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――2025年からユースの監督に就任されるに当たって、念頭に置かれていたのはどういうことだったでしょうか?
「前任の柳沢(敦)さんはアントラーズの歴史そのものというか、アントラーズらしさを体現できる方でしたし、スタッフには小笠原(満男)コーチや岡本(秀雄)コーチも含めて、何年もユースで指導をされている方が多く在籍しています。そのなかで特に何かを変えようとは思っていなくて、前年からの継続の部分を高めていくことを意識してシーズンに入りました」
――2024年の1年間で、アカデミーダイレクターを務められたことは大きかったですか?
「そうですね。その1年間はユースやジュニア、強化コースといろいろなカテゴリーを見て、『アントラーズらしさとはこういうことだな』と感じつつ、そういうところをジュニア年代から浸透させていかないといけないなと思いましたし、『アントラーズはこれが大事だ』というところを再認識できた1年でした」
――中野監督が考える「アントラーズらしさ」というのはどういうものでしょうか?
「やはり純粋な原点は、負けず嫌いだということですね。ユースだけではなく、ジュニアユースとジュニアも含めて、負けず嫌いな選手が多いのかなと。そこは全カテゴリーに共通していることで、ベンチのスタッフも合わせて、チーム全体で選手と一緒になって戦う意識はすごく強いと思います」
――ユース年代で身に付けてほしいサッカーのベースは、どういったものになるでしょうか?
「僕もプロで10年間プレーさせてもらいましたが、やはり受け身の姿勢ではやっていけない世界なので、主体的にアクションを起こしていくことを求めていきたいです。ゲームの中でも、人に言われてやるのではなく、自分で考えて、周りとコミュニケーションを取りながらプレーすることをベースに置かないと、サッカー選手として上に行くことはできません。もちろん自分の良さを出していくなかで、ボールを取られたら取り返すとか、自分のプレーにしっかり責任を持つところも求めていきたいと思っています。
一方で、スタイルとしてはもともと持っていた縦への速さや、クロスからのシュートにプラスして、当然相手もうちの良さを消そうと分析してくるので、単純なクロスだけではなく、相手を引き出してからのミドルシュートやコンビネーションは、昨年も意識してやってきたところです。
そこも僕が指導する部分と、小笠原コーチや本田(拓也)コーチの意見を聞きつつ、選手と話したなかで彼らが感じたことも練習に取り入れながら、コーチと選手と一緒になってやれることを、少しずつ増やしていけたらいいのかなと考えています」
J SPORTS オンデマンド番組情報
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サガン鳥栖U-18 vs. ヴィッセル神戸U-18 WEST 第1節-1 高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2026【先行】
配信日時 : 2026年4月4日(土)午後0:50 ~
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鹿島アントラーズユース vs. 柏レイソルU-18 EAST 第1節-2 高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2026【先行】
配信日時 : 2026年4月5日(日)午前10:50 ~
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前橋育英高校 vs. 流通経済大学付属柏高校 EAST 第1節-3 高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2026【限定】
配信日時 : 2026年4月5日(日)午前10:50 ~
――2025シーズンはクラブユース選手権、Jユースカップ、プレミアリーグの3冠を達成されました。その価値をどのように捉えていますか?
「選手たちの名前がクラブの歴史に残ることはすごく良かったです。ただ、それも前任の柳沢さんや中村幸聖さんが継続してきてくれたものがあり、長い積み重ねが結果につながったという意味で、育成に携わった皆さんの努力が報われたと考えています」
――クラブユース選手権は夏の連戦というシビアな大会でしたが、あらためて振り返っていただけますか?
