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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2009年12月05日

J2第51節 水戸×湘南@Ksスタ

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50試合、4500分が終わっても決着付かず。2009年シーズンのJ2から、2010年シーズンのJ1へと戦いの舞台を移すことが許される最後の1枠を巡る戦いは、51試合目、最終節でその結末を見ることになりました。3位湘南。4位甲府との勝ち点差はわずかに1。ただ、今日勝利さえすれば文句なく昇格が決まります。選手がバスでスタジアムに入ってくると、凄まじい音量のエールで迎えた湘南サポーター。泣いても笑っても最後の90分間は、12時34分、水戸の新ホーム・ケーズデンキスタジアム水戸にてキックオフを迎えました。お互いに主導権を探り合うような立ち上がり。まずは7分の湘南、寺川能人のFKを田原豊が頭で合わせると、GK本間幸司がセーブ。9分は水戸、菊岡拓朗が村松潤からのリターンを受けると、1人かわして右ポストに直撃するシュート。11分は湘南、坂本紘司のスルーパスを阿部吉朗がうまく受けるも、フィニッシュには繋がらず。14分は水戸、村松から森村昴太と回して、SB小澤雄希が惜しいミドル。共にリズムは掴めず、交互に攻め合うような展開も、エリア付近でのスムーズさで上回るのは水戸。すると20分、高崎寛之のポストプレーを基点に奪ったCK、菊岡のキックを中村英之が頭に引き寄せ、二アサイドを破って水戸が先制します。「やっぱりみんな普通の状態ではなかった」(湘南・田村雄三)湘南に続く受難。1分後の21分、菊岡の縦パスを荒田智之が収めて、中に折り返すと二アで森村がプッシュ。2-0と点差は広がります。さらに24分、荒田の右クロスに高崎が高い打点のヘッドを見舞うと、湘南GK野澤洋輔がゴールライン上でファインセーブ。あわや3失点目というシーンまで飛び出し、「ある意味パニック状態」(湘南・反町康治監督)なのが端から見ていても伝わってきます。水戸の2トップを生かすシンプルなフィードと、そのセカンドに絡むべく次々と飛び出してくる中盤の圧力に、湘南はマークを捕まえ切れず後手後手に。この時間帯を振り返ったCBの村松大輔は「どうなるのかと思った」と正直な気持ちを吐露しています。ただ、「2点取られて逆に吹っ切れた」とは田村。「チームのみんなの顔を見たらまだまだイケると思った」とは前述の村松。すると29分、坂本が粘って右へ展開、寺川のクロスを阿部がヘディング、本間が弾いたこぼれ球を冷静に田原。2-1。34分、坂本が粘って奪ったFK、寺川のキックにまたも飛び込んだ阿部のヘディングが今度は本間を撃破。2-2、同点。「戦術的、技術的ミスではない。相手の意地」と水戸の木山隆之監督も認める、昇格への執念を見せた湘南がゲームを振り出しに戻します。さながら後半終了間際のような打ち合いの様相を呈す中、次のチャンスはホームチームに。42分、菊岡の絶妙なフィードは走り込んだ高崎の頭へ。バックヘッド、野澤を越えたボールはクロスバー、跳ね返りに詰める高崎、弾き出す村松。「あそこで流れが変わったかなと思う」と自賛した村松のビッグプレー。シュート数は水戸14、湘南8。ジェットコースターより起伏の激しい45分間は同点で終了しました。後半序盤は水戸の流れ。開始早々の45分、荒田が角度のない所から枠内へ。48分、左右に揺さぶり最後は高崎のヘディング。そして50分、鈴木和裕のFKはスルリとファーサイドへ。どフリーだった中村のゴールまで1mヘッドはまさかの枠外に。湘南命拾い。そして53分、歓喜の時が訪れます。右サイドでボールを持ったのは「今年のウチの良さは最後まで諦めないこと」と語った坂本。得意の左足に持ち変えてクロス。ファーへ走り込んだのは三たび阿部。「最後の試合に使ってもらって信頼に応えたかった」男の、この日3本目となるヘディングシュートは、それまでの2回同様に枠を捉え、そしてゴールネットへ。2-3。「シーズン最初からやってきたことが強いメンタリティになった」と指揮官も称賛した、凄まじい逆転劇。湘南が2分間で奪われた2点を、32分間で引っ繰り返しました。こうなると、もともとボール自体は支配していた湘南に落ち着きが生まれてきます。苦しめられた縦フィードも、相手の精度低下に伴って危険度は激減。71分には、寺川能人から永田亮太へお馴染みの交替で、再度中盤を引き締めに。「CKが結構危険だったので、前に逃げようと」(田村)いう意識も徹底され、60分以降は1本のCKも与えず。田原が収め、坂本が足をつりながらも走り続け、ジャーンが跳ね返す。もちろんそれ以外の選手も自らに課されたタスクを着実に遂行。シーズン最終戦の、しかも最終盤に来て守備の安定感が戻ってきました。そして94分、廣瀬格主審によって吹かれたのは「シーズン最後の笛でもあるし、J1昇格への笛」(反町監督)。3枚目の昇格切符を手に入れたのは、自分を信じ、仲間を信じ、最後まで戦った“緑と青の勇者”湘南でした。思い返せば開幕戦、横浜FCに勝利した会見の第一声で「皆さんはカズがゴールを決めるのを楽しみにしていたんでしょうけど」と切り出した反町監督。「サッカーを見るのも嫌になった」という時期を経て、辿り着いたのは思い出の地・湘南。着実に種は蒔かれ、萌芽の時は迎えたものの、あと一歩がなかなか埋め切れなかった古巣に、1年で見事な大輪を咲かせてみせました。今日の会見での第一声は「思ったよりも人がいないのは、みんなJ1の方に行ってるのかな」。続けて「J1の優勝も決まったし、W杯の組み合わせも決まったので、(この試合は)5行くらいで書いといて下さい。写真もちっちゃくね」。反町監督は最後まで反町監督でした。ソリさん、本当におめでとうございます。    AD土屋




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