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サッカー&フットサル コラム 2026年4月7日

前年王者から逞しくもぎ取ったプレミア初采配初勝利。柏レイソルU-18・志田達郎監督が指導者を続ける明確な理由 高円宮杯プレミアリーグEAST 鹿島アントラーズユース×柏レイソルU-18マッチレビュー

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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柏レイソルU-18・志田達郎監督

「監督1試合目でこの勝利がどうかと言われると、別に僕がやったという感じではなくて、みんなでやったという感覚の方が強いですね」とは口にしたものの、一拍置いて少しだけ本音が零れ落ちる。

「いやあ、やっぱり嬉しいですよ。勝てて良かったです」

誰もが口を揃えて“熱い人”だと言い切る、36歳の情熱の指揮官。今季から柏レイソルU-18を率いている志田達郎監督が、覚悟を持って足を踏み入れたプレミアリーグの新シーズンがこの日、前年王者に勝利を収める形で、力強く幕を開けた。

「前半は後手に回ってしまう展開だったかなと。我々のやりたいことをさせてくれなかった鹿島さんの圧力と、簡単に崩れないという強さは凄く感じました」(志田監督)。4月5日。メルカリスタジアム。2026年のオープニングマッチ。昨季の三冠チームでもある鹿島ユース相手に、柏U-18は前半から押し込まれる展開を強いられる。

志田監督の見立ては「ボールを奪ったとしてもちょっと逃げのプレーというか、自分がボールやプレッシャーから解放されたいというプレー選択が多かったですね」というもの。相手はプレミアトップレベルの強度を誇っており、プレスの速さも強烈。なかなかボールを動かし切れない時間が続く。

後半に入ると、さらに猛攻にさらされることになったが、ここで躍動したのはゴールキーパーの金子遙真だ。60分からの12分間で4度も訪れた決定的なピンチを、ことごとくファインセーブで凌ぎまくる。

「『もうやられた!』という時に彼が止め続けてくれて、あれでまたみんなの勇気が湧いたというか、ビッグセーブで止めたこともそうですけど、みんなのマインドを立ち上がらせてくれたプレーが多かったですね」。指揮官も称賛した守護神の奮闘に、攻撃陣が結果で応える。

77分。途中出場の岸野遥大が先制ゴールを記録する。「志田さんは日ごろの練習からずっと情熱派というか、ずっと『何としても勝つ、絶対に勝つ』みたいな想いを持っているのはわかっているので、それに応えたいという気持ちで何とかゴールできました」。1-0。この試合初の決定機をモノにして、柏U-18がリードを奪う。

90+3分。キャプテンの上野暉晏が追加点を叩き込む。「志田さんも『今日は勝つ気ではいたし、勝つと思っていた』と言ってくれて、それは自分たちも思っていました」。2-0。この試合2度目の決定機をきっちり生かして、柏U-18がリードを広げる。

志田監督は最後まで次のゴールを狙いに行ったチームの姿勢に、確かな手応えを感じたという。「今シーズンは『圧倒的な力を示す』というキーワードがあって、どの試合も『5-0で勝つ』ぐらいのものを追い求め続けているので、あそこで2点目を獲りに行った姿勢は、ユース全体の選手に対しても示しが付くというか、『こうやってプレーするんだよ』ということを示せた得点だったと思います」

8分近いアディショナルタイムが過ぎ去ると、タイムアップを告げるホイッスルが鳴り響く。劣勢の時間も長かった中、高い集中力でわずか2度の決定的なチャンスをどちらも生かした柏U-18が、アウェイで勝点3を獲得。選手にも、指揮官にも、試合後は歓喜の笑顔が弾けた。

もともと高校時代の志田監督は市立船橋高校でプレー。大学に進学すると、「たまたま友だちがアルバイトコーチで指導者を始めて、そこに遊びに行ったのがきっかけ」で、19歳にして柏マイティーFCというチームで指導者のキャリアをスタートさせる。

「そのころに教えるだけではない深さみたいな、選手に気づかせるとか、興味を持ってもらうとか、そういうところに凄く面白さを感じた覚えがあって、そこからはずっと『指導者をやろう』と決めていました」

大学卒業後は吉田達磨氏から誘われる形で、スクールコーチとしてレイソルアカデミーへ。以降はU-12、U-15と各カテゴリーの指導を歴任し、2024年からの2年間はU-18のコーチを務め、今季からは監督を任されることになった。

プレシーズンのある試合で、印象的な光景があった。ハーフタイムのミーティング。志田監督は選手に質問し、その答えを受けて話を進めていく。その真意を本人に尋ねると、返ってきた答えがとにかく振るっていたのだ。

「やっぱり選手たちって監督が言ったことを、良いものも悪いものも実行しようとするんです。ただ、ピッチの中でしかわからないものも、もうピッチの中で解決していたものも、絶対あるじゃないですか。それをないがしろにして、僕が先行して何かを言うのは違うんじゃないかなと感じているので、まずは聞く。それで聞いたところのどこに問題があるかというのを、僕が探ってあげる。問題がなければ、そこにはもう関わらなくていいですし、解決していればそれはそれでいいですし、という形ですかね」

その言葉から窺えるのは、選手たちへ向けられたリスペクトだ。きっとこの人は指導者を始めたばかりのころに感じた、「教えるだけではない深さ」への興味を今でもずっと持ち続けている。そんな監督が率いるチームに、エネルギーが満ちあふれないはずがない。

今季のディフェンスリーダーとして期待される丸山寿貴斗は、こう言い切った。「志田さんのためにも日本一を獲りたいと思いますし、チーム全員もそう考えていると思いますよ。僕自身はああいう熱い監督に乗っていきたいタイプなので、自分も熱く戦っていきたいと思っていますし、あの人を見ていると『やってやる』という気持ちになるところもあって、良い刺激をもらっています」

指導者歴も20年に迫ろうとしている志田監督だが、「まだまだです。先輩たちがサッカー界にはたくさんいらっしゃるので、自分はまだ全然です」と言いながら、さらに続けた言葉に、この人の携えている本質が色濃く滲む。

「自分は人が好きかもしれないです。小学生、中学生、高校生、かわいくてしょうがないですね。今見ている高校生もかわいいですよ。またニコニコしているようなかわいさじゃないところで、『これを乗り越えてるな』とか、『人間的に逞しくなってるな』という変化が見えるのが、凄く楽しいですね」

望んだ結果が付いてくるか否かは、はっきり言って誰にもわからない。でも、これだけは断言できる。36歳のプレミアリーグ最年少監督。志田達郎が束ねる今年の柏レイソルU-18は、間違いなく大きな熱量を持ったポジティブなチームへと、日々進化していくはずだ。

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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