「まずは短期決戦なので、チームとしての一体感が大事になると思っていました。選手も自分たちでミーティングをしていましたし、まとまって戦ってくれたところが1つの優勝の要因です。あとはフィジカルベースのところを里内(猛)アドバイザーや大岩(聖)コーチが鍛えてくれたことで、最後まで運動量が落ちませんでした。フィジカルコンディションの良さは夏のタイトルを獲る上で凄く大事なので、そこがアドバンテージになりました」
――選手たちはみんな口を揃えて、「火曜日のフィジカルトレーニングが大変だ」と話していましたが、その効果が1年を通じてあったということですね。
「アントラーズユースがやりたいサッカーはそこがベースになると思いますし、もちろんトップに行ってもそこが求められるので、その部分の強化は2人のコーチに助けられています。火曜日のフィジカルトレーニングは、僕も現役時代に経験したことがないぐらい、厳しいトレーニングだと思います(笑)。その効果は選手たちが一番実感したのではないでしょうか」
――優勝が決まった後の選手たちの喜び方を見ていても、2025年のチームは非常にエネルギーのあるグループでしたね。
「そうですね。エネルギーのある子はすごく多かったなと感じています。特に3年生はピッチを離れるとやんちゃで、ふざける選手も多かったのですが(笑)、本当にサッカーが好きな子がそろっていましたし、みんなが1つになったときのパワーはすごかったです」
――Jユースカップの決勝では中学2年生の磯部怜夢選手や中学3年生の柿沼怜音選手もPKを蹴りました。日本一の懸かった高校年代の試合で、中学生にああいう経験を積ませられるあたりに、今のアントラーズアカデミーの凄味を感じます。
「そこは鈴木(修人)マネージャーが中心となってやってきてくれた、ここ数年の積み重ねの現れだと思います。良い選手は上のカテゴリーでどんどん経験をさせていく流れのなかで、ユースの選手がトップチームに練習参加させてもらう回数も、ジュニアユースの選手がユースの練習に参加する回数も増えましたし、プレミアファイナルにも中学3年生の土井(空芽)が出場しています。
上のレベルで経験したことをチームに持ち帰って、また底上げしてもらうという意味でも、クラブとしてどんどん次のカテゴリーに“飛び級”ができることは、本当に良いサイクルなのかなと感じます」
――最後のタイトルはプレミアリーグでしたが、通年で戦うリーグ戦で優勝できたことに対してはどのように評価されますか?
「リーグ戦は1年を通しての力が試される非常に大事なもので、2025年はケガや年代別代表、トップチームへの帯同で選手が抜けることも数多くあったなか、代わりに出た選手が活躍するゲームが非常に多かったですし、みんなの力で勝ち取ったタイトルでした。
川崎フロンターレU-18戦(EAST第19節)は代表やケガで主力のメンバーが抜けていたなかで、代わりに出た選手が活躍してくれて、その試合で優勝が決まったことも、1年を象徴していたのかなと。3年生でプレミアに絡めなかった選手もいるのですが、サッカーが好きで、練習にも一生懸命に取り組んでチームに貢献してくれたので、彼らがプラスの側面を良い形で出してくれたのかなと思います」
――個人的にはホームで東京ヴェルディユースに0-3で負けた試合(EAST第5節)と、やはりホームでFC東京U-18に0-2から逆転勝ちした試合(EAST第11節)が、去年のチームのターニングポイントなのかなと思っていました。
「おっしゃるように、ヴェルディ戦は自分たちから崩れてしまった試合だったので、あの試合を経験したからこそ、自分たちから崩れないような声掛けや、メンタルの持ち方という部分は変わったかなと思います。
FC東京戦はまったく悪くない内容でしたが、押し込んだ状況で点が取れず、カウンターで2失点したなかで、最後に追い付いて、逆転したことで、『こういう力が自分たちにあるんだ』という自信を掴んだ試合でした。やはりその2試合は、シーズンを通してすごく大事な経験になったと思います」
――ヴィッセル神戸U-18と対峙したプレミアリーグファイナルも激闘でした。
「クラブユース選手権でも対戦していたのですが、『夏に対戦したときとは違うチームだよ』という話は選手にしていました。相手は濱崎(健斗)選手も含めたケガ人も戻ってきている状況で、やっていて楽しい試合でしたね。素晴らしいスタジアムで、お互いに点を取りに行く内容で、あの舞台で延長を合わせた110分間を戦えたことは、選手にとっても大きな財産になったと感じます」
――試合後の記者会見で中野監督が「『コイツら、スゲーな』って思いました」とおっしゃっていたのが印象的でした。
「選手たちは素晴らしいことを成し遂げてくれましたし、『選手たちや他のスタッフに勝たせてもらったな』というのが、自分の率直な感想でした」
――トップチームとの連携について、鬼木達監督とはどういったコミュニケーションを取っていますか?
