンス到来。
左サイドからモレルが岡崎と競りながらカットインから中へ、
バルデスはうまいターンで前を向くとシュートまで持ち込んだが、
飛び出した川島が体に当てる。闘莉王もよく寄せていた。凌ぐ、凌ぐ。
99分、本田は左30m強のFKを狙うも、ビジャールは落ち着いて弾き出す。
101分、モレルのロングスロー、カルドーソが返して、モレルのクロス、
中央こぼれ球をバレットがループで狙うもバーの上へ。
ややパラグアイペースで延長前半も終了した。

岡田監督最後の決断はここ。大久保を下げて、選んだのは玉田。
6年前のアジアカップ、延長でバーレーンを振り切ったゴールが思い出される。
4年前のドイツ、ブラジルを慌てさせたゴールが思い出される。
FW最年長のスピードスターが最終盤に解き放たれた。
109分、モレルの左FK、バルデスのヘディングは川島キャッチ。
110分、長友が玉田とのワンツーからカットイン、
DFの足がかかっていたがプレーオン、拾った岡崎は間違いなくアルカラスに
足をかけられたが、デ・ブリーケレ主審は岡崎のファウルを指示。
不可解。ここからのFKを日本に与えたくないのか?
113分、遠藤の右FK、ファーの闘莉王は折り返しではなくシュートを選択。
ボールは枠を捉えられない。
116分、本田の体を張ったキープに玉田がフォローからドリブル開始、
一旦はカットされたボールを岡崎が拾ってまさかのヒール、
玉田は中途半端に飛び出したビジャールを見て、
シュートではなく折り返しを選択すると、中の中村憲には合わない。
119分58秒、120分に満たないタイミングで試合終了のホイッスル。
死闘は決着付かず。結果はドロー。
次へと進むためだけのロシアンルーレットに、両チームの行方は委ねられる。

川島に歩み寄り、笑顔で抱擁をかわす楢崎と川口。
ビジャールも控えのD・バレット、ボバディージャと笑顔で抱擁。
GK同士の絆はかくも固い。
コイントス。先攻はパラグアイ、後攻は日本。
1人目。
バレットは左スミへ。川島も反応したが届かない。
遠藤は右スミへ。完全にGKの逆を突き、ガッツポーズにも力が入る。
2人目。
バリオスは右スミへ。川島は読んでいたが届かない。
長谷部は左スミへ。ビジャールはわずかに届かなかったが、天国の祖父には届いたはずだ。
3人目。
リベーロスは中央右へ。川島は左に外された。
駒野はクロスバーにぶつける。天を仰ぐ駒野。一歩パラグアイがリード。
4人目。
バルデスは中央へ。川島は左に外された。
本田はビジャールを飛ばして中央へ。まだゲームは終わらない。
5人目。
カルドーソは冷静に左スミへ。

中盤を支えた遠藤と阿部がお互いを讃える。2人とも目が赤い。
中澤が川島を慰める。中澤も目が赤い。
岡田監督が呆然と立ち尽くす駒野を抱きかかえる。
マルティーノもベンチから立ち上がれない。泣いている。
中澤が駒野を包み込む。大久保も泣いている。
松井が駒野の肩を抱く。2人の頬を涙が伝う。

世界との距離に手応えを得て、世界との距離を痛感した。
世界で勝つことの意味を知り、世界で負けることの意味を知った。
最後の最後で、まるでクラブチームのような一体感に包まれた
日本が南アフリカの地で繰り広げた冒険は、ここで幕を閉じた。
4度目の挑戦でいよいよベスト16の壁を突破したパラグアイ。
CBを中心とした堅守は今大会中にもなおまだ進化している。
果たして、世界最高の攻撃陣を持つと称されるスペインと
どういうゲームを繰り広げるのか。
いよいよ大会は2日間の休息を経て、選ばれた8チームでの聖戦に入っていく。

パラグアイ 0×0 日本
     PK5×4
【PK戦】
パラグアイ1人目:バレット○
日本1人目:遠藤○

パラグアイ2人目:バリオス○
日本2人目:長谷部○

パラグアイ3人目:リベーロス○
日本3人目:駒野×

パラグアイ4人目:バルデス○
日本4人目:本田○

パラグアイ5人目:カルドーソ○

【得点者】
なし
【警告/退場】
パラグアイ:リベーロス①(118分)
日本:松井①(58分)、長友②(72分)、本田①(90+3分)、遠藤②(113分)
【交替】
パラグアイ:ベニテス→バルデス(60分)
       オルティコサ→バレット(75分)
       サンタクルス→カルドーソ(94分)
日本:松井→岡崎(65分)
    阿部→中村憲(81分)
    大久保→玉田(106分)
【AD的Man of the Match】
中澤佑二(日本)

《ベスト8組み合わせ》
7/3 20:30@ヨハネスブルグ(エリス・パーク) 
パラグアイ×スペイン

写真は、日本のヒーリングスポット「伊勢神宮」
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AD土屋

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