「鬼木監督からは『ユースのときにこういうことをやってほしい』という話をしてもらっています。トップチームのトレーニングやトレーニングマッチにユースの選手を頻繁に呼んでいただくなど、連携させてもらっていることはすごくありがたいです」
――トップチームの練習に参加した選手が、ユースにもたらしてくれる効果は、具体的に言うとどういうものでしょうか?
「トップに行くと小さなミスでも目立ってしまうので、彼らがユースに帰ってきたときには意識も変わって、小さなミスでも許さなくなるんです。そういう基準が上がったことはすごく感じましたね。去年は大川(佑梧)、元砂(晏翔仁ウデンバ)、吉田(湊海)が基本的にトップの練習に参加させてもらっていたので、彼らがユースに戻ってきたときには違いをつくれているなと感じました」
――この2年のトップ昇格選手を見ると、吉田選手、元砂選手、松本(遥翔)選手はユースからアントラーズに入った選手で、大川選手、徳田(誉)選手、佐藤(海宏)選手はジュニアユース時代からアカデミーで育った選手です。このアントラーズアカデミーで育った選手と、中学年代までは外部で育った選手が切磋琢磨して、トップに昇格していく流れを、どのように捉えていますか?
「すごく良いバランスだと思います。内部から上げていくことも大事ですが、ずっと同じメンバーでやっていくと少し慣れてしまう部分もあるので、吉田や元砂が来たことでお互いに良い刺激が入っていくところは間違いなくありました。今は鈴木マネージャーや本山(雅志)スカウトを中心に、クラブのために必要な選手をアントラーズにスカウトして連れてきて、内部で育ってきた子とお互いに切磋琢磨しながら高め合うことができています」
――指導者の方にとって、「勝利と育成」のバランスは常に命題になってくると思うのですが、これに関してはどのように考えてらっしゃいますか?
「当然勝利を追求していかなければ、選手たちの向かうところがなくなってしまうので、それは目指していくうえで、何が何でも勝ちたいと思うがゆえに、プレーの選択が縮こまってしまう形にはしたくありません。純粋に自分たちの力を高めることでこそ、勝利が近づいてくると思いますし、結果に対する思いが先に来すぎると、成長の度合いが低くなっていくところもあるので、まずは自分たちの力を上げることに注力してもらいたいです。
当然我々が相手に上回られて負けることもあると思うのですが、負けたことから何かを学んで、自分たちに足りないものを高めていけば、自ずと次は勝つ確率も高くなりますし、それは上のレベルにつなげていくために必要なことです。結果を求めすぎて、選手たちのプレーの幅を狭めないようにしていきたいですし、選手にもやること自体は変えずに、サッカー選手としての幅を広げていってほしいと思っています」
――三冠を獲った次の年として始まる2026シーズンですが、ユースの指針としてはどのようなことを考えてらっしゃいますか?
「一番の目標は『トップの主役になる選手を輩出する』というところで、まずは個人のレベルを上げていくことを考えています。その結果として勝ち負けがついてくるので、シーズンスタートではフィジカルと基本的な技術を上げていきながら、シーズンを通じて個人の価値を上げることに、それぞれが注力してほしいです」
※当記事は「KASHIMA ANTLERS SEASON BOOK2026」の掲載内容の一部に未収録内容を加えて再構成したものです。
鹿島アントラーズユース・中野洋司監督
